カッコウ

あなたは「かっこう」という歌を知っていますか。

もとはドイツ民謡ですが、日本語訳が付いたものを音楽の時間に歌ったことがある人も多いのではないのでしょうか。

こののんびりとした曲のイメージに反して、何やらカッコウには自分の子孫のために他の鳥の雛を犠牲にする非情な一面があるようで…。

一体カッコウとはどのような鳥なのでしょうか。

カッコウの生態や寿命などの特徴、カッコウの代名詞でもある「托卵」について見ていきます。

カッコウの托卵については、以下の記事でも詳しくご紹介していますので、併せてぜひご覧ください。
カッコウはなぜ托卵をするの?生態や鳩時計との関係も!

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カッコウってどんな鳥?

カッコウは、カッコウ目カッコウ科に属する鳥です。

漢字では「郭公」と書きます。

その名前の通り、「カッコウ」と鳴くのが特徴的です。

ちなみにですが、お店などがガラガラで寂しい様子を表す「閑古鳥が鳴く」という言葉がありますが、この「閑古鳥」は実はカッコウのことなのです。

カッコウが、静かな森などで鳴くことに由来しています。

日本だけに分布している訳ではなく、ユーラシア大陸とアフリカなどにも分布しています。

 

カッコウの生態は?

カッコウは、常に同じところにいる留鳥ではなく、夏になると日本にやって来る夏鳥です。

主に草原や森林、半砂漠に生息しており、昆虫などを食べています。

 

カッコウの寿命は?

カッコウの寿命は、6年くらいだと言われています。

中には10年以上生きるカッコウもいるみたいですが、イヌワシやオオワシなどの猛禽類に襲われて命を落とすことも多いようです。

後述しますが、カッコウは「托卵」を行います。

托卵に失敗して、卵や雛のうちに命を落とすカッコウもいます。

 

カッコウの鳴き声は?

カッコウの名前の由来は、「カッコウ」という鳴き声からです。

これはオスのカッコウのみの鳴き方で、メスは「カッコウ」とは鳴きません。

しかも、オスでも「カッコウ」と鳴くのは求愛の時期だけで、普段はオスメスともに「ピピピピピ」と鳴きます。

もし、「カッコウ」と鳴いているカッコウを見つけたら、「メスに向かって求愛しているんだな。」と思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

 

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カッコウの托卵について

カッコウと聞いて一番に思い浮かべるのが、この「托卵」ではないでしょうか。

「托卵」とは、 「他の鳥の巣に卵を生み落とし、その鳥に育ててもらう」という習性のことです。

托卵先として、モズやオオヨシキリ、ホオジロなどを選びます。

托卵は、カッコウ特有の習性ではなく、カッコウの仲間であるホトトギスなどもウグイスなどの他の鳥に托卵を行います。

モズなどの托卵先になる鳥(=仮親)の巣を見つけたカッコウは、仮親が留守の間に自分の卵を生み落とします。

そのとき既に卵がある場合は、卵が増えて不審に思われないように、仮親の卵を処分し、数を合わせます。

中には、数を把握している仮親がいるためです。

その後、カッコウは何事もなかったかのようにその場を立ち去り、卵は仮親によって温められ孵化の日を迎えます。

ここで注目したいのは、「カッコウの孵化の時期」です。

カッコウと仮親と同時期に産卵した場合、カッコウの卵の方が1日から2日ほど早く孵化するようになっています。

仮親の卵より早く孵化したカッコウの雛は、仮親の卵を巣の外に押し出してしまいます。

巣から押し出された仮親の卵は当然生きられないため、カッコウの雛のみが仮親から餌を与えられて育つことになります。

ここで疑問なのは、明らかに自分の雛とは似てもにつかぬカッコウの雛を、何故仮親が甲斐甲斐しく育てるかということです。

諸説ありますが、仮親は生まれた雛にちょっと違和感があっても「自分の巣にいたんだから自分の雛だろう」と思い、育てるようです。

しかし、中には托卵を見抜く仮親もおり、その場合は巣と卵や雛を捨て、どこかに行ってしまうようです。

そうなると、カッコウの卵や雛は当然生きていけません。

カッコウの托卵は、まさに「一か八かの賭け」なのです。

カッコウの仲間は世界で126種類いますが、その中で托卵するのは49種類だけのようです。

日本で繁殖するカッコウは4種類いますが、それらはすべて托卵します。

なお、カッコウがどういった理由で托卵先を選ぶのかというと、「以前自分を育ててくれた仮親と同じ種類の鳥」のもとに托卵を行うようです。

托卵され、実の親を知らないカッコウも無意識のうちに親を求めているのかも知れませんね。

 

カッコウの子育てについて

日本で繁殖しているカッコウは托卵するため、自分では全く子育てしません。

自分で育てた方が確実に雛を育て上げることが出来るのに、何故カッコウは危険をおかしてまで托卵を行うのでしょうか。

その理由のひとつに、カッコウが抱卵する(=温める)のが上手ではないということが挙げられます。

雛が卵から孵化するためには親が温め続けないとなりませんが、カッコウをはじめとしたカッコウの仲間は朝と夜で体温の変動が激しく、卵を温め続けるのには向いているとは言えません。

そのため、自分で育てるより他の鳥に育ててもらう方がより子孫を残せる可能性が高いと判断したのではないでしょうか。

なお、自分で子育てをするカッコウとして「オオハシカッコウ」がいます。

オオハシカッコウは、フロリダ州南部、バハマ、ブラジルなどに分布している真っ黒な羽毛が特徴の鳥ですが、彼らは複数のつがいで共同で巣を作り、その巣に複数のメスが卵を生み、共同で子育てをします。

また、親だけではなく、先に孵化した若鳥もより新しい雛を育てるのを手伝うことでも知られており、同じカッコウの仲間でもここまで違うのかと驚愕しますね。

 

まとめ

カッコウの生態や寿命などの特徴、托卵などについて見てきました。

「カッコウ」という鳴き声は、オスが求愛の時期に出す鳴き声であり、普段はオスメスともに「ピピピピピ」と鳴いています。

また、カッコウといえば托卵というイメージがありますが、すべてのカッコウの仲間が托卵する訳ではなく、自分で子育てするカッコウがいるのには驚きましたね。

托卵するカッコウも、托卵が仮親にバレたらその時点で自分の子孫が生き残る可能性はなくなりますし、まさに賭けに出ているのでしょう。

「自分で子育てしなくてずる賢い」というイメージがあるカッコウですが、生き残るために必死なのでしょう。

このことから、野生の厳しさがよく分かりますね。