ウマ

私たち人間にとって、古くから欠かせない存在となっていた「馬」。

農耕や運搬、食糧など、幅広い用途として利用されてきた重要な動物ですよね。

現在でも乗馬や競馬など、娯楽や健康のためのスポーツとしても欠かせない存在となっています。

そんなウマですが、あなたは野生のウマを見たことがあるでしょうか。

見たことがあるウマは、ほとんどが飼われている家畜としてのウマであったり、家畜でなくとも人間の手によって管理されているウマなのではないでしょうか。

野生のウマは既に絶滅してしまっているという噂もあります。

果たして野生のウマは現在でも生息しているのでしょうか。

今回は野生のウマについて調べてまとめてみました。

 

スポンサードリンク

 

野生で生息しているウマはいない!?

現時点で自然に野生種として生息しているウマはいない、と言えるでしょう。

確かに一部の地域には、野生のウマなんじゃないの?・・と思ってしまうものもいます。

しかしそれは、かつて家畜として飼われていたウマが逃げ出したりして半野生化したものであり、従来の野生のウマとは言えないでしょう。

最近までモンゴルに生息していた「モウコノウマ」という種類のウマが唯一の野生のウマだと言われていました。

しかし1968年以降は野生のモウコノウマは見られなくなっています。

現在生息しているモウコノウマは、動物園などの施設で繁殖されたものが放たれて、人間の保護の下に野生化たものであり、これも野生であるとは言えないですね。

さらに最近の研究によりモウコノウマは、約5500年前に現在のカザフスタンで飼われていた家畜馬の子孫であることが分かり、そもそも野生のウマではない事が明らかになってしまいました。

 

シマウマは野生のウマ!?

シマウマは野生のウマなんじゃないの!?

と思った人もいるのではないでしょうか。

たしかにシマウマってウマですよね?

しかしシマウマはウマ科の動物というだけであり、ウマではないのです、

シマウマはウマというよりはむしろ「ロバ」に近い種類の動物だと言われています。

たしかにシマウマの持っている特徴はどれも、ウマよりはロバなんですよね。

 

ちなみにシマウマに関しては以下の記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

 

シマウマにもいくつかの種類があって、ヤマシマウマ、グレビーシマウマ、サバンナシマウマの3系統に分けられています。

さらにサバンナシマウマも6種類、ヤマシマウマも2種類のシマウマに分けられています。

これらのシマウマは現在でも野生種として生息しています。

 

他にもロバやノロバの仲間も野生のものが現在も生息していますが、ほんの少しの種類しか存在していません。

アフリカノロバ、アジアノロバ、チベットノロバ(キャン)の3種類ですね。

家畜化されたロバはアフリカノロバが原種で、約5000年前に初めて家畜として飼われたのが始まりと言われていますね。

 

以上の種類がウマ科に分類されているウマの仲間であり、これ以外には野生のウマ科の動物は存在しません。

やはりどれもウマ科のウマの仲間というだけであり、「ウマ」であるとは言い難いですよね。

 

スポンサードリンク

 

ウマのルーツは野生のウマ「ターパン」!?

イノシシが家畜化されてブタになり、オオカミが飼い馴らされてイヌになったように、ウマにも家畜化されたルーツがあります。

ウマのルーツは、かつて野生のウマとして生息していた「ターパン」という動物にあるようですね。

ターパンとはそのまま「野生のウマ」という意味があるそうですよ。

ターパンはかつて野生のウマとして生息していました。

ターパンは食糧としてターパンを家畜としても飼っていたのですが、他の動物よりも乗りやすいという事に気づき、運搬用としても利用され、重宝されるようになっていきました。

ウマは走っていても背中がまっすぐ平らなままなので、乗りやすく鞍も付けやすかったのでしょうね。

そうして家畜化が進んでいった飼い馴らされたターパンはいつしか「ウマ」と呼ばれ、独自の進化をしていく事になります。

この時に人間の家畜にならなかったターパンはそのままターパンとして生息していました。

そんな時、家畜化され放牧されていたウマが野生のターパンに連れ去られたり、放牧地で関係を持ち、交雑が始まるようになります。

ターパンから見ると、ウマはより魅力的な存在に見えたのではないかとも言われていますが、実際はどうなんでしょうね。

長い年月を経てウマとして進化したターパンとの交雑で生まれた雑種のターパンは、もはや純血の野生のターパンとは言えません。

このままターパンと馬との交雑が進み、ついには野生の純血のターパンはいなくなってしまったと言われています。

最後の個体はロシアで捕らわれていた一頭でしたが、1909年に死亡したため絶滅してしまいました。

過去にはではターパンを復活させようという取り組みがあり、品種改良によってどうにか復活できないか試行錯誤されていたようですね。

結果としてドイツにいるHeck horseやHegardt、Konikなどの種類が作出されましたが、どれも似ているというだけに留まったものであり、やはりターパンそのものとは言えないですよね。

 

まとめ

野生のウマ科の動物はロバやシマウマなど、一部の種類が野生種として生息していますが、いずれもウマ科の動物というだけで「ウマ」であるとは言えません。

また唯一野生のウマと言われて生息していた野生としてのモウコノウマも、最近の研究により元々飼われていた家畜馬の子孫であることが分かり、野生のウマではありません。

ウマのルーツはターパンという野生のウマです。

家畜化されたターパンがウマとして進化し、ターパンとの交雑が進んでしまった結果、純血種としてのターパンは絶滅してしまいました。

考えてみれば、野生のウマがいないのは、ある意味人間のせいなんだな、と考えさせられる事実かも知れませんね。