カマドウマという昆虫をご存知でしょうか。
夏になると良く見かける、見た目がちょっとグロテスクな虫ですね。
家の中で見かけると、「ゲッ!?」という感じの反応をされ、たちまち駆除されてしまうような虫でもあります。
しかしカマドウマって本当に害虫なのでしょうか。
今回はそんなちょっとグロい虫「カマドウマ」に焦点を当て、その生態などを詳しくご紹介していこうと思います。
目次
カマドウマという名前
カマドウマっていう名前って、なんだかカッコいいと思いませんか?
カマドウマとは「竃馬」と表記されます。
人家のかまど付近によく現れる虫であり、容姿が横から見ると、まるで馬の首のようなアーチを描いたような体つきをしているという事から名付けられた名前だそうですよ。
他にも、「オカマコオロギ」や「便所コオロギ」などといった可哀そうな呼び名も持っている虫でもあるのです。
オカマコオロギはまだ分かるとしても、便所コオロギってさすがに可哀そうだと思いませんか?(笑)
そもそも、なぜ便所コオロギと呼ばれているのでしょうか。
昔の便所とは、母屋からちょっと離れた屋外に設置されており、ぼっとん便所が一般的でした。
こういった便所は薄暗く湿気があり、カマドウマが好む環境になっていたため、便所でよく見かけることがあった為だと言われています。
ですので、現在の水洗トイレではこのような環境ではないため、昔のようにカマドウマを見かけることも少ないかも知れませんね。
カマドウマの分類や種類
カマドウマはバッタ目キリギリス亜目カマドウマ科に分類されています。
つまりバッタやコオロギの仲間という事になりますね。
東南アジアなど外国を含めると20種類ほどの種類のカマドウマが生息しています。
日本国内でも7種類のカマドウマが生息しており、一般的に「カマドウマ」と呼ばれている種は日本全国で見ることができますよ。
7種のカマドウマとは以下の通りです。
- カマドウマ
- エラブカマドウマ
- ヤクカマドウマ
- アグニカマドウマ
- クメカマドウマ(ヒメクメカマドウマ)
- メシマカマドウマ
- アマギカマドウマ
ただし、どれもよく似た毛状をしているために分類が難しく、まだ分かっていない事が多い虫でもあるのだとか。
カマドウマの特徴
夜行性ですので、夜や薄暗い場所で見かける事が多いです。
またバッタの仲間なのにも関わらず、翅を持たないという変わった特徴を持っているのです。
幼虫はもちろん、成虫になっても翅を持つことはなく、コオロギのように翅をこすり合わせて鳴くという事もありません。
バッタらしく後足が非常に発達しており、凄まじい跳躍力を持つ虫でもあります。
なんと3メートルもの距離を跳ねて移動することができるとも言われ、その跳躍力のすさまじさから、何かに激突してそのまま死んでしまうという事例もあったようですね。
ただ、その容姿がややグロテスクと言われて嫌われている虫でもあるんですね。
その理由というのが、カマドウマの体の色と模様、また体の3倍もの長さのある触覚や卵管などが目立つ為だと思います。
もしもカマドウマが地味な茶色ではなく、緑色をしていればそんなに嫌われることもないんじゃないかな?とも思えますよね。
カマドウマの餌
カマドウマは何でもよく食べる雑食性の虫です、
雑食性でも本当に幅広い食性を持つ雑食性で、様々なものを食べているようですね。
例えば動物の死骸や小さな虫、果物や野菜、カブトムシやクワガタムシが好むような樹液もカマドウマの好物です。
人間の食べたものの残飯や食べ物のカスなども餌になるため、これを狙って人家に侵入してくる場合も少なくないのです。
また頻繁に共食いすることもあるようですね。
カマドウマは害虫?
カマドウマは害虫として扱われることが非常に多く、実際に駆除対象になっていることもあります。
しかし害虫かどうかは、その「害虫の定義」によって異なってきます。
一般的に害虫というものは、
- 農作物を食害するような虫
- 病原菌を媒介するような虫
- 人を噛んだり刺したりして危害を加えるような虫
になります。
カマドウマはというと、これのどれにも当てはまらないのです。
つまり、一般的に言って害虫であるとは言えない虫なのです。
ただ、害虫にも他の定義があり、見た目がグロテスクなどという理由から、「不快害虫」として駆除対象になる場合もあるのです。
カマドウマの場合はこの「不快害虫」に該当するかと思います。
カマドウマの駆除や対策
カマドウマを家に侵入させない対策とは何でしょうか。
そもそも湿気が多い場所を好むので、部屋の湿気を取り除くために換気をするのが効果的だとされています。
台所やお風呂場など湿気が溜まりやすい場所は要注意ですね。
台所などでは食べ物の残飯や生ごみなど、カマドウマの餌になるものがたくさんあります。
残飯ををすぐに処分しておくことも大切ですね。
駆除する場合は殺虫剤などを使用する方法が一般的ですが、弱い殺虫剤では生命力が強いカマドウマにはなかなか効かず、暴れ回る可能性もありますので注意したいですね。
おススメは瞬間冷凍タイプの冷凍スプレーですね。
有害な成分も含まれていない為、室内で使用する場合には特におススメできるアイテムだと思います。
殺虫剤以外の対策方法では、掃除機で吸ってしまう方法が簡単で効果的ですね。
他にもガムテープでペタッとくっ付けてしまうという方法もあります。
直接人間に危害を加える害虫ではないため、放置しておいても問題ありませんが、やはり気になるという場合は上記の方法で駆除すると良いかと思います。
カマドウマとハリガネムシ
ハリガネムシという虫をご存知でしょうか。
バッタやカマキリなどに寄生し、水場に誘導して水場で繁殖するという奇虫なのですが、このカマドウマもハリガネムシに寄生されることでも知られています。
大きな腹部をもつカマドウマはハリガネムシにとって寄生しやすい虫なのかもしれませんね。
なお、ハリガネムシに関しては以下の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
ペットとして飼われている!?
世界には手のひらサイズの巨大なカマドウマも存在するらしく、なんとペットとして飼育されている種類もいるそうですよ。
ちょっと想像がしにくい(したくない)ですが、世の中には物好きがいるものですよね。
まとめ
いかがでしょうか。
実際にはカマドウマは何の危害も加えることのない無害な虫です。
しかし見た目が気持ち悪い事から、不快害虫として扱われているのは事実のようですね。
なるべく家に入れない為には、家の中を可能な限り清潔にしておく事、また湿気が溜まらないように適度に換気をする事などが大切になります。