カルガモ

カルガモ

バードウォッチングが趣味で、野鳥を観察するために遠出をしている人もいると思いますが、中には自宅付近や公園などで観察出来る野鳥もいます。

カルガモもそのひとつで、初夏になると親について歩く雛の姿をテレビなどで見たことがある人も多いと思います。

しかし、そんな微笑ましいカルガモですが、意外な一面があるようです。

カルガモとは、どのような鳥なのでしょうか。

カルガモの生態や寿命、餌などの特徴、意外な一面や人間との関係性を見ていきます。

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カルガモってどんな生き物?

カルガモが、カモ目カモ科に属する鳥です。

名前の通りカモの仲間で、黒褐色の羽毛とくちばしの先が黄色いのが特徴的です。

特に、くちばしの先が黄色いのはカモの仲間ではカルガモだけですので、覚えておけば他のカモの仲間と見分けがすぐに付きます。

湖沼や河川、住宅地など様々な場所に生息し、日本各地で繁殖している留鳥であるため、見かけたことがあるという人も多いのではないでしょうか。

 

カルガモの生態は?

鳥の仲間はオスとメスで毛の色が違って見分けが付く場合が多いですが、カルガモはオスとメスの見た目の違いがあまりありません。

しかし、子育てを行うのがメスのみなので、子どもを連れて歩いたり泳いだりしているカルガモは、メスと判断して良いでしょう。

そんなカルガモですが、懸念されているのが、「アヒルとの交雑が進んでいること」です。

原因として、「両者の繁殖地が近いこと」、なおかつ「両者が公園などにある池などで過度に餌付けされている」ことなどが挙げられます。

異なる種類の生き物が交雑することは、生態系に影響を与え、さらにはそれを崩してしまうことは容易に想像出来ると思います。

現に都市部に分布しているカルガモは、アヒルとの交雑種であることが多く、人間に対して警戒心を抱かなくなってしまいました。

これは一見良いことに見えるかも知れませんが、本来は狩猟対象で人間に警戒心を抱いているはずのカルガモが人間に警戒心を抱かなくなったことは、カルガモという種の破壊にも繋がりかねません。

可愛いから餌を与えたくなる気持ちは分かりますが、人間の行動が野生の動物に影響を与える可能性がことがあるということを、頭の片隅に置いておいた方が良いですね。

 

カルガモの寿命は?

カルガモの寿命は、野生では5年から10年くらい、人間の飼育下では10年から20年くらいだとだと言われています。

野生と人間の飼育下では、かなり寿命に差がありますね。

カルガモは1度に10個から12個の卵を産卵しますが、すべてが孵化し大人に育つ可能性は低いです。

また、無事に大人になってもカラスやイタチなどの天敵に食べれてしまったりなど、過酷な環境で生き抜かざるを得ないことから、野生と人間の飼育下で寿命に差が生まれるのではないかと思われます。

 

カルガモの餌は?

カルガモは雑食性ですので、植物の種子、水草、昆虫、エビなどを食べています。

田んぼなどに発生して稲を食べてしまうタニシを食べてくれるので良いイメージもありますが、肝心の稲も食べてしまうため、害鳥と見なされてしまうこともあるようです。

そのようなことから、カルガモは狩猟対象に指定されており、狩猟免許があれば狩ることが出来ます。

なおかつ、食べることも可能です。

なお、タニシを食べるとカルガモの肉に臭みが出るようで敬遠されますが、水草などの植物をたくさん食べたカルガモの肉は臭みが少なく美味しいとされています。

カルガモを提供している店舗は少ないですが、中には漁師さんが捕まえて知人などに振る舞うこともあるそうです。

機会があれば、チャレンジしてみても良いかも知れませんね。

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カルガモの雛がかわいい!?

どの生き物も子どもや雛は可愛いですが、カルガモの雛は特にふわふわで可愛いですよね。

しかも、ヨチヨチしながら一生懸命親の後ろをついて歩く姿がたまらなく可愛らしく、見ていて癒された人も多いのではないでしょうか。

この親の後ろを一生懸命ついて歩くのは、「刷り込み」が大きく関係しています。

「刷り込み」とは、「生まれてから最初に見た“声を出して動くもの”の後をついていくように先天的にインプットされた本能」で、カルガモをはじめとしたカモの仲間に見られる習性です。

大抵の場合、生まれてから初めて見るのは親で、親の後ろをついて歩くのは問題ありませんが、中には他の動物や人間を一番はじめに見てしまい、それらについて回る雛もいます。

そのため、動物園などの人間の飼育下では、人間を親だと勘違いしないように、カルガモの親に似せた手袋などを用いて刷り込みを防いでいます。

 

カルガモの子殺しについて

カルガモといえば、親の後ろを雛たちがついて歩く姿が印象的ですが、そのイメージにそぐわない意外な一面があります。

それは、「子殺し」です。

何やら恐ろしい響きですが、一体何故こんなことが起こるのでしょうか。

それは、「繁殖地の密度」の問題が密接に関わってきます。

繁殖地の密度が高くなればなるほど、自分の子どもが餌を食べられなくなる可能性が高くなります。

餌を食べられなくなるということは、子どもが死んでしまい自分の子孫が残せない。

生き物にとっては、一番避けなければならない由々しき事態です。

そこで、カルガモは「子殺し」を行います。

ですが、殺すのはほとんどの場合自分の子どもではなく、仲間や他のカモの仲間の子どもなのです。

つまり、自分の子孫を残すために仲間の子どもを犠牲にする行為が「子殺し」なのです。

 

カルガモ走行という言葉

高速道路を利用したときに、トラックなどの大きな車にぴったりくっついて料金を払わずに通過する車を見たことがある人もいるかと思います。

これを「カルガモ走行」といい、料金を払わずに通過するのはもちろん違法ですので絶対に真似しないで下さいね。

さて、何故このような走行を「カルガモ走行」と呼ぶのかというと、カルガモの親子の移動の仕方が大きく関係しているようです。

前述した通り、カルガモは親の後ろを子どもたちがぴったりくっついて歩きます。

その姿から、前の車にぴったりくっついて料金を払わずに通過する車がカルガモの親子に似ていることから、「カルガモ走行」と呼ぶようになりました。

ETCが普及し、無人の料金所が増えたことがカルガモ走行が増えた原因ではないかと考えられています。

違反行為に名前が使われるのはカルガモにとってはいい迷惑ですが、それだけ人間にとって親しみがあるという証拠なのかも知れません。

 

まとめ

カルガモの生態や寿命、餌などの特徴や意外な一面や人間との関係性を見てきました。

カルガモの雛が親について歩くのは、「刷り込み」という生まれながらに備わった本能が影響しているようです。

カルガモの親子は見ていて微笑ましいですが、自分の子どもを生き残らせるために他のカルガモやカモの仲間を犠牲にする、非情な一面があるのは衝撃的ですね。

カルガモは、人間はかなり近いところに生息しているため、問題が起きることもあります。

雛は特に可愛いですし、餌付けしたくなる気持ちは分かりますが、餌付けは環境保全の観点から自治体によっては禁止されている場合もあり、注意が必要です。

自分の都合で気まぐれに関わるのでなく、見守ってあげるのも優しさではないでしょうか。