公園などでも見ることが出来る身近な存在であるハト。
みんな同じ種類かと思いきや、キジバトやドバトなど色々な種類がいるようです。
キジバトの生態、ドバトとの違い、キジバトが飼えるかどうかについて見ていきます。
キジバトってどんな鳥?
キジバトは、ハト目ハト科に分類される鳥です。
別名を、「ヤマバト」ともいいます。
名前に「キジ」とありますが、キジの仲間では当然なく、翼の黒と赤褐色の模様がキジの模様に似ていることから「キジバト」と名付けられました。
鳥の仲間は、オスとメスで体の色が全く違うものもいますが、キジバトはオスとメスが同じ色で、茶褐色から紫灰色の羽毛が特徴です。
キジバトは、農耕地や森林などに生息し、日本全国至るところに分布しているため、見る機会が多い鳥のひとつです。
市街地でも見る機会が多く、街路樹や民家の屋根のひさしなどにも巣を作っているのを見ることもあります。
キジバトの寿命は?
キジバトの寿命は、10年から20年と言われています。
しかし、生まれた雛すべてが天寿を全うする可能性はとても低く、天敵のカラスやイヌワシなどに襲われて命を落とすことも多いようです。
また、キジバトは市街地でも観察することが出来るため、野良猫に襲われてしまうことも…。
なかなか厳しい環境で生きているようです。
キジバトの餌は?
キジバトは雑食性のため、種子や果実、昆虫や貝類、ミミズなどを食べます。
以上のことから分かる通り、基本的には何でも食べてしまいます。
そのため、農作物も食べてしまい、害鳥扱いされているところもあります。
現に、北海道では小豆を食べてしまい、害鳥扱いされています。
キジバトの生態は?
キジバトは、一夫一妻制の鳥で、夫婦で交代して子育てをします。
ツバメなどのように泥などで壊れないようにしっかりとした巣を作る鳥の仲間がいる一方で、キジバトの巣は小枝や枯れ草を組み合わせただけで底が見通せるなど、それらに比べるとかなり雑な作りをしています。
また、キジバトは1回の産卵で2個ほどの卵を生みますが、卵の数が少ないのにこんな雑な巣で卵がきちんと孵化するのか心配になります。
しかし、この卵を2個しか生まないことが良いこともあるようで、こんな雑な作りの巣でも卵に熱が伝わり孵化が出来るようです。
生まれた雛に昆虫などを食べさせる鳥の仲間がいる一方で、キジバトをはじめとしたハトの仲間は、生まれたばかりの雛に「ピジョンミルク」と呼ばれるものを与えます。
「鳥なのにミルクを飲むの?!」とビックリしますが、もちろん哺乳類ではないため母乳が出るわけではありません。
鳥の仲間には「素嚢(そのう)」と呼ばれる食道の一部に一時的に食べ物をためる役割がある器官があり、素嚢の壁が剥がれたものがピジョンミルクの材料になります。
ピジョンミルクは栄養が豊富で、雛たちは親のくちばしに顔を突っ込んでピジョンミルクを飲んでいます。
決まった時期に繁殖する鳥の仲間がいるのに対し、ハトの仲間は1年を通じて繁殖が可能ですが、それを支えているのがこのピジョンミルクなのです。
なお、ピジョンミルクはメスだけでなくオスも作ることが出来ます。
一夫一妻で夫婦で協力して子育てを行うキジバトですが、繁殖が上手くいかないなどトラブルがあった場合は、1回の繁殖でつがいを解消することもあるようです。
熱心に子育てする一方で、ずいぶんとあっさりとした一面もあるようですね。
キジバトの鳴き声
「デデッポポー、デデッポポー」という鳴き声で鳴きます。
この鳴き声は、繁殖期に相手を求めていたり、自分の縄張りを主張するための意味合いがあります。
キジバトとドバトの違いとは?
キジバトと同じように日本全国至るところに分布しているハトの仲間に「ドバト」がいます。
「ドバト」は一般的に呼ばれている名前で、正式名称は「カワラバト」といいます。
ドバトは、もともと伝書鳩として飼育されていた個体が逃げ出し、野生化したものです。
キジバトとドバト、両者に違いはあるのでしょうか。
違いをまとめてみました。
・キジバトとドバトでは、ドバトの方が少しだけ大きい。
・キジバトは日本に昔からいたハト、ドバトは海外からやって来たハトが逃げ出して野生化したもの。
・キジバトの寿命は10年から20年くらいだが、ドバトの寿命は6年ほど。
・キジバトは狩猟の対象に指定されているが、ドバトは指定されていないので狩猟してはいけない。
・キジバトとドバトでは、ドバトの方が羽毛のカラーバリエーションが豊富。
・ドバトは群れを作って行動するが、キジバトは単独か夫婦だけで行動する。
さて、生息地が近いと、他の種類と交配してしまう「交雑」の問題が起こることがあります。
現に、生息地が近いアヒルとカルガモの間には交雑が起こってしまっています。
同じように生息地が近いキジバトとドバトの間では、交雑は起こらないのでしょうか。
結論から言うと、「両者の間に交雑は起こらない」です。
キジバトもドバトもハト目ハト科に分類されていますが、この後の「属」が異なります。
キジバトは「キジバト属」、ドバトは「カワラバト属」に分類されています。
属が違うと交配しようという対象にはならず、結果として両者には交雑が起こらないのです。
キジバトって飼育できる?
キジバトをはじめとしたハトの仲間は、カラスやスズメなどと並ぶ身近な野鳥です。
身近にいるため、「飼育してみようかな?」と思う人もいるかと思います。
ですが、キジバトは結論から言うと、飼育することが出来ません。
そもそもキジバトは野鳥であるため、「鳥獣保護法」により飼育することが禁止されています。
また、狩猟免許がなくては捕獲や狩猟が出来ません。
近年、ジビエ料理としてキジバトが出されることもありますが、自分でも調理してみようとキジバトを捕獲することは出来ないので注意して下さい。
巣から落ちた雛や怪我をしたキジバトを一時的に保護することは出来ますが、もともとは野鳥であるため、なつくことは期待出来ません。
巣立ちの時期を迎えたり怪我が治ったら、すぐに放鳥してあげましょう。
まとめ
キジバトの生態、ドバトとの違い、キジバトが飼えるかどうかについて見てきました。
鳥なのに、ミルクをあげて雛を育てるのには驚きますね。
このピジョンミルクがあるから、キジバトをはじめとしたハトの仲間は安定して繁殖を行えるようです。
ドバトとは、羽毛の色や大きさ、寿命などで違いがあります。
キジバトは、飼育することが出来ないため、見つけても捕まえようとはしないで下さい。
そもそも、キジバトはドバトほど人間には慣れていないため、見つけてもそっと見守ってあげた方が良いでしょう。
我が家のベランダにいつの間にかキジバトが抱卵しておりました。そして2羽のひなが誕生しましたが、一羽はキジバトなのですが、もう一羽はどう見てもキジバトには見えません。羽の色はドバトそのものです。ここにはキジバトとドバトの交配は属が違うのであり得ないとのことですが、不思議な現象です。さいわい親子の写真を撮ることが出来たのでアップしたいのですが、ここにはアップできないので残念です。