タガメという昆虫をご存知でしょうか?
昔はタガメと言えば、そこらへんの田んぼでも普通に見かける水棲昆虫だったのですが、近年ではすっかり見かける事もなくなってしまいました。
2本の鎌状の手で獲物を捕まえて食べてしまう獰猛な印象も強い、そんな昆虫でもありますよね。
そんなタガメですが、「毒がある」のではないか、と言われていることもあるようですが、本当なのでしょうか。
またタガメは飼育することはできるのでしょうか。
今回はタガメの生態や飼育に関して詳しく調べてまとめてみました。
目次
タガメとは?
タガメはカメムシ目コオイムシ科に分類される水生昆虫です。
大きさは5㎝~6㎝くらいで、日本では北海道を除く日本全土に生息しています。
水田などの水流がない場所を好んで生息していますが、近年では農薬の使用や環境汚染などの影響により、その数は激減してしまいました。
現在では絶滅危惧II類に指定されている、ちょっとかわいそうな昆虫でもあるのです。
オオサンショウウオも絶滅危惧種ですが、天然記念物に指定されているので保護されていますが、タガメはそうではありません。
ですので保護対策が取られていないのが現状なので、このままではいつかタガメが姿を消してしまう日が来るかもしれません。
タガメの寿命は?
タガメは昆虫にしては長寿なのか、2年から3年くらいは生きてくれます。
しかし突然ポックリ死んでしまうという事も少なくないようですね。
タガメの食事
タガメは大きな鎌状の手を持っており、カエルやオタマジャクシ、小魚などを捕らえて食べてしまいます。
時にはヘビなどの爬虫類、さらにはネズミなどの哺乳類も捕食してしまうくらい獰猛な昆虫でもあるのです。
肉食ではありますが、食事の方法がやや特殊です。
口は針のように尖っており、獲物に突き刺して血を吸うかのように食事をしますが、実際には血を吸っている、というわけではないのです。
タガメは獲物に消化液を注入し、獲物の肉を溶かすことによって溶けた液状の肉を吸って食べているのです。
生き物は大抵、食べてから体内で消化するのですが、タガメの場合は食べる前に消化を行うというわけですね。
これを対外消化と呼びます。
タガメのメスは肉食女子!?
タガメ女という言葉があるようですね。
タガメのメスはかなりの肉食女子のような性格をしていることから、このような表現をされるようになったのででしょう。
通常タガメはオスが卵を守り、育てるのですが、タガメのメスは一切卵の世話をしません。
世話をしないばかりか、自分の産んだ卵でない卵を守っているオスを見つけると、卵を根こそぎ殺してしまうくらい獰猛な性格をしているのです。
これは自分の遺伝子を後世に残すための本能であり、ライオンのオスが自分の子供でない子ライオンを皆殺しにしてしまうことに良く似たものがあります。
自然界で子孫を残す、という事はそれだけ大変だということなのでしょうか。
タガメは食べる事ができる?
タガメを食用として調理して食べているという地域があるようですね。
イナゴも食用にされていますし、ハチの幼虫なんかも食用にされていますから、それだけ味も悪くないのでしょうか。
ちなみにタガメはイナゴ同様に佃煮にして食べる文化があるようですね。
佃煮だと食べやすくて案外イケるのでは・・?と思うのは私だけでしょうか。
タガメには毒がある?
タガメに噛まれると大変!
タガメに刺されると大ケガをする!
などと言われていることがありますが、本当にタガメは毒を持っているのでしょうか。
タガメは捕食の場面をみるに、まるで神経毒をもっているのはないかと思われていることもしばしばありますが、実際には毒は持っていません。
あくまで口から獲物の肉を溶かす消化液を出すくらいなのです。
毒をもらう心配はないのですが、噛まれないように注意することは重要です。
タガメのように消化液を注入するタイプの昆虫に噛まれた場合、体の組織が壊死してしまう事もありますので、油断は禁物なので注意しましょう!
タガメは飼育できる?
タガメは飼育することができる昆虫です。
飼育方法自体、それほど難しくはありませんので、観察してみるのも面白い昆虫でしょう。
ただし、餌が生き餌になりますので、餌を与えるのに抵抗がない人にしか飼育は難しいかもしれませんね。
また幼虫の飼育が特に難しいと言われています。
自然界でもタガメが無事に成虫になれる可能性は、極めて低いと言われているのです。
成虫の飼育方法
タガメの飼育にひつようなものは、30㎝くらいの水槽があれば十分飼育できます。
ただし、タガメは飛ぶ生き物ですので、フタがないと飛んで脱走してしまいます。
フタは用意するようにしましょう。
数が少ない場合は、昆虫用のプラケースでも飼育可能です。
水を6分目くらいまで入れ、水草を入れましょう。
水草はカボンバやホテイアオイなどがおススメです。
複数飼育する場合は水草を多めに入れると共食いを防ぐことができるようですね。
また水は水道水をすぐに使うのは良くありませんので、一日汲み置きしておいた水を使うようにしてください。
タガメの餌
餌はオタマジャクシなどになりますが、飼育下ではできるだけ安く簡単に手に入る餌が良いです。
タガメと同等か、それよりも小さい餌であれば大体食べてくれます。
飼育用の餌で最も代表的なものは金魚になるかと思います。
餌用に売られている金魚であれば、かなり安く入手することができますよ。
餌は与えただけ食べますが、与えすぎるとダメだという事はありませんので、適度に判断して与えれば良いでしょう。
ただし、繁殖期である5月~9月や、冬眠前の10月~11月には特に餌を良く食べます。
注意すべき点は、食べ残しによる水質悪化ですね。
タガメの成虫は水質の悪化にそれほど神経質になることはありませんが、幼虫の飼育の場合は水質が悪いとすぐに死んでしまうこともあるようです。
飼育適正水温は?
タガメの飼育水温は30℃を上回らないように注意してください。
タガメは高温にとても弱く、30℃を超えるとすぐに死んでしまいますので、夏場の水温上昇には注意し、飼育容器は涼しい直鎖日光の当たらない場所で保管するようにしてください。
タガメの幼虫の飼育方法
タガメは1齢幼虫から5齢幼虫まで、5回ほどの脱皮を繰り返して大きくなります。
飼育環境は成虫と同じで大丈夫ですが、水質の悪化には十分注意しましょう。
成虫に比べて遥かに死にやすく、生存率はかなり低いようです。
1齢幼虫kら成虫になるまでは、およそ1か月半~2か月くらいかかるようです。
幼虫は飛ぶことはありませんので、フタをしなくても逃げられることはありません。
餌に関しては成虫同様で大丈夫ですが、幼虫の大きさに合わせた大きさの餌でないと食べられない事もあります。
成長に合わせて餌のサイズを調整してあげましょう。
タガメの値段は?
タガメは通販でも購入する事ができます。
現在では自然界で捕獲するのもなかなか難しいかもしれませんので、タガメが手軽に欲しいという場合は、ショップで購入する方法が最も簡単かもしれませんね。
値段は一匹あたり2,500円くらいとなかなか高価なようですね。
個体数が激減していて珍しいということで、値段も高くなってしまうのでしょうね。
まとめ
タガメは毒を持っているのではなく、消化液を注入することで肉を溶かして餌を食べる生き物です。
噛まれても毒にやられるわけではありませんが、組織が壊死することもありますので、噛まれない事に越したことはありませんので、タガメに接する際には注意してください。
タガメは簡単に飼育できますが、幼虫の飼育は結構難しく、死んでしまう可能性が高いです。
しかし水質の悪化に注意していれば無事に成虫になってくれますので、頑張って成虫まで育ててみてはいかがでしょうか。