タカヘ

世界にはニワトリをはじめ、エミューやダチョウなどのいろんな種類の飛べない鳥が生息しています。
飛べない鳥といえば思い浮かぶのが「ニュージーランド」でじゃないでしょうか。

哺乳類のいない島国ということで、多くの鳥たちが独自の進化を遂げてきた国でもあります。今回はそんなニュージーランドに生息している飛べない鳥の一種である、「タカヘ」をご紹介します。

スポンサードリンク

飛べない鳥タカヘとは?

タカヘはニュージーランドにのみ生息している固有種で、国鳥のキーウィやカカポと同じような飛べない鳥です。

ツル目クイナ科に分類されている鳥で、日本のヤンバルクイナとよく似た姿をしています。タカヘとはニュージーランドの先住民のマオリ族が使うマオリ語の名前です。大きさはニワトリと同じくらいの大きさで、森林などで群れで生活しています。

キーウィと同じようにとても温厚な性格をしており、草や木の実を食べていますが、稀に小さな爬虫類なんかも食べているようです。

 

羽が退化していて飛べない

ニュージーランドには鳥類の天敵となる哺乳類が生息していなかったため、タカヘは飛ぶことをやめてしまいました。こうした羽が退化してしまった鳥類たちが多いというのもニュージーランドの大きな特徴のひとつなんです。

ニュージーランド固有種の飛べない鳥「キーウィ」や「カカポ」に関しては、以下の記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
キウイフルーツにそっくり!?飛べない鳥キーウィとは?生態は?
飛べないかわいい鳥、カカポ(フクロウオウム)とは?生態や求愛行動も!

数が激減、絶滅危惧種へ

鳥類の楽園と言われていたニュージーランドに大きな転機が訪れたのは18世紀の頃でした。ヨーロッパからの移民が進み、猫などの哺乳類が人の手によってニュージーランドに持ち込まれたことによって、タカヘにとって地獄が始まります。

度重なる森林伐採、環境開発によって棲み処を奪われ、時には哺乳類によって捕食され、タカヘの数はみるみるうちに少なくなっていったのです。

これは既に飛ぶことができなくなっていたタカヘにとっては大打撃で、飛んで逃げることも棲み処を変えることもできずに成す術がなかったと言えるでしょう。

1898年には既に4羽のタカヘの生息が確認できたのを最後に、ついに絶滅したと言われていたんです。しかしその後1948年にタカヘの生き残りが確認され、絶滅危惧種に指定されました。その後保護活動が進みましたが、そう上手くいかない理由があったのです。

タカヘによく似た鳥プケコ!?

そのままタカヘの保護活動が進めばよかったんですが、ひとつだけタカヘにとっても、保護する人間にとっても厄介なことがありました。

それはタカヘによく似た鳥、プケコの存在です。プケコはタカヘと非常によく似た姿をしており、一見すると区別がしにくい鳥です。例えが悪いかもしれませんが、まるでアライグマとタヌキのような、あれに通ずる感じがしました。

プケコはマオリ語の名前でして、他にはセイケイという名でも知られている鳥です。プケコはタカヘとは違い、ニュージーランド固有種ではなく、オーストラリアやヨーロッパ、アフリカなどに渡って広い分布域を持っています。飛べる鳥であるということがその大きな理由でしょうね。

このプケコの何が問題なのかというと、増えすぎていたために駆除対象になっていた鳥だったんです。タカヘとは真逆の対応というわけですね。

ハンターたちはプケコとよく似たタカヘという貴重な鳥の存在を聞かされていましたから、タカヘの存在については知っていました。でも一見して分かりにくいくらいに似ている両者ですから、ハンターも間違えることがあったんです。

実際に2008年に4羽のプケコを射殺したと思ったら、その4羽はタカヘだったとの事があったようです。タカヘはその頃たった21羽しか生息しておらず、4羽の射殺はかなりのダメージだったに違いありません。

スポンサードリンク

タカヘとプケコの違いは?

タカヘとプケコの見分け方はないのか!?と思われるでしょうが、実際には微妙に異なるポイントがありますので、じっとよく見れば見分けることは可能です。

タカヘ
タカヘ
タカヘの特徴
・全体的にずんぐりしている
・足がやや太い
・色がグラデーションがかっている
プケコ
プケコ
プケコの特徴
・タカヘよりもややスマート
・タカヘよりも足が細く長い
・青と黒の2色カラー
・飛べる

こうしてみると、体型やカラーに関しては両者を見比べる必要があるかな、と思いますよね。でも決定的な違いがひとつだけあって、プケコは飛べるということ。ハンターたちもプケコが飛んで逃げる際に撃てば、見間違えてタカヘを撃ってしまうこともなかったのではとも思いますよね。

タカヘの保護活動の成果

その後タカヘの保護活動として、センターでタカヘを手厚く保護したり、タカヘの繁殖率を高めるために雛の生存率をあげる取り組みが行われています。2008年現在、200羽を超えるタカヘが生息しており、個体数の回復が実現してきています。

まとめ

タカヘはニュージーランド固有種の飛べない鳥です。カカポやキーウィと同じように人間や人間によって持ち込まれた哺乳類によって急激に数を減らしてしまいました。

プケコという数が増えすぎてしまい、駆除対象になっている鳥と見た目が似ていることから間違えて射殺されるという悲しい過去もありました。

現在では保護活動の下、繁殖も進んでおり200羽を超えるくらいに個体数が回復してきています。