猫は水が大嫌い。
これは良く知られている事ですよね。
実際に水に濡れると酷く嫌がりますし、お風呂に入れたりシャンプーをしようとすると、まるで断末魔であるかのような声をあげて嫌がります。
一体どうして猫は水を極端に嫌がるのでしょうか。
犬は水を嫌がらないのに、どうしてだろうと疑問に思った人もいるのではないでしょうか。
今回はそんな疑問をスカッと解消するために、猫が水を嫌う理由について詳しく調べてまとめてみました。
本来猫が生息していた場所とは?
猫は昔から、特に古代エジプトの絵画にも描かれているように「砂漠」にルーツがあります。
最も古い種類の猫をご存知でしょうか。
現在の猫を辿っていくと、祖先は「リビアヤマネコ(アフリカヤマネコ)」に行きつくようです。
このリビアヤマネコ、実はアフリカの砂漠地帯に生息していた猫なんです。
砂漠といえば灼熱のイメージがありますよね。
しかしそれだけではなく、夜には極寒の寒さにも襲われる、まさに暑さと寒さ両方の耐性がないと生きていけないのです。
このリビアヤマネコは、昼と夜の寒暖差が激しい砂漠で生きていけるように、毛に秘密を持っています。
猫の毛が水嫌いの要因?
猫の毛は上毛と下毛も二層構造になっています。
この構造のお陰で太陽の熱を遮断することができ、また夜の寒さにも耐えうる保温効果も併せ持っているという特徴があります。
しかしこの毛、ちょっと問題があります。
暑さを遮断し、寒さを凌いでくれる毛ですが、水に濡れるとちょっと都合が悪いのです。
水に濡れると、体の水分を蒸発させるために「気化熱」が発生し、これが原因で体が冷えるのです。
水に濡れる事で体が冷えると体力も消耗し、夜の寒さに耐える事も出来ずに、最悪命の危険に晒されることになります。
猫の毛は水を弾きにくいという特徴があります。
つまり一度水に濡れると、なかなか乾きにくいのです。
そのまま濡れたままの時間が長ければ長いほど、気化熱により猫の体温が奪われていく事になってしまいます。
さらに砂漠では雨はほとんど降りませんので、そもそも水に対して馴れていなくて適応もできていません。
水に濡れる事自体、猫にとっては死を意味するくらい深刻な事なんです。
こういった事情がもとで、猫は水に濡れる事を極端に嫌うのですね。
水に濡れた猫は、なんとか濡れた体を乾かそうと体を舐めまわして毛づくろいを始めます。
猫の中では、そういった「濡れる=死ぬ」という本能が働いているんじゃないでしょうか。
水を嫌がらない猫もいる!?
猫は総じて水が嫌いである、というのは間違ってはいません。
しかし、水を嫌がらない猫もいるのも事実です。
一体どういう事なんでしょうか。
これには猫の「育ち」が大きく影響していると言われています。
猫が水を嫌がるのはそもそも「気化熱によって体温が奪われるのを避けるため」です。
ですので、濡れても体温が下がらないという場合、水を嫌がらない事もあるのです。
具体的には、温暖な地域に暮らしている猫がこれに当てはまります。
こういった地域は雨も暖かく、例え猫が濡れたとしても気化熱によって体温が奪われる心配も少ないです。
またこうした地域の猫は、川の中に飛び込んで平気で泳ぐ姿も見ることができるくらい水を嫌がらないものもいます。
育て方で水を嫌がらなくなる!?
生き物は何でもそうですが、幼い頃であればあるほど、周囲の環境からの影響を受けやすくなります。
懐くか懐かないかも幼い頃の接し方が肝心なように、水に対する耐性も子猫のうちの「慣れ」が重要になります。
水を怖がらなくなるためには、猫に水は濡れても危険なものではない、という認識を植え付ける必要があります。
また濡れても、死ぬことはないという安心感を与えることが出来れば、猫はシャンプーやお風呂を極端に嫌がることはなくなるのです。
この水に慣れさせるように出来得る期間を「社会化期」と呼びます。
その社会化期は「生後2週目~9週目くらい」と言われており、この期間でいかに水に慣れさせるかがポイントになります。
水に慣れさせる方法は?
いきなり水に慣れさせようとして、水にドボンとつけるのはやめましょう。
驚かせるだけでなく、嫌われてて警戒されてしまうだけです。
まずは水ではなく、猫にとって心地よく感じる「暖かいお湯」で徐々に慣らせてあげるのが良いでしょう。
またお湯の場合でもいきなりドボンは危険です。
お湯で濡らしたタオルなどを使って、体を拭いてあげるところから始めましょう。
少しずつ濡れる事への恐怖心を解いてあげる事がポイントとなります。
猫の種類によっても異なる
水嫌い克服の訓練をすることで、水に慣れさせることは可能ですが、これも猫の種類によって慣れやすさがあるようですね。
中でもターキッシュバン、ベンガル、メイクーン、アビシニアンなどは水を嫌がらない傾向があると言われていますので、水に慣れさせやすいと言われています。
また、猫にも性格がありますので、その猫の好奇心によっても異なると言えます。
水遊びに対する好奇心が旺盛な猫であればあるほど、水への耐性が強いと言えます。
まとめ
猫が水を嫌がるのには、猫のもともとの生息地が砂漠であるというルーツが要因と言えます。
しかし暖かい雨の多い地域の猫は、雨を嫌がらず、川で泳ぐなど猫らしからぬ行動をする事も多いです。
また幼い頃から水への恐怖心を解く工夫と努力をすることで、少しずつ水に慣れさせていく事は可能です。
猫の種類によっても水嫌いかどうかの違いがあるようです。
他にも猫の性格も要因の一つで、好奇心旺盛な猫ほど水に慣れやすいと言えますね。
水に慣れさせる場合は一気に慣れさせようとはせず、少しずつ慣らしていく事が大切です。