ミステリークレイフィッシュというザリガニがいるのをご存知ですか？
外国産のザリガニで、マーブルクレイフィッシュという名で通っていることも多いですが、日本ではミステリークレイフィッシュという名前で流通しています。ペット用としてかなり流通しており、あちこちのショップで見かけることも多いです。
このミステリークレイフィッシュですが、特定外来生物に指定されてしまうことが確実となり、今後飼育禁止になってしまうのです。
いったい何がどういった理由で特定外来生物に指定されてしまったのでしょうか。
今回はそんなミステリークレイフィッシュの特徴や凄さについてまとめてみました。
ミステリークレイフィッシュの特徴
ミステリークレイフィッシュはペット用に出回るだけあって大きくなり過ぎない、可愛らしいサイズのザリガニです。大きくなっても10センチて程度なので、アメリカザリガニよりも比較的飼育しやすいというメリットがあります。また見た目も色鮮やかで、飼育しているうちにコロコロと色が変わる特徴を持っており、飼育者を楽しませてくれるのもミステリークレイフィッシュの魅力の一つと言えるでしょう。
また入手もしやすく、値段もかなり手頃です。安いところでは一匹わずか100円で販売されていることもあり、珍しい色の個体であっても1000円程度で購入できることがほとんどです。
こうした入手のしやすさから購入、飼育する人も多いんですね。
単為生殖ができるすごいザリガニ
ミステリークレイフィッシュは見た目はよく見るアメリカザリガニのような普通のザリガニといった感じなのですが、なんと単為生殖ができる、とんでもない能力をもったザリガニなんです。
単為生殖とは、オスがおらずメス単体のみでどんどん自分のクローンを増やすかのように卵を産んで増えていくことができます。単為生殖が可能なザリガニは、世界のどこを探してもこのミステリークレイフィッシュだけなんです。
ミステリークレイフィッシュのルーツ
ミステリークレイフィッシュは近年になって誕生した新種のザリガニでして、ドイツで誕生した突然変異種です。通常ザリガニは2組の染色体を持っているのですが、ミステリークレイフィッシュは3組の染色体を持っていて、単為生殖ができる能力を得て誕生しました。もともとは北米産のザリガニが原種となっているようです。
メスのみで繁殖できる謎に包まれた不思議なザリガニということで、ミステリークレイフィッシュと呼ばれているんですね。
驚異的な繁殖力
ミステリークレイフィッシュの繁殖力はどれくらい凄いのでしょうか。
ミステリークレイフィッシュは産まれてからおよそ250日（8か月）程度で成熟し、卵を産める体になります。成熟してからは一年に数回（多い時で2ヶ月に一度のペース）で抱卵し、大量の卵が産まれます。
一度の抱卵で産まれる稚ザリガニは100匹ほどにも登り、すごい勢いで増えることがよくわかりますね。
実際にヨーロッパでは野生化したミステリークレイフィッシュが爆発的に増えており、問題視されているんです。単体で増えるので、一度増えてしまうと収束は困難を極めます。
日本でも既に野生化したミステリークレイフィッシュが発見されており、今後の生態系への影響が懸念されています。
日本での野生化されたミステリークレイフィッシュの発見は、まだ爆発的な数ではないと言えます。
しかし日本ではアメリカザリガニが既に帰化していることもあり、アメリカザリガニとの見分けがつきにくく、発見されにくいということもあるのかもしれません。
もしかすると、既にかなりの数のミステリークレイフィッシュが野生化している可能性も否定できないのです。
単為生殖しないアメリカザリガニでさえ、爆発的に繁殖して一気に生息域が広がってしまいましたから、ミステリークレイフィッシュが野に放たれればどういう事になるのか・・
考えただけでもちょっと怖いですね。
2020年11月から特定外来生物に指定
ミステリークレイフィッシュの脅威的な繁殖力が日本の生態系への重大な影響を及ぼす危険性が高いとして、ついに特定外来生物に指定されることが決まってしまいました。外来生物は在来種の生存を脅かし、絶滅に追いやったり、生態系を破壊してしまう引き金になりかねませんので、仕方ないところではあります。
今回の決定事項では、ミステリークレイフィッシュだけに留まらず、在来種のニホンザリガニとアメリカザリガニを除くすべての外国産のザリガニが特定外来生物に指定されることになりました。
特定外来生物に指定されたことにより、これからは外国産のザリガニは一切飼育ができなくなり、飼育に限らず販売や譲渡も一切禁止になります。
これまで飼育している個体に関しては手放さなければいけないわけではなく、自治体に届出を出すことでこれまで通り飼育継続が可能ですが、手続きはかなり面倒なようですね。
まとめ
ミステリークレイフィッシュは外国産のザリガニの一種で、単為生殖する特殊能力をもった珍しい種です。
これまでペットとして広まってきましたが、その爆発的な繁殖力の強さから日本の生態系への悪影響が懸念され、特定外来生物に指定されてしまいました。
今後ミステリークレイフィッシュを新たに飼育する事はできませんが、今まで飼育していた個体に関しては、自治体を通した手続きを踏むことによってのみ、これまで通り飼育継続が可能になります。
