光るホタルと光らないホタルがいるのをご存知ですか?
ホタルといえば、誰しもが夜空を舞う儚くも美しい光を想像するでしょう。
しかし、実はホタルの中でも光る種はほんの一部だということを知っている人はどれくらいいるのでしょうか。
そして、なぜホタルは光るのでしょうか?
今回は、ホタルの発光の理由やメカニズムについてご説明します。
光るホタルとは?
ホタルは、世界で約2000種類が見つかっており、そのうちの54種類が日本に生息しています。
日本に住むホタルのうち、多くは、南の島々で発見されているもので、実際に本州にいるのは約9種類です。
そのうち、ほとんどのホタルは発光せず、特に光るホタルとして有名なのは、「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」、「ヒメボタル」です。
実は、光るホタルはホタルという種属全体からみると、とても少数派なのです。
皆さんがホタルを思い浮かべたときにイメージするのは、このゲンジボタルやヘイケボタルのイメージでしょう。
ホタルが光る理由
では、なぜホタルは光るのでしょうか?
それは、ホタル同士がコミュニケーションをとり、子孫を残すためなのです。
ホタルは、オスメスともに発光することができますが、空を飛ぶのはオスだけです。
もちろんメスも飛べないわけではありませんが、普段はずっと草の上にいて光を出し、オスを待つのです。
オスは、発光しながら草の上で発光しているメスを探し出し、メスを見つけると草の上に降りたって、交尾をします。
交尾を終えたメスは、やがて受精卵を宿し、子孫が生まれるのです。
夜の暗闇の中ではホタル同士の発するこの光だけが頼りです。
ホタルのメスとオスは互いに光りを出し合いながら互いの位置を確認し合っているわけですね。
また最近では、オス同士のコミュニケーションなども確認されており、ホタルにとって光は、私たちの「言葉」と同じくらい大事なものだと考えられています。
ホタルの光は一般的に、光っては消えてを繰り返す、いわゆる「点滅」をしますが、この点滅の速度はホタルの種類、地域によって大きく異なっていることが知られています。
その地域のホタルは、その地域にあったコミュニケーションによって、光の点滅の仕方を変化させてきたのでしょう。
このことからも、ホタルの光は、とても重要なものだということが分かります。
ホタルの発光メカニズムとは?
では、ホタルはどのようなメカニズムで発光しているのでしょうか?
これには、「ルシフェリン」という発光物質が関わっています。
ホタルのおしりの発光する部分は、「発光器」と呼ばれていますが、この発光器をつくっている主要な細胞である「発光細胞」にこのルシフェリンという発光物質がつまっています。
ホタルの気管から運ばれてきた酸素と、「ルシフェラーゼ」という酵素により、ルシフェリンが酸化反応をうけると、発光エネルギーが生まれるという仕組みです。
発光細胞の更に外側には「反射細胞」という細胞が覆っており、この反射細胞が透明なので、光が細胞を透過して私たちに目に見えるのです。
このホタルの光は、熱を生み出さない「冷光」として有名です。
一般的に電球などが光ると一緒に熱がでますよね。
熱もエネルギーですから、光ると同時に、熱としてエネルギーが出ていってしまっているのです。
しかし、ホタルの光は、エネルギーの約98%が光りに変換されており、ものすごいエネルギー変換効率を誇っています。
ホタルのおしりから出ている光は実はとてもすごいメカニズムによってつくられている、というわけなのです。
まとめ
以上、今回はホタルの光る理由やメカニズムについて説明しました。
実際にホタルを見に行ったら、ホタルの美しい光を楽しむだけでなく、是非今回説明したことを思い出して、ホタル同士のコミュニケーションに思いを膨らませてみてください。
きっとより深みのある楽しいホタル観察ができることでしょう。
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