タヌキ

タヌキはしばしば「弱い生き物」だと思われています。車道ではねられて死んでいる動物をたまに見かけますが、特にタヌキは車に轢かれやすいとも言われています。
これはタヌキの習性によるものなんですが、よく絶滅せずに今まで生き残っているな、と言われているくらいなんです。

そんなタヌキですが、いったいなぜそこまで弱い動物だと言われているのでしょうか。

今回はそんなタヌキの習性や生態についてご紹介していきます。

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車に轢かれてしまう確率が高い動物

タヌキは一般的に森林や水辺などに生息しており、都会から少し離れた田舎に行くと、よく見かけることがあります。

しかし近年ではタヌキの生息している森林が伐採され切り開かれて、新たに道路が整備された場所も多くなってきました。

この事からもタヌキは林道の道路脇にも頻繁に目撃される機会が多くなったのです。

人間(車)とタヌキの接点が以前よりも多くなった、と言えますね。

以前より増してタヌキの生息範囲に車が通ることが多くなり、結果としてタヌキが車に轢かれてしまうリスクが急増した、ということです。

またタヌキが車に轢かれるのは夜が圧倒的に多いんです。次はその理由について解説します。

車のヘッドライトに驚く

タヌキは夜行性の動物です。夜に歩き回っているため、車のヘッドライトにびっくりして、身動きが取れないまま固まってしまうことが多いです。

タヌキはとても臆病な性格で、夜行性のために僅かな光でも良く見えるように目が発達しています
そのため、車のヘッドライトほどの明かりに照らされればびっくりしてしまうんです。
私たちもいきなり強烈な明かりを見ると、眩しすぎて何も見えませんよね。それと同じことなんです。

車の走行音と強烈なライトによって何もできずにその場で固まってしまい、結果として轢かれてしまうんですね。
夜間の車は特にスピードを出していることも多いですし、ドライバーも視界が悪くてタヌキを避けることが難しいということなのでしょう。

またタヌキは車のヘッドライトに驚いた際に、車に背を向けて、同じ進行方向にダッシュすることも多いと言われています。
これはタヌキに限った事ではありませんが、多くの夜行性の動物は強烈な光が苦手。眩しすぎて何が何だかも分からなくなって、とりあえず動きやすい前方に向かって飛び出すか、光に背を向けてダッシュしてしまうんです。

一般的にシカやキツネなどの他の野生動物は、車のヘッドライトに驚くと、道路から離れるように茂みの中に逃げていくといわれています。キツネなどがあまり轢かれたという話をきかないのはこのためですね。
こういった驚いてからの対応の違いからも、夜行性のタヌキが車に轢かれてしまうリスクが高い要因のひとつになっているのです。

一夫一妻制

タヌキは動物の中でも珍しく、一夫一妻制の動物です。一夫一妻制の動物は全体のわずか3%しかいないそうなので、凄く珍しい動物の一種なんですね。

タヌキは一度決めたパートナーと生涯を共にし、そのパートナーとだけ子供を作ります。
また子育てに関しても、夫婦で協力して子供を育てるという特徴があります。餌を運んだり、毛繕いをしたりといろんな場面で家族同士で助け合いながら生活しているんです。

この習性がタヌキの事故死に大きく関わってくるわけでして、タヌキの夫婦の片方が事故に遭い死んでしまうと、もう片方がその場所に未練があってまた戻ってくるのです。

新しくパートナーを作ることをしませんし、何度も何度もパートナーが事故に遭った現場に通うというのです。
すごく一途な動物なんだと思ってしまいますよね。
事故現場は車の通り道ですから、そうこうして何度も通っているうちに自分も車に轢かれてしまうことが多いのです。

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子供のタヌキが轢かれやすい

タヌキの繁殖期は冬でして、春頃になるとタヌキの子供も大きく育ち、狩りを覚えるようになります。
狩りの練習はタヌキの両親が教えるため、春になるとタヌキの親子が道路脇を一緒に歩いている姿を多く見るようになります。

この時に子供のタヌキが車に轢かれるリスクがとても高いんです。子供のタヌキは警戒心がかなり低く、好奇心も旺盛だから仕方ありません。実際にタヌキが事故に遭うのが最も多い時期は、子供のタヌキが独り立ちをする秋(10月~11月頃)が最も多いということです。

タヌキが絶滅していない理由

これほど事故に遭いやすく、死んでしまうリスクも高いタヌキですが、今まで生き残ってこれた理由はいくつかあるのでご紹介します。

狸寝入り(死んだふり)

狸寝入りという、寝たふりをするという言葉がありますよね。
これは猟銃の音に驚いて固まってひっくり返り、気絶してしまったタヌキに準えてできた言葉なんです。
タヌキは危険が迫ると死んだふりをして危険回避を行います。これにより天敵に襲われずに済むことがあるわけです。

タヌキの肉は美味しくないので食べられない

タヌキの肉は牛や豚の肉と比べると、とても固くて食べにくいんです。また臭みが多くて汁物にも合わずにとても食べられたものではない、と言われています。
どうにかあの手この手で臭みを消せば食べられない事はないようですが、そこまでしてタヌキの肉を食べようとする人間もいなかったのでしょう。

しかし一方で「タヌキ汁」という料理もありますよね。実はこれはタヌキではなく、タヌキによく似たアナグマという別の生き物を使った料理ではないか、と言われています。
一見するとよく似ているようにも見えますが、やっぱり全然違う動物ですよね。

アナグマ
アナグマ

タヌキは何でも食べる

タヌキは雑食性ですので、何でも食べます。果物や木の実はもちろん、小さな虫や爬虫類も食べます。
またネズミや小鳥なども捕らえて食べますので、基本的に食べ物には苦労しにくい生態だと言えるんです。
ですので森林伐採で住むところが少なくなってしまっても、食べるものにそれほど困らない、というのがタヌキが生き残れる大きな理由のひとつではないでしょうか。

まとめ

タヌキは森林伐採によってできた林道で車に轢かれて死んでしまうことが多く、特に夜行性のために夜に事故に遭う可能性が高いです。
一夫一妻制の珍しい動物であるため、片方が事故に遭うともう片方が同じ事故現場に通う様になるため、結果として両方事故に遭う可能性が高くなってしまいます。
また親子で一緒に歩いている際にも、一緒に事故に合う事もありますし、警戒心の低い子供が事故に遭ってしまうケースも多くあります。
家族を失ったタヌキは事故現場によく現れますので、やはりまた事故にあってしまうという負の連鎖に陥ってしまうことも多々あるのです。