ホウジャク

ハチドリという世界最小の鳥がいて、とても可愛らし姿から人気が高く、ハチドリを見に旅行に行く人もいるくらいです。

そんなハチドリですが、日本には生息しておらずアメリカ大陸でしか見ることができません。しかし日本国内でハチドリを見た!という目撃例が多発しているんです。

これはハチドリではなく、ハチドリに似たオオスカシバやホウジャクという虫なんですよ。いったいどのような虫なのでしょうか。

今回はハチドリによく似た虫、オオスカシバやホウジャクについて詳しくご紹介していきます。

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オオスカシバとは?

オオスカシバはスズメガという蛾の一種です。羽を広げると5㎝ほどの大きさです。蛾の一種ですが、昼行性ですので昼間に花がたくさん咲いている場所で見ることができます。

スカシバというのは「透翅」という意味で、透明な翅を持っているのが特徴的です。羽化したてのオオスカシバは蛾らしく羽に白い鱗粉がついているのですが、何度か飛ぶうちに鱗粉が落ちてしまい、透明な羽になるんです。

体の色はきれいな黄緑色をしており、体には小さな毛が生えており、モフモフとした外見はまるでハチドリのようでもあります。しっぽ(おしり?)を広げた姿はまるでエビのようだとも言われていますよ。

ハチドリと見間違えるのは外見だけではなく、ホバリングができるところにもあります。ホバリングはトンボも良く行っているのですが、空中で羽ばたきながら静止できる能力です。オオスカシバは花の蜜を吸うため、ホバリングしながら花から花へと飛び回っている姿をよく目にします。

ホウジャクとは?

ホウジャクもオオスカシバ同様にスズメガの一種です。ホウジャクとは「蜂雀」と書くことからもハチによく似た蛾で、実際にハチに擬態しているんです。

見た目は茶色のオオスカシバという感じで、オオスカシバよりも地味な外見をしています。街中でよく見かけるホウジャクはホシホウジャクという種類のようですね。

ホウジャクも花の蜜を吸うためにホバリングをしながら花から花へと飛び回ります。昼行性ですが蛾のように灯りに集まることもありますよ。

ホウジャクの仲間はたくさんいて、ホバリングできることの他にも高速で飛行できるのも特徴的です。速い種類だとなんと時速50キロの速さで飛ぶことができるのだとか。なんだか蛾だとは思えないようなスピードですよね。

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シートンとホウジャク

シートン動物記で有名なシートンにも、ホウジャクにまつわるエピソードがあります。シートンの少年時代、学校の友達に「庭に飛んできたハチドリがいるんだけど、ハチドリとちょっと違うみたいなので見てほしい!」と言われ、友達の家に見に行った時の話が書き綴られています。

アメリカの人もやっぱりホウジャクをハチドリと見間違えることがあったようですね。アメリカにはちゃんとハチドリが生息していますから、見間違うことも多々あった事でしょう。

オスカシバやホウジャクには毒はある?

ハチドリと似ている他にもハチと間違われる事も多いホウジャク。羽ばたくと「ブーン」といういかにもハチのような音がするのでドキッとした!という人もかなり多いようです。

刺されるのでは!?
毒があるんじゃないの!?

と心配する人もかなり多いのですが、心配いりません。オオスカシバもホウジャクも毒は一切持っていません。性格もスズメバチのように攻撃的ではなくかなり温厚な可愛らしい虫です。

また花の蜜を吸うので、口はチョウのようにストロー状になっています。牙のようなものも持っていませんので噛まれるという心配も全くありませんよ。

オオスカシバは害虫!?

オオスカシバは時として害虫呼ばわりされることがあります。しかしこれは成虫のオオスカシバではなく、幼虫のオオスカシバのことですね。

オオスカシバの幼虫はクチナシの葉を食べて育ちます。食べる量は蛾の幼虫らしくかなり多いとされています。幼虫が数匹棲みついたクチナシは葉っぱがなくなってしまうくらいに大食らいなんですよ。ガーデニングでクチナシを育てて楽しんでいる人たちからすれば、オオスカシバの幼虫はにっくき害虫となるようですね。

オオスカシバの愛好家がいる!?

オオスカシバの顔をよく見ると、とても可愛らしい顔をしています。そのきれいな緑色でモフモフの見た目や可愛らしい顔からもオオスカシバを好んで飼育している人もいるみたいです。

蛾は苦手だけど、オオスカシバならOKという人もかなり多いみたいですよ。私も鱗粉が付いている蛾は苦手ですが、オオスカシバは確かにあまり抵抗を感じないですね。よく見たら確かに可愛い。

オオスカシバは手乗りになる!?

オオスカシバを幼虫から育てて、まるで手乗りインコのように手乗りオオスカシバを育て上げる人まで出てきています。

オオスカシバは虫です。鳥のように懐くということはないのでしょうが、幼虫から育て上げたオオスカシバがきれいな成虫に羽化した時には、かなりの嬉しさがあるのかもしれませんね。

オオスカシバの成虫の餌

オオスカシバを飼育したい!と思ったら餌を与えないといけませんよね。オオスカシバは花の蜜を吸うのですが、飼育環境下では花の蜜を与えるのは難しいです。

飼育されている方の一例を紹介すると、ハチミツリンゴの果汁をスポーツドリンクで割って混ぜたものを与えることができるみたいですね。

シリンジで給餌する光景をみると、まるで懐いているのかと思うくらい可愛らしいですよね。オオスカシバにハマる人の気持ちがちょっと分かったような気がします。

まとめ

日本で見かけたハチドリっぽい生き物は、オオスカシバやホウジャクというスズメガと呼ばれる蛾の一種です。どちらも蛾でハチのような毒針も牙も持っていませんので刺される心配はないですし、性格も温厚なので全くの無害です。

オオスカシバはきれいな見た目と可愛い顔つきから愛好家もいて、飼育されていることもあります。蛾ですがまるで懐いているかのような給餌シーンを見ていると、なんだか癒されますね。