ヤンバルクイナ

ヤンバルクイナ

「沖縄を代表する鳥といえば何でしょうか?」と質問されたら、「ヤンバルクイナ!」と答える人も多いと思います。

沖縄の県の鳥(県鳥)に制定されている…と思われているヤンバルクイナですが、実は沖縄県の県鳥は「ノグチゲラ」。

ヤンバルクイナは県鳥ではありませんが、沖縄をPRするキャラクターなどにさいようされたりなど、沖縄県を代表する鳥として抜群の知名度を持つのは間違いないでしょう。

では、ヤンバルクイナとは一体どのような鳥なのでしょうか。

どこに生息し、鳥の仲間だから当然飛ぶことも出来るのでしょうか。

気になるヤンバルクイナの生態や生息地、飛ぶことが出来るか否かについて見ていきます。

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ヤンバルクイナってどんな鳥?

ヤンバルクイナは、ツル目クイナ科ヤンバルクイナ目に属する鳥の仲間です。

国の「天然記念物」に指定されている数の少ない珍しい鳥でもあります。

ヤンバルクイナは、赤い目と赤いくちばし、暗いオリーブ色の羽毛とお腹にかけて黒地に白の縦縞模様の羽毛が特徴的です。

暗いオリーブ色の羽毛は成鳥だけの特徴で、雛は黒い羽毛に覆われています。

クイナは漢字で「水鶏」と書き、「水辺に住む鶏に似た鳥」という意味があります。

また、ヤンバルは漢字で「山原」と書きますが、ヤンバルクイナは沖縄本島山原地域で発見された「新種のクイナ」だったため、このような名前が付けられました。

クイナの仲間は日本だけでなくユーラシア大陸やアフリカ大陸などに分布しているものもいますが、ヤンバルクイナは日本固有種で沖縄本島北部のみに生息しています。

 

ヤンバルクイナの生態は?

ヤンバルクイナは、常緑広葉樹林に生息しています。

ヤンバルクイナは雑食性で、種子や昆虫、カタツムリ、カニなどを食べます。

巣はモズなどのように木の上に作るのではなく、地表に枯れ葉などを組み合わせて作り、3個から5個の卵を生みます。

雛が成長すると、親鳥は縄張りから追い出すような仕草を取ります。

人間では親離れ・子離れ出来ないという問題が発生することがありますが、ヤンバルクイナに関しては心配ご無用なようですね。

なお、ヤンバルクイナは、特定のパートナーと生涯添い遂げるのではないかと考えられていますが、数が少ないため、よく分かっていない部分もあります。

 

ヤンバルクイナの生息地について

前述した通り、ヤンバルクイナの生息地は沖縄本島北部です。

といっても、沖縄本島北部全域に生息しているわけではなく、その中にある大宜味村・東村・国頭村の3つの村にまたがる地域を「山原」といい、ヤンバルクイナはこの山原地域にしか生息していないのです。

したがって、世界中探しても、野生のヤンバルクイナを観察出来るのは沖縄本島北部・山原地域のみです。

現在1000羽ほどが生息しているのではないかと考えられています。

 

ヤンバルクイナの寿命

ヤンバルクイナの寿命は、おそらく15年くらいではないかと言われています。

「おそらく」という言葉が付くのは、ヤンバルクイナが1981年に発見された比較的新しい鳥の仲間だからです。

しかも、絶滅が危惧されるほど数も少ないため、寿命など分かっていない点が多々あるのです。

人間の飼育下で最も長生きしたヤンバルクイナが15歳で死亡したので、何もなければこれくらい生きられるのではないかと思いますが、野生ではまた勝手が違うようです。

ヤンバルクイナが生息している沖縄県のお土産として人気があるもののひとつに、「ハブ酒」があります。

ハブ酒は、血や内臓を取り除いたハブを泡盛などのお酒に漬けたもので、滋養強壮に効果があると言われています。

しかし、ハブは毒を持っており、人間が襲われる危険性があるために、ハブの天敵であるマングースの仲間である「フイリマングース」が 外国より持ち込まれました。

フイリマングースはハブを退治してくれますが、それと同じようにヤンバルクイナやアマミノクロウサギといった他の野生動物まで食べてしまい、問題になっています。

また、5月から6月にかけての子育て中に餌を探している親鳥が誤って車道に出てしまい、車に轢かれて命を落とす痛ましい出来事も起こっています。

このような事情から、ヤンバルクイナの寿命などはまだまだ分からないことがたくさんあるのです。

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ヤンバルクイナの鳴き声は?

ヤンバルクイナは「キョキョキョキョ」と鳴きます。

この鳴き声は、夕方に聞くことが出来る鳴き声で、何と500m離れたところにいても聞こえてくるくらい大きな鳴き声で、縄張りを主張している可能性があります。

また、「クリリーヤ」という鳴き声がありますが、これは繁殖期に自分のパートナーに対しての呼びかけではないかと考えられています。

 

 

ヤンバルクイナは飛べない?

鳥類の特徴といえば、空を飛ぶことが出来る翼です。

ヤンバルクイナも鳥の仲間ですので、ちゃんと翼があります。

しかし、肝心の翼が小さすぎるのと筋肉が少ないため、空を飛ぶことが出来ません。

これは、生息地である沖縄本島北部に本来はヤンバルクイナの天敵がいなかったために空を飛んで逃げる必要がなく、翼が退化したのではないかと考えられています。

空を飛ぶことは出来ませんが木登りは得意なようで、夜間は木の上に行き、体を休めます。

これは、天敵のヘビなどから身を守るためではないかと考えられています。

また、ヤンバルクイナは足が早いという長所があり、時速30kmほどで走ることが出来るようです。

 

まとめ

ヤンバルクイナの生態や生息地、飛べるか否かを見てきました。

ヤンバルクイナは1981年に発見されたため、分かっていないことも多く、生息地も沖縄本島北部・山原地域のみです。

このことからも、数がかなり少ない貴重な鳥であることが分かると思います。

本来山原地域には、ヤンバルクイナの天敵になる動物がいなかったために、ヤンバルクイナは飛ぶ能力を持たなくても生き延びることが出来ました。

しかし、人間が持ち込んだフイリマングースなどによって数が減少し、絶滅の危機に瀕しています。

また、餌を求めて車道に出てしまい、車に轢かれて命を落とすこともあります。

さらには、森林伐採により生息地が減少したり分断されている実態もあります。

人間の都合などで貴重な野鳥が絶滅してしまうのは、とても残念なことです。

沖縄は国内有数の観光地で人気がありますが、訪れた際はヤンバルクイナにも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。