カッコウ

カッコウは托卵をする鳥で有名です。そもそもなぜ托卵をするのでしょうか。托卵をすれば何かいいことがあるのでしょうか。

また托卵をされる他の種類の鳥たちとの攻防も結構すごいんですよね。

今回はそんな変わった習性を持つカッコウについてご紹介します。

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托卵とは?

托卵とは「たくらん」と読みます。卵を自分で育てずに、全く別の種類の鳥に変わりに雛を育ててもらう習性を托卵と呼びます。一種の寄生のような感覚ですね。カッコウのように自分とは違う他の種類の生き物に対して行う托卵を「種間托卵」と呼びます。

カッコウだけではなく、托卵行う鳥は他にもいます。「種内托卵」と言って、同じ種類の鳥同士が托卵し合うような習性を持つものもいるんです。ダチョウやムクドリがそれに当たります。

そして鳥類だけでなく、爬虫類や魚類、昆虫にも托卵を行う種類がいることが確認されています。

他にも人工的な托卵というものもあるんです。動物園などで人工的に繁殖が難しい種類の生き物を育てる場合、近縁種の親鳥に育てさせる、という方法が用いられることがあります。卵を孵化させて雛を育てさせる方法と、卵を仮の親に抱卵させて孵化させるといった手法が取られます。

カッコウの托卵については以下の記事でも詳しくご紹介していますので、併せてぜひご覧ください。
カッコウってどんな鳥?子育てや托卵について解説!

托卵のメリット

托卵のメリットは2つあります。

・産卵に集中できること
・他の事に時間と体力を使える

托卵をする鳥の特徴に「多産」というものがあります。カッコウは一つの巣に対して一つの卵を産みつけますが、トータルで産む卵の数はかなり多いのです。通常、鳥が産む卵は4つ程度に対して、カッコウが産む卵は総じて10個近く産むこともあるんだそうです。

次々に托卵をしていく中で、自分はより多くの卵をひたすら産み付け、子孫を残しやすい仕組みになっているということになります。カッコウの托卵は生き残るための知恵の一つ、というわけですね。

またカッコウは渡り鳥です。渡り鳥には長距離飛行をするという習性がありますよね。他の鳥に子育てを任せ、自分は子育てをしないで場所の移動に時間と体力を使えるというわけです。

托卵するとバレないの?

托卵された親鳥にバレることはないのか?と思ってしまいますよね。結論から言うと、思いっきりバレてしまいます。この辺りの攻防がなかなか面白くもあるんです。

かつてカッコウの托卵はホオジロという小鳥の巣がターゲットにされている傾向にありました。親鳥がいないのを見計らってコッソリと産みつけるんです。しかし近年ではホオジロがカッコウの托卵に気付くことが多くなりバレてしまうようになったため、ホオジロの巣には托卵されにくくなってきているとのこと。代わりに他の小鳥の巣が狙われるようになったのだそうです。

托卵する側とされる側で、長い年月をかけてこうした攻防が繰り広げられてきたんですよ。現在ではオナガという鳥が托卵のターゲットにされることが多いようですね。

カッコウもバレないように知恵を持っており、自分の卵と同じような見た目の卵がある巣を狙いますし、卵を産む際に巣の卵を一つ投げ捨てるといった悪知恵も持っているんです。

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托卵した卵は一番最初に孵化する

托卵したカッコウの卵は基本的に一番早くに孵化することが多いです。カッコウの雛にはとある習性があるんです。それは「自分の背中に当たったものを排除する」というもの。つまり孵化してから自分の背中に当たった他の卵や雛を巣の外に放り出すという何とも恐ろしい習性とも言えるでしょう。しかもカッコウの雛の背中には、卵や雛が乗っかりやすい様に窪みができているのです。

ちなみにカッコウの雛の孵化が遅くなってしまった場合は、他の雛と一緒に育つということもあります。

カッコウの雛が大きくなっても世話をする

カッコウ

カッコウの雛が大きくなってきて明らかに自分よりも大きく、おかしいと感じるようなサイズになったとしても、仮親は雛を育て続けるのです。2週間で仮親の体重の4倍ほどの大きさになるので、ちょっとあり得ないですよね。

また逆に、自分の本当の卵が巣からちょっとでも出てしまった場合、その卵は育てることはないのです。あくまでも巣の中にずっといる卵や雛のみを育てるという本能を持っているので、いくら育った雛のサイズがおかしくても何のためらいも持たずに育て続けるのです。

托卵される鳥も黙っていない!

托卵される側の鳥たちもただ黙って托卵されるわけではないです。カッコウを見かけると激しく攻撃して追い払おうとするんです。ちゃんとカッコウが托卵をする敵だという認識があるということですね。

鳩時計はカッコウ時計!?

鳩時計の音を聞いた事がありますか?あの音、「カッコウ、カッコウ」という音に聞こえませんか?そうなんです。鳩時計は実はカッコウ時計なんです。なぜ鳩時計という名前になったのかというと、カッコウとは「閑古鳥」とも呼ばれます。「閑古鳥が鳴く」という言葉がありますよね。こう考えるとあまり縁起の良い名前ではありません。これを嫌って敢えて鳩時計と呼ぶようにしたんだそうですよ。