進化

生き物の進化というと、どんなイメージを持っていますか?

大きくなる?
パワーアップする?
より良い形に姿が変わる?
新しい能力を得る?

色んなイメージがありますよね。多くの人は以前よりも、「強くなる」とか「より大きくなる」のを想像してしまうのではないでしょうか。
ポケモンなどのゲームにもそういった進化のイメージが強く反映されているように思います。

しかし、「本当の生き物の進化」とは、多くの人が思っている進化とは全く別であり、みんなが誤解をしているというのです。

今回はそんな生き物の進化について、詳しくご紹介していきたいと思います。

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キリンの首が長くなったのは偶然!?

長い首が特徴的な動物「キリン」も高いところの葉っぱを食べるために長い年月を経て首が長く進化した、と言われています。

しかしそれは間違いです。高いところの葉っぱを食べるために首が長くなったのではなく、「たまたま首の長いキリンが現れた」ことによる偶然の産物だったのです。

キリンはもともとは首が今ほど長くなかったのですが、突然変異により首が長いキリンが産まれました。
普通のキリンと首の長いキリンが一緒に生活する事になりますが、当然餌には限りがあり、餌不足になるような状況も多々あったはずです。
そんな中でも首が長いキリンは木の高い所にある葉っぱも食べることができましたが、首が短いキリンは低い場所の葉っぱしか食べることができません。

そのため、次第に首が長いキリンが多く生き残るようになり、首が長いキリン同士で子孫を残すようになってきました。そして長い年月を経て、キリンの首は長いものとして定着したのです。

つまり、キリンの首が長くなるという「進化」は、キリンの「高いところの葉っぱを食べるため」という意思は全く関係がなく、たまたま首が長いキリンが産まれてしまったために、首の短いキリンが次第に淘汰されていった、ということになるわけですね。

ゾウの鼻が長いのは偶然!?

キリンと同じように、ゾウの鼻が長いのも偶然の産物と言えるでしょう。
ゾウの祖先はもともと、現在のような草原ではなく湿地に生息していてバクのような短い鼻を持っていました。しかし草原に生息地を移す際に、長い鼻の方が餌を探すのに便利だったのです。

草原で生きるのに、より長い鼻を持って生まれたゾウが生き残り、やがて鼻の長いゾウ同士が子孫を残すようになったために、現在のゾウは鼻が長いのです。

進化とは新しい環境に適応できた際の変化

進化ときくと、進んだイメージからどうしても以前よりも良くなったという印象を持ちがちです。
でもそうでもない進化もあるのです。
その昔、今とは比べ物にならない大きな体を持つ哺乳類が生息しました。
しかし彼らは現在ほぼすべて絶滅してしまっています。
それはなぜでしょうか。
その理由の一つに、「必要とするエネルギーがたくさん必要だったから」というものがあります。
何メートルもの大きな体を維持するためには、それ相応の餌が必要となります。
しかしいつもそれだけ豊富な餌が食べられるかというと、そうではありません。
餌不足になった際に生き残った生き物は、比較的体の小さい、生きるのにそれほど多くの餌を食べる必要のない生き物だったと言われています。

例えば、大型哺乳類に比べて格段に小さなネズミ類が代表的な例でしょう。
またナマケモノなんかも、ほとんど食べ物を口にせず、一日にわずか8gほどの餌と、自分の体に生えた苔を食べる程度で生きていけるという省エネの極みのような体質のため、生き残ったと言われています。
ですので、必ずしも小さいものから大きなものに進化した、非力なものから強力にパワーアップした、というのが進化であるとは言い切れないということですね。

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陸に上がった生き物は生存競争の負け組なのか?

生き物はもともとはすべて海で産まれ、海で生活していました。私たちの祖先もすべて海に生息していた、という話は良く知られています。
しかし、海から陸に上がって進化したとは言われているものの、その進化は陸に上がったから海の生き物よりも優位に立った、と考えるのはちょっと考え物ですね。

そもそも、なぜ私たちの祖先は海から陸に上がる必要があったのか。
その理由はただひとつ。
海での生存競争に敗れたから」に他なりません。
ライバルたちに敗れ、海で生きることが難しくなったため、新たな生息域を求めて陸に上がったのです。
しかし初めの頃は、せっかく陸地に上がっても生き物はおらず、餌不足のため絶滅してしまった生き物も多いようで、また海に戻っていった生き物もいたと言われていますね。

当時の陸に上がった生き物たちからすると、陸地の酸素は毒でもあり、酸素という毒に打ち勝ったごく僅かな生き物だけが陸地の環境に適応でき、陸地で生きて繁殖するようになったというわけです。

海で生きられるのなら、何も無理に陸地に上がって危険な思いをする必要がなかったわけですから、私たちは海での生存競争に敗れた負け組なのでは?という面白い意見もあるというわけですね。

まとめ

「進化」とは生き物の意思とは関係なく、生き物が偶然変化した形で誕生したことがきっかけとなり、生存競争に勝った際の環境への適応であると言えます。
必ずしも「進化」は大きくなったり「パワーアップ」したりというわけではなく、むしろその逆とも言える場合もあり、あまり食べないからであったり、小さかったから環境に適応できたという事例がかなり多いのも事実です。

たくさんの生き物は様々な環境で進化してきました。
現在生息している生き物たちの進化の過程を知らべてみると、意外と面白いかもしれませんよ。