レッドビーシュリンプの繁殖はアクアリストであれば一度は挑戦したいことの一つでしょう。しかしレッドビーシュリンプの繁殖はおろか、安定的な飼育でさえも難しと言われれているくらい、繁殖は容易ではない場合があります。
繁殖を成功させるポイントはいくつかありますが、その中でも今回はソイルに着目し、ADAのアマゾニアを始めとする栄養系ソイルをレッドビーシュリンプの飼育に使う際の注意点について詳しくご紹介していきます。
吸着系ソイルと栄養系ソイル
アクアリウムに使用される底床材に最も多いのが「ソイル」ですよね。一昔前は大磯砂が広く使われていましたが、近年ではソイルを使用するのが当たり前となっています。
そんなソイルにもたくさんの種類がありますが、大きく分けて2種類のソイルに分けることができます。それが「吸着系」と「栄養系」と言われているものですね。
市場に出回っているソイルのほとんどが吸着系ソイルでして、有名な栄養系ソイルはADAのアマゾニアとGEXの水草一番サンドくらいかなと思います。
これらのソイルの違いは、大まかに言えば水草の成長に必要な栄養素を豊富に含んでいるかどうかの違いです。
一般的に水草水槽を立ち上げるのであれば、栄養系ソイルで立ち上げる方が遥かに効率よく水草の育成が可能になります。
吸着系ソイルでも育成が不可能というわけではありませんので、水草を育てるから何が何でも栄養系ソイルでないとダメというわけでもありませんが。
レッドビーシュリンプの飼育に使いやすいのは吸着系ソイル
レッドビーシュリンプの飼育において最も注意しなければいけないことがあります。それがアンモニアと亜硝酸といった有害物質を水槽内に残らないようにすることです。
これらの有害物質は生体の糞や尿、餌の食べ残しから排出されますので、生体が多いほど有害物質が溜まりやすくなります。これらを害の少ない硝酸塩に分解してくれるのがバクテリアになるわけですね。
しかし立ち上げ初期の水槽には十分な量のバクテリアがおらず、アンモニアや亜硝酸の分解がうまく進みません。これによってレッドビーシュリンプがポツポツ死んでしまう現象が起きます。これがいわゆるポツポツ死というものですね。
吸着系ソイルであれば立ち上げ時に亜硝酸や硝酸塩といった有害物質が出にくいのですが、栄養系ソイルは使用開始時にはどうしても亜硝酸が検出されてしまいます。それだけいろんな成分が豊富に含まれているということですが、これがエビにとっては大ダメージになるんです。
水草の育成も同時に楽しみたいからと栄養系ソイルを使用することもあるかと思いますが、水槽立ち上げ時には亜硝酸が検出されますので、レッドビーシュリンプをすぐに水槽に投入することはできません。吸着系ソイルの方が、比較的早く水槽が立ち上がるということになりますね。
しかし慣れてしまえば栄養系ソイルを使用しても、安全にレッドビーシュリンプの飼育環境をつくることができるようになりますので、今度は栄養系ソイルを使用する場合の水作りのポイントを解説します。
栄養系ソイルを使った水槽の立ち上げ手順
栄養系ソイルを使用する場合は、最低2ヶ月はレッドビーシュリンプを入れることはできないと思ってよいでしょう。もっと慎重になるなら、3ヶ月はレッドビーシュリンプを入れないという人もいるくらい時間をかけて水槽を立ち上げる必要があります。水槽を立ち上げる手順は以下の通りです。
①ソイルを入れて普通に立ち上げる
②フィルターを使用して1ヶ月水を回す
③アンモニアや亜硝酸を測定し、計測0になるまで水を回す
④計測0になったら週に一度、1/3程度の水を換水する。これを2週間~3週間かけて行う。
以上の工程をかけるとようやくエビを入れることができるようになります。この方法だと、やはり最低でも2ヶ月は時間をかける必要があるでしょう。
ソイルのアク抜き
ソイルを事前にアク抜きすることで、より速く水槽をスムーズにたちあげることができます。
アク抜きの方法は以下の通り。
①ソイルをバケツなどの容器に入れて、水を張る
②毎日水を捨てて、新しい水を張る
ただこれだけなのですが、この作業を1ヶ月くらい繰り返し続ける必要があります。
この方法であれば、1ヵ月はかかってしまいますが、通常のように水槽を立ち上げるよりは、およそ2倍の速さで水槽を立ち上げることができるようになります。
栄養系ソイルはエビの繁殖に適している?
吸着系ソイルよりも、栄養系ソイルの方がレッドビーシュリンプの繁殖に適しており、爆殖するという報告もあるようです。それはソイルに含まれる成分がエビにプラスに働くからであり、それがエビの成長促進と繁殖を促す効果があるとされています。
栄養系ソイルは扱いこそ難しいものの、一度水作りを覚えてしまえば、吸着系ソイルよりも効率よくレッドビーシュリンプの繁殖が楽しめるアイテムになるでしょう。
なお、レッドビーシュリンプに関しては、以下の記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。