餌やり

公園のハト、街中のネコ、池の魚や水鳥など私たちの身近なところにはたくさんの野生動物が棲んでいます。野生動物を見かけると、その可愛さから餌をあげたくなったという経験はないでしょうか。子どもの頃にハトに餌をあげたことがある人も多いことでしょう。

しかしそうした野生動物には、一部を除いて餌をやるべきではない、とされています。餌やりを禁止している公園などもたくさんあります。

今回は野生動物に餌をあげてはいけない理由について、また餌をあげるとどういうことになるのかについて詳しくご紹介していきます。

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餌を探す力を失う

野生動物はいつでも餌を食べられるとは限りません。常に餌を探して歩き回ったり、それぞれの能力を駆使し、工夫をして餌を得ているんです。野生で生き抜くためには餌を自分で探す力がとても大切になるのです。

しかし人間に餌を与えられることに慣れてしまった野生動物は、やがて自分での力では餌を探せなくなります。野生動物がありのまま野生動物として生きていくためには、むやみに餌を与えない方が良いのです。

変なものを食べることで健康被害につながる

人間が野生動物にあげる餌は様々です。お菓子や果物、はたまたアイスクリームなんかもあげている人もいると言われていますから驚きです。シカせんべいで有名な奈良公園のシカに外国人観光客がアイスクリームを与えている、というのもよく耳にします。普段食べている餌と全く違う餌を与えられると、体に合わずにお腹を壊したり健康被害に繋がることにもなります。

そもそも消化ができない食べ物だったり、人間には美味しい食べ物でも、動物には毒となるものもたくさんあります。代表的なものにチョコレートがありますね。

人間を警戒しなくなる

餌を与えることで警戒心が薄くなり、人間を恐れなくなります。人間を恐れなくなったことによって起きるのが、獣害事件です。有名な獣害事件にはヒグマによる事件があります。

クマは本来、人間への警戒心が高い動物ですが、食べ物に対する執着心が強く、人間が餌をくれる危険でないものだと分かれば、人里にも頻繁に現れるようになります。ヒグマにソーセージをあげてしまったがために、人に近づくようになったヒグマが射殺される事件も過去に起きています。

餌をあげることによって、人間だけでなく野生動物にとっても悲劇となるケースがあるということですね。

またやっかいな動物がカラスですね。カラスはとても賢い鳥として有名で、高い社会性をもった鳥でもあります。自分が持つ情報を、仲間や子供にまで情報伝達することができ、ここで餌がもらえるという情報を中まで共有するようになります。こうなると大量のカラスが集まってくる事にもなるのです。

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近所迷惑

よく野良猫に餌をあげている人がいて、近所迷惑だと言われていることがありますよね。それはなぜでしょうか。餌をあげることによって、動物がその場所に頻繁に訪れるようになります。それが習慣化すればなおさらですね。

動物は食べるだけではなく、糞もしますよね。餌付けによってある特定の場所に動物が集中してしまうと、その場所で糞をするようになり衛生的にも周りに迷惑が掛かってしまいます。自分にとっては良くても、周りの住人に迷惑が掛かりますので、公共の場はもちろん自分の家であっても注意しなければいけません。

生態系への影響

公園の池などの水鳥や鯉への餌やり専用に餌が販売されていることがありますよね。これに関しても注意が必要です。度を過ぎれば池の水質悪化の原因ともなりますし、水質悪化によって死んでしまう生き物が出てくれば、その場所の生態系のバランスが少しずつ狂ってしまい、最終的には鯉や水鳥が棲めなくなってしまう可能性もあるのです。

また餌やりをすることで特定の生き物が急速に増え、これもまた生態系のバランスを崩す要因になってしまいます。

まとめ

動物への餌やりはとても楽しく、餌を食べている動物を見ることで癒されているという人もいます。しかし野生動物に餌を与えることで、動物、環境、人間という広い範囲に渡って悪影響が及ぶ可能性があります。

こうした餌付けが無くならない理由としては、餌付けそのものが悪いことであると認識している人が少ないということ。またヒグマの例のように餌ひとつでその動物を殺してしまうかもしれない、と思う人が少ないということにあるでしょう。

動物に餌をあげる時には、あげてもよい場所かをよく確認してあげるようにしたいものですね。