カヤネズミ

日本に生息しているネズミの中で最も小さいと言われているカヤネズミ。とても小さくて可愛らしいネズミです。このカヤネズミ、昔からイネを食べる害獣として農家の人たちから忌み嫌われてきた過去があります。

そんなカヤネズミですが、ペットとして飼育する事はできるのか、またカヤネズミのイネの食害についても詳しくご紹介します。

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カヤネズミとは?

漢字では萱鼠、茅鼠と書きます。体の長さは54~79mm、しっぽの長さは47~91mm、体重は7~14gほどの小さなネズミです。500円玉くらいの大きさしかありません。体の色が奇麗なオレンジ色をしており、お腹は真っ白。一見するととても可愛らしいネズミです。ドワーフハムスター同様、寿命は1年~2年ほどしかありません。

ちなみに一番小さいと言われているネズミにトガリネズミがいますが、厳密にはトガリネズミはモグラの仲間であり、ネズミではありません。
トガリネズミに関しては以下の記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
1円玉2枚分の重さ!?世界最小のトガリネズミはネズミじゃない!?

河川敷などの背の高い草原に好んで生息しており、ススキ、オギ、などのイネ科の植物の葉っぱを使って巣を作ります。巣の中で出産や子育てを行います。巣は地上から1mの高さの所に作ることが多いです。

カヤネズミ

田んぼにも現れることがあり、イネにも巣を作ることがあります。その昔、家の屋根を作る際の材料や家畜の餌を置いていた場所(茅場)に現れることからカヤネズミと呼ばれるようになりました。とはいえ、ドブネズミやハツカネズミなどのように人家に上がり込むようなことはないとされています。

カヤネズミの生息場所は河川改修などにより、現在では生息域が激減してしまっています。生息域の8割もの場所がレッドリストに掲載されてしまいました。現在では多くの地域で希少種の扱いを受けているネズミなんです。そのうち絶滅危惧種になってしまう可能性もあるかもしれません。

カヤネズミは害獣ではなかった!?

従来、カヤネズミが田んぼのイネや畑の野菜を食害していると言われてきました。しかし2015年に滋賀県立大学が行った研究においてカヤネズミの糞の分析がされたところ、イネを食べた形跡がないということが分かりました。

食べていたのはイネの生育に害となる雑草のヒエ、バッタやイナゴなどの昆虫であるということも分かったのです。カヤネズミは害獣であるどころか、むしろ農作物にとって害となるイナゴやヒエを駆除してくれていたということです。

ちなみにイネを食害するので有名な生き物はジャンボタニシです。外国から食用を目的に輸入された個体が繁殖したもので、厳密にはタニシではないのですが、現在では田んぼの害虫として扱われています。

畑の農作物を食害するのはハタネズミです。ハタネズミはイネやサツマイモ、ニンジンなどの根菜に被害を及ぼすほか、果樹にも多大な被害を与えます。カヤネズミよりも地味な色でやや大型ですので見分けることは可能です。

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カヤネズミをペットとして飼育することはできる?

こんな小さなネズミですから、もしかするとペットとして飼育したい、という人もいるのではないでしょうか。しかしカヤネズミは野生動物であり、鳥獣保護法という法律によって基本的に捕獲や飼育が禁止されています。やむを得ない場合以外では都道府県知事の許可が必要になります。飼育する場合も許可が必要です。

ペットショップにカヤネズミが売られていた!?

ペットショップでカヤネズミが売られていたという話も耳にします。販売されているカヤネズミは外国産のカヤネズミであることが多く、日本のカヤネズミではないです。違法行為ではないので販売自体は可能ではあるのですが、世界的にカヤネズミの生息数は減少しています。

もしも国産のカヤネズミが逃げ出したり捨てられたりすれば、在来のカヤネズミにとっては棲み処や食べ物を奪われ、存在を脅かされる深刻な問題になる恐れがあります。遺伝子汚染などの問題もあるでしょう。

まとめ

カヤネズミは日本最少のネズミで、イネなどの農作物を食害するといわれており駆除されてきました。しかし実際は害獣どころか害虫を食べてくれる良い動物だということがわかりました。

鳥獣保護法により捕獲する事やペットとして飼育することは原則としては不可能です。もし何らかの事情があって捕獲、飼育する場合は都道府県知事の許可を得る必要があります。