
森の中で木をくちばしでつついているキツツキ。
しかし、「キツツキ」という名前の鳥は何と存在しないというじゃないですか!
では、どのような鳥のことを「キツツキ」と呼んでいるのでしょうか。
また、そんなキツツキに困り果てている人もいるとか…。
色々気になるキツツキの生態や鳴き声、キツツキ対策などを見ていきます。
目次
キツツキってどんな鳥?
キツツキは、キツツキ目キツツキ科に属する鳥です。
漢字では「啄木鳥」と書き、俳句では秋の季語として用いられます。
日本だけに分布している鳥なのかと思いきや、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、ユーラシア大陸、イギリス、インドネシア、キューバ、スリランカ、フィリピンに分布しています。
キツツキという鳥は存在しない?
「キツツキ」といえば、「木をくちばしでつついている鳥」というイメージがありますが、実は「キツツキ」という名前の鳥は存在しないのです。
つまり、キツツキ目キツツキ科に属する「木をつつく習性がある鳥」の総称として「キツツキ」と呼んでいるのです。
キツツキと呼ばれている鳥の種類とは?
いわゆるキツツキと呼ばれている鳥は以下のようなものです
・コゲラ
・ミユビゲラ
・クマゲラ
・アカゲラ
・オオアカゲラ
・アオゲラ
・ヤマゲラ
・ノグチゲラ
・アリスイ
・ドングリキツツキ
・サボテンキツツキ
色や生態など多種多様ですので、個別に見ていきます。
コゲラ
日本にいるキツツキの仲間では最小です。
森林などに生息していますが、住宅地や公園などでも見られます。
中には、住宅に設置されているテレビアンテナをつついていた個体もいるとか。
ミユビゲラ
名前の通り、足の指が3本のキツツキの仲間です。
北海道に生息しており、オスの登頂部が黄色いのが特徴です。
クマゲラ
日本にいるキツツキの仲間では最小なのはコゲラでしたが、それに対する最大の仲間はクマゲラです。
赤い頭部が特徴的で、国の天然記念物に指定されていますが、それと同時に、絶滅危惧種として指定されており、数の減少が心配されています。
アカゲラ
オスは頭の後ろが赤いですが、メスの頭は黒く、見分けが付きやすいキツツキの仲間です。
くしばしがとても強く、木に穴を開けて昆虫を捕まえたり、木の皮を剥がすことが出来ます。
オオアカゲラ
アカゲラによく似ていますが、アカゲラよりも大きく、高い声で鳴きます。
胸から腹にかけて黒い縦じまの模様があるのが特徴です。
アオゲラ
日本固有種のキツツキの仲間です。
キツツキの仲間は北海道や東北に分布しているものが多いですが、アオゲラは四国にも分布しています。
オスの頭は全体が赤いですが、メスの頭は赤い部分がオスよりも小さいことが見分けるポイントです。
ヤマゲラ
色などがアオゲラに似ていますが、アオゲラよりほんの少し大きく、地上でアリなどを食べています。
ノグチゲラ
アオゲラと同じく、日本固有種のキツツキの仲間です。
暗い褐色の羽毛が特徴ですが、これは保護色の役割を果たしています。
国の特別天然記念物に指定されていますが、生息数は数百羽程度と数の減少が心配されています。
アリスイ
木の幹に縦にとまって木をくちばしでつついているキツツキの仲間が多いですが、アリスイは木の幹にとまりません。
アリスイの名前の通り、長い舌を使ってアリの成虫などを巣から引きずり出して食べています。
ドングリキツツキ
北アメリカから中央アメリカに分布しているキツツキの仲間です。
木に穴を開けて、ドングリを詰めて蓄えます。
蓄えたドングリはひとり占めするのではなく、群れの仲間と分けあって食べています。
群れ同士の縄張り意識が強く、他の群れの侵入を断固拒否します。
サボテンキツツキ
北アメリカに分布しているキツツキの仲間です。
名前の通り、「オオハシラサボテン」という大きなサボテンに穴を開けて巣を作っています。
「サバクシマセゲラ」という別名もあります。
キツツキの仲間は、「~キツツキ」となっている鳥より「~ゲラ」で終わる鳥が多いようです。
これは、キツツキが古語では「ケラ」と呼ばれていたことに関係しているようです。
キツツキの生態とは?
キツツキの仲間は、森林や草原、林などに生息しています。
ツバメのように長い距離を旅する鳥がいる一方で、キツツキの仲間は飛ぶ力が弱く、長い距離を移動することが出来ません。
そのため、定住性が強く、年間を通して同じ場所にいるのが特徴です。
キツツキの仲間の多くは、木の幹に縦にとまっていますが、それを可能にするのが「大きくて強い爪」です。
足指の爪はとても長く、なおかつ尾羽で体を支えることにより木の幹に縦にとまることが出来るのです。
また、キツツキの仲間の「舌骨」は長く、筋肉に覆われており、筋肉が縮むと舌骨が前に押し出されて舌が前に伸びます。
舌の先にはトゲがあり、ねばねばしています。
そのおかげで、木の割れ目などにいるアリなどを捕まえることが出来るのです。
キツツキのドラミングについて
キツツキの仲間は繁殖期になると、枯れた木をくちばしでつついて連続的に音を出します。
これを「ドラミング」といいます。
ドラミングの速さは、何と1秒に15回から20回!
いかにスピーディーに木をつついているかがよく分かります。
こんなに素早くくちばしで木をつついていたら眼球や脳に加わる衝撃がすごそうですが、大丈夫なのでしょうか。
木をつつきすぎて気絶したり気分が悪くなるキツツキの仲間もいたりするのでしょうか。
結論から言うと、その心配には及びません。
まず眼球ですが、キツツキの仲間には上まぶたと下まぶたの他にもう1枚まぶたがあり、それが眼球を保護し、飛び出したり傷が付かないようになっています。
次に脳ですが、「横向きの半月型」に設置されている人間とは違い、キツツキの脳は「縦向きの半月型」に設置されています。
このことにより、くちばしで木をつつく前後の動きに強く、脳へのダメージを軽減していると考えられています。
キツツキの鳴き声は?
キツツキの仲間の鳴き声は、個性的です。
「キョッ、キョッ」と鳴くアカゲラやオオアカゲラやノグチゲラ。
「キョーン、キョーン」と鳴くクマゲラ。
「キィーキィキィキィ」と鳴くアリスイ。
種類によって鳴き声は変わるため、色々聞き分けることが出来たら良いかも知れませんね。
また、鳴き声には「求愛行動」の意味があるときもあるそうです。
キツツキ対策について
「ログハウスっていいなあ!いつか建てたいな!」という人もいるのではないでしょうか。
そんな憧れの的ログハウスを所有している人が、所有してから意外な悩みに直面することがあります。
それは「ログハウスをキツツキにつつかれてしまう」ことです。
キツツキに悪気はないと思いますが、せっかくのログハウスをキツツキにつつかれたら悲しくなりますよね。
キツツキ対策として以下のようなものがあります。
・キツツキの仲間が苦手なフクロウなどの猛禽類の置物などを設置する。
・鳥はピカピカ光るものが苦手なので、いらなくなったCDをぶら下げる。
・キツツキの嫌いなにおいを散布する。
・軒下にネットを張る。
最初は怖がっていても、害がないとキツツキが覚えてしまい意味がなくなる場合もあるそうです。
また、キツツキの苦手なにおいを散布するのは、海外ではよく行われていますが、日本ではあまり行われていない上、近隣住民から苦情も来そうですね…。
「被害を受けているんだから害鳥として駆除して欲しい!」と思う人もいるかも知れませんが、キツツキの仲間は鳥獣保護法により「保護鳥」として指定されており、狩猟が禁止されています。
キツツキを追い払うよりも、キツツキと共存する方法を考えた方が建設的かも知れませんね。
まとめ
キツツキの生態や鳴き声、キツツキ対策などを見てきました。
「キツツキ」というのは、「キツツキ目キツツキ科に属する鳥の総称」として使われていることが分かりました。
キツツキといえば、木の幹にとまってくちばしで木をつついている姿が思い浮かびますが、中にはアリスイのように木の幹に縦にとまらない仲間もいるようです。
キツツキの仲間は、鳴き声や姿や大きさなどが多種多様ですので、それぞれに魅力があります。
また、キツツキの被害に悩んでいる人は専門の業者に相談してみると良いでしょう。