
クマムシという生き物がいるのをご存知でしょうか。
クマムシなんて聞いた事がない、という人もいるかもしれませんね。
このクマムシ、実は最強生物なんじゃないか、とも言われている生き物でもあるのです。
一体どのような点で最強なのでしょうか。
今回は最強とのうわさの「クマムシ」について詳しく調べてまとめてみました。
目次
クマムシってどんな生き物?
クマムシは漢字では「熊虫」と表記されます。
そのままの意味で、「クマのようにノッソリ歩き、見た目が似ているから」という理由でそのように表記されるようになっているようです。
しかし、実際の見た目はどう見ても熊のようには見えないと思うのですが。(笑)
クマムシはいったい何の仲間に属している生き物なのでしょうか。
実はクマムシはどの仲間にも属していない、と言えるかもしれませんね。
生物学上の分類は「緩歩動物(かんぽどうぶつ)」という分類になります。
しかしこの緩歩動物、属している生き物はこのクマムシだけなんですね。
クマムシは4対8本の短い足を持ち、ゆっくり歩く特徴があります。
またクマムシにはたくさんの種類が確認されており、およそ1200種類ものクマムシがいるとの事。
そのうち、海産のクマムシは170種類ほどいるようです。
生息地は地球上のありとあらゆる場所で、陸上や海洋、深海、高山、熱帯地域から寒冷地帯などどこにでも生息している普遍的な生き物なのです。
そしてその大きさなのですが、わずか1ミリ~2ミリ程度とかなり小さい生き物なのです。
実際にクマムシは「虫」という名前が付けられていますが、虫ではなく全く違う生き物だと言えます。
クマムシが最強と言われる理由とは?
こんなに小さな生物であるクマムシが注目されるようになったのは、「驚異的な生命力を持っているから」に他なりません。
別名チョウメイムシ(長命虫)と呼ばれることもあるその生命力は、凄まじいものがあります。
クマムシはありとあらゆる過酷な環境に晒されても、死ぬことがなく生き続ける事が可能であると言われています。
果たしてどの程度の生命力があるのでしょうか。
高温、低温に耐えうる
クマムシは151℃もの高熱に耐えうる体を持っています。
業火の炎でも生きられるというわけではありませんが、それほどの高温でも生きられるのはすごい事ですよね。
また、絶対零度と呼ばれる −273.15 ℃の極寒の中でも生命を維持することができるのです。
真空でもへっちゃら
クマムシを宇宙に連れて行く、という実験がなされた事があります。
宇宙空間に10日間も晒されたクマムシが、なんとピンピンしていたと言いますから驚きです。
しかし宇宙の強すぎる紫外線には耐えられなかったのか、太陽の紫外線を直接浴び続けたクマムシは死んでしまったようですね。
しかし宇宙線を浴びただけのクマムシは生き延びたとの事。
それだけでも凄い事です。
気圧の変化にも耐えうる
クマムシは宇宙空間のような真空空間でも生きられる他、75,000気圧もの高圧環境でも生き抜くことができるくらいタフなんです。
だから超深海でも生きているクマムシがいるということなんですね。
どうしてそんなにタフなのか
ではどうしてクマムシがそんなにタフなのでしょうか。
それは「クマムシが仮死状態になる事ができるから」なのです。
そうなんです!
いくらクマムシでも、普段からそんな過酷な環境に耐えられるわけではないのです。
クマムシは生命維持の危険が迫ると、体中の水分を減らして乾眠状態に入ります。
通常クマムシの体中の水分は80%程度ですが、乾眠状態のクマムシの水分はわずか3%程度です。
いわばミイラのような状態になることができる、というわけですね。
この乾眠状態の時のクマムシが最強と言われる所以です。
その他、凍眠する事も可能で、120年前の凍った苔の中から発見されたクマムシが、見事に生き返ったという記録があります。
完璧に生き返ったのかどうかは別として、死んでいなかったのですから凄い事ですよね。
また乾眠状態になるためにかかる時間は、クマムシの種類によって異なります。
陸上にいるクマムシには、わずか30分程度で乾眠状態になることができるものがいます。
しかし水中にいるクマムシの中には、なんと丸2日かけてゆっくりと乾眠状態になるものもいるのです。
また乾眠状態のクマムシに水を与えると、再び蘇生し活動を再開することができます。
クマムシの寿命は?
そんなタフなクマムシとは言えど、やっぱり生き物である以上は「寿命」はあるはずですよね。
実はクマムシの寿命は、わずか3か月程度なのです。
乾眠状態のクマムシは保存状態さえよければ理論上は半永久的に生存可能だという見解もあるようですが、それはさすがにどうなのでしょうか。
仮死状態を生きているという事にも多少疑問ですが、死なないのですからやはりタフと言わざるを得ません。
クマムシは死なない?
前述の通り、クマムシは非常にタフです。
しかし「不死身」というわけではありません。
クマムシは活動状態のままであれば、普通に数か月で死にます。
また、ひっくり返ってしまうと自分で起き上がる事すらできない体ですので、そのまま放置すればいずれ餓死します。
その他、物理的ダメージにはめっぽう弱いようで、潰されると簡単に死んでしまいます。
最強とはいっても、通常の活動状態のクマムシであれば簡単に死んでしまう、という事ですね。
まとめ
クマムシは緩歩動物という分類をされている独特の生物で、虫ではないと言えます。
またクマムシが最強と言われるのは、乾眠状態になると、防御機能が働くからです。
その状態のクマムシは劣悪な環境にも耐えうる体に変化し、再び蘇生することも可能なのです。
しかし物理的にダメージを受けると簡単に死んでしまいますので、決して最強であるとも言えないと思います。
探せばその変にいるクマムシ。
身近に、こんなすごい生物がいたなんて驚きですよね。