百獣の王と言われる猛獣「ライオン」。
動物達の中でもひと際人気が高いライオンですが、何といっても立派な凛々しい「たてがみ」が最大の特徴ですよね。
他の動物たちには見ることができない、ライオンの「たてがみ」ですが、いったい何のためにあるのかをご存知でしょうか。
また、いつからたてがみが生えてくるのでしょうか。
今回はそんなライオンのたてがみについて焦点を当て、詳しく調べてまとめてみました。
首を守るためにある説
ライオンはオス同士で戦い、時には傷つきます。
ライオンの最大の武器は、なんといっても鋭い牙と爪です。
この牙で噛みつかれると、大ケガを負ってしまう事は必至です。
さらにライオンは、獲物を仕留める際には、喉元に噛みつくという習性がありますので、ライオン同士の戦いにおいても、喉元に噛みついて攻撃します。
ライオンと言っても、やはり急所は喉なのですね。
この際に「喉元や頭を守るためにたてがみが生えている」とされる説が有力視されてきました。
この説を唱えたのは、なんとあのダーウィンだそうですよ。
しかし、現在ではこの説は少し疑問視されているようで、ライオンのたてがみは決して首や喉を守るためにあるのではないという考え方もされているようです。
何でも、ライオンは必ずしも喉元に噛みつくわけではなく、背中や他の箇所に噛みついて攻撃することも多くある、という研究結果があるようですね。
どちらにせよ、たてがみがある方が首や喉に受けるダメージは少なくて済みそうですので、無いよりはあった方が良いように思いますよね。
たてがみは強さの象徴説
ライオンのたてがみは、自身をより大きく、強く見せるために生えているという説もあるようです。
確かに、たてがみがある方がより大きく強そうに見えますよね。
人間でいう所の、ヒゲのような感覚でしょうか。
このたてがみが、より大きくより立派な程、強いライオンであると言われてもいるのです。
ちなみに、たてがみは「より大きくて、より黒い色をしている」方が強くたくましいオスである、という研究結果も得られているようですね。
確かに黒いたてがみを持っているオスの方が、ちょっと怖そうに見えるかと思います。
またこのたてがみの色というものは、生まれつき持っている遺伝性のもので決まるのではない、というのも興味深い所です。
オスのたてがみが黒く立派になるのには、とある条件が必要だと言われています。
それは「テストステロン」というホルモンの分泌にあるのです。
テストステロンがより多く分泌されると、ライオンのたてがみはより大きく、長く、黒く立派に成長するのです。
このテストステロンが分泌されるのにも条件があり、オスが他のオスや敵を倒して自信をつけると、テストステロンがより多く分泌され、たてがみを大きく長く、黒くするというメカニズムがあるのです。
たてがみが黒くて立派なオスは、ただの見た目が強そうだというわけではなく、ちゃんと実績を積んだ結果黒いたてがみを持っている、という事が言えますよね。
この事をライオンたちがちゃんと理解しているかは謎ですが、もしそうであればたてがみを見るだけでライオン同士の実力が分かり、戦わずしても勝敗を決めることができて、無駄な争いが減る、という事ができるのではないでしょうか。
実際に、メスライオンに対して実験も行われたようで、ほとんどのメスが黒くて長いたてがみをもつオスを選んだとの研究結果が出ているのです。
このことから、メスがより強い、たくましいオスを選ぶことで、より強いライオンの子孫を残すことができるという事ですね。
ライオンのたてがみはいつから生える?
ライオンのたてがみはオスにしかなく、メスには生えてきません。
もちろんオスであっても、生まれつきたてがみがあるのではなく、成長するにしたがって徐々に生えてくるようになります。
たてがみが生え始めるのは、生後1年を過ぎたあたりからであり、頭の周りに少しずつ毛が伸びてきます。
さらに1年後には胸周りにも毛が生え始め、4歳頃には完全にたてがみが生え揃い、立派な見栄えのオスになるのです。
たてがみが生えているメスがいる!?
中にはなんとメスであるにも関わらず、たてがみがあるライオンがいるようです。
こういったメスはまるでオスのような行動を取り、他の群れの子ライオンを殺すなど、メスらしからぬ行動をすることがあると言うのです。
これは男性ホルモンであるテストステロンの異常分泌が原因であると言われており、治療されるとたてがみが生えなくなった、というのです。
またこのようなメスには生殖能力がなく、子供を産むことは難しいとされているようですね。
まとめ
ライオンのたてがみが生えている理由は、「戦いの際に首や喉を守るため」と考えられて来ましたが、近年ではそうではなく、優劣をはっきりさせるためである、という考え方が有力のようです。
より強いライオンほど、長く黒い色の立派なたてがみが生えており、実際にメスもより立派なたてがみを持つオスに寄っていく傾向にあるとされています。
こうして見てみると、ライオンのたてがみは野生動物の戦わずしてより優秀な子孫を残す、という進化の中の一つの知恵であるとも言えるのではないでしょうか。