日本の在来種のクワガタムシの中でも人気が高いミヤマクワガタ。
ノコギリクワガタと並んで人気があり、有名なクワガタムシですね。
見た目も特徴的でカッコいい風貌をしています。
そんなミヤマクワガタですが、飼育する場合に注意しておかねばならない事がたくさんある、飼育難易度が高いクワガタムシでもあるのです。
そこで今回はミヤマクワガタの飼育方法や、産卵、幼虫の育て方について詳しく調べてまとめてみました。
なお、ミヤマクワガタの特徴に関しては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
目次
ミヤマクワガタの成虫飼育に必要なもの
ミヤマクワガタの成虫飼育に必要なものを順番にご紹介していきます。
プラケース
お店で販売されているものがたくさんありますので、基本的にどのようなものを使用しても大丈夫です。
現在ではコバエシャッターという、コバエが侵入しにくくなっている形状のプラケースが人気がありおススメです。
餌
カブトムシやクワガタムシの餌と言えば「樹液」ですが、飼育下においては、果物や昆虫ゼリーが一般的です。
果物はリンゴやバナナがちょうど良いと言われています。
またスイカは水分が多く、クワガタムシには不向きですのでやめておきましょう。
昆虫ゼリーはショップに様々なものが販売されています。
本当に目移りしてしまうくらいたくさんの種類がありますが、基本的に食いつきが良ければ何でも良いのです。
稀に食べないゼリーもあったり面倒な事もあるのですが、大抵の場合普通に食べてくれますよ。
止まり木
止まり木というよりは、転倒防止材としてケースに設置します。
ミヤマクワガタは動きが活発で、とてもひっくり返りやすいクワガタムシとして知られています。
ひっくり返ったまま起き上がれずに弱って死んでしまうことも良く起こります。
落ち葉や朽木などなんでも良いのでセットしておきましょう。
昆虫マット
昆虫マットは腐葉土と朽木のチップをミキサーで混ぜ合わせても作ることができますが、市販の昆虫マットを使用する方が簡単でおススメです。
成虫の飼育であれば、基本的にどのようなマットでも問題ありません。
ミヤマクワガタの成虫飼育の注意点
成虫飼育における注意点をいくつかご紹介します。
マットは深めに入れると長生きする!?
ミヤマクワガタはとてもよく動き回るクワガタムシです。
基本的に夜行性なのですが、昼間でも活発に動き回ることがあります。
壁をよじ登ろうとして転倒したり、登れずにもがいて体力を消耗して寿命を縮めてしまうことが良く起こります。
少しでも長生きさせるために、マットをケースの8割くらいにまで深く詰めておくと、よじ登ろうともがく事も少なく、転倒もしにくく長生きさせることに繋がります。
温度管理に注意
ミヤマクワガタは「深山」という意味がある通り、山の奥深くに生息しているクワガタムシです。
夏の暑さに強いと思われがちなクワガタムシですが、ミヤマクワガタに関しては特に暑さに弱い事でも知られています。
飼育適正温度は以外にも20℃~23℃程度と低い温度帯ですので、30℃を超えるような夏の暑さにはめっぽう弱い特徴があるのです。
暑すぎるとすぐに死んでしまいますので、ケースはできるだけ涼しい所、温度変化の少ない場所に置くようにしましょう。
乾燥に注意
ミヤマクワガタは乾燥にとても弱いクワガタムシです。
ケース内は湿度を高めておき、常に霧吹きなどで湿らせてあげるようにしましょう。
ぼとぼとになるくらいに湿らせるのはかえってよくありませんので、握っても水が出ないくらいの湿り気くらいにしておきましょう。
ミヤマクワガタの産卵方法
ミヤマクワガタの産卵方法やポイントをご紹介します。
ペアリング
オスとメスを一緒のケースにセットするのですが、メスが深く潜って出てこないと具合が悪いですので、マットは浅めに敷いてください。
この状態のまま1週間~10日くらい同居させ、交尾をさせます。
クワガタによくあるメス殺しはあまりない種類と思って構いませんので、とりあえず一緒にしてみましょう。
メスが十分に成熟していないと交尾は上手くいきませんので、必ずメスは成熟している個体を選んでください。
成熟しているかいないかの判断はパッと見では難しいのですが、新成虫でなく活動を開始しているメスであれば問題ないでしょう。
産卵セット
交尾が確認できたらメスのみを産卵セットに移動させます。
産卵セットには「発酵マット」を使用します。
このマットは幼虫の餌にもなりますので、どんなマットでも良いというわけにはいきません。
なお発酵マットは使用する前にガス抜き作業が必要になります。
ガス抜きは新聞紙などの上に広げたマットをそのまま2~3日天日干ししておくだけです。
強烈なニオイが消えていればガス抜き完了です。
発酵マットはケースに深めに詰めるようにします。大体7割~8割くらいの深さに詰めればOKです。
ケース内には転倒防止用の止まり木もセットします。
餌である昆虫ゼリーも忘れないようにセットしてくださいね。
昆虫ゼリーは高タンパクなものを選ぶと良いでしょう。
産卵前後のメスはタンパク質をたくさん必要とします。
タンパク質が不足すると、せっかく産んだ卵や幼虫を食べてしまう場合がありますので注意したいですね。
マットを詰める際には、7割~8割までは固く押し固めるように詰めてください。
その上にふんわりと同じマットをかぶせるように敷きます。
この敷き方が産卵させるポイントの1つになります。
産卵のポイントの2つ目は温度管理です。
産卵時の適正温度は16℃~20℃とかなり低いことが問題で、この温度帯をいかに保つことができるかが最大のポイントになります。
温度を上げる事は容易でも、下げる事は結構難しいので何らかの工夫が必要なところですね。
割り出し
産卵セットにメスを投入後2か月も経てば、割り出しをしてみましょう。
卵の状態で取り出すよりも、幼虫の状態で取り出す方が安全ですので、あまりに早い割り出しはおススメしません。
割り出した幼虫は個別にプリンカップなどで保管しましょう。
幼虫の飼育方法
幼虫の飼育方法のポイントについて順番に見ていきましょう。
1齢幼虫の飼育方法
生まれたての幼虫は小さな容器で飼育するのが基本になります。
この時使用するマットは、産卵セットに使用した時と同じ発酵マットにするようにしてください。
違う種類のマットにした場合、死んでしまうことがありますのでやめておきましょう。
幼虫の飼育適正温度も産卵時と同じく16℃~20℃程度と低い温度帯になります。
2齢~3齢幼虫の飼育方法
ある程度大きくなってくれば、瓶やボトルのような容器に移して飼育します。
オスの場合は最大で70㎝にもなりますので、ボトルくらいの大きさがないと羽化に失敗してしまいます。
マット交換
しばらく経てば、ボトルの中に幼虫の糞が目立つようになってきます。
糞が目立つようになってくれば新しいマットに交換する時期だと考えてください。
マット交換は多い時で2か月~3か月に一度くらいのペースで交換する必要があります。
幼虫の期間
幼虫のまま過ごす期間は個体によって異なりますし、幼虫の飼育環境によっても異なります。
16℃の低温飼育でじっくり育てれば、じっくり大きくなりますので大型の個体が羽化する可能性が高まりますが、羽化までに20か月~2年くらいかかってしまうことがザラです。
逆に高い温度帯で飼育すれば、幼虫の成熟が早まるため羽化までに15か月くらいしかかからない事もありますが、結果として小さい個体になってしまうなどデメリットとも言える特徴もあるのです。
オスであればじっくり育てて大型の個体の作出を目指したいところですね。
蛹になったら
幼虫はやがて蛹になります。
蛹はミヤマクワガタのライフサイクルの中でも最もデリケートで弱い期間になります。
むやみに動かしたり触ったりはしない方が無難です。
この時の温度も16℃~20℃を保っておきましょう。
羽化したら
蛹の期間を経ていよいよ羽化になりますが、無事羽化しても嬉しさからすぐに掘り出して触りまくる、という事はしないでください。
ミヤマクワガタには羽化後に休眠期間というものがあり、しばらくの間は活動せずにじっとしたまま休眠します。
羽化した年の冬に冬眠をして、翌年の夏になってようやく活動開始するというパターンもありますから、むやみに動かさずに自分で活発に動き出すまでそっと待ちましょう。
なお休眠期間も餌は食べませんので、必要ありません。
湿度と温度には十分注意し、適度な湿り気と暑くなり過ぎず、寒くなり過ぎない温度管理を心がけましょう。
まとめ
ミヤマクワガタはkなりメジャーなクワガタムシではありますが、飼育に関しては簡単なのですが、ブリードして楽しむにはやや難しいところが多く、初心者向きではないクワガタムシだと言えるかもしれません。
しかしポイントをしっかりと抑えておけば初心者の方でも十分ブリードに挑戦できますし、立派な個体を羽化させることができますよ。