自然界にはたくさんの「ヘンテコな生き物」が生息しています。
今回ご紹介する「ナナフシ」もそういった生き物の一種だと言えるでしょう。
見たことがある人もいれば、そうでない人もいると思います。
いったいどのような生き物なのでしょうか。
また飼育する事は可能なのでしょうか。
今回はそんな細くてかわいい不思議な生き物「ナナフシ」について詳しくご紹介していきたいと思います。
目次
ナナフシってどんな生き物?
ナナフシはナナフシ目という独自の分類でグループ分けされている昆虫だと言えます。
見た目は種類によって様々ですが、私たちが普段ナナフシと呼ぶのは、「ナナフシモドキ」という昆虫です。
ナナフシもナナフシモドキ同じ昆虫なんですよね。
ナナフシと言えば「擬態が得意な生き物」です。
ナナフシの形態はその種類によって本当に様々で、枯れ枝に擬態しているものもいれば、枯れ葉に擬態したものもいたり、さらには緑の葉っぱに擬態したものもいたりと実に様々なナナフシが生息しています。
世界中のナナフシは、なんと2500種類にものぼるという事です。
またナナフシには翅(羽)があるものも多く存在しますが、ほとんどものものは翅をもっていません。
日本に生息しているナナフシも翅を持っていません。
擬態したナナフシを見つけるのは相当難しく、至難のワザだといえるかもしれません。
ナナフシは不完全変態という成長の仕方をする昆虫の一種です。
不完全変態とは、幼虫と成虫の姿がほとんど同じであるものを言います。
バッタやカマキリなどがこれの仲間になります。
ちなみに反対の言葉に完全変態があります。
これは幼虫から蛹を介して、成虫になると全く別の姿に成長するものを言います。
チョウやカブトムシなどがこれに当たりますね。
なんとナナフシは幼虫や成虫のみならず、卵の時まで擬態しているというから驚きです。
ナナフシの卵は、一見するとまるで植物の種そのもので、自然界においては絶対に見つけることはできません!
また余談ですが、枯れ葉によくにた「コノハムシ」という昆虫がいますが、実はこれもナナフシの仲間なのです。
ナナフシという名前について
ナナフシという名前に関してですが、漢字では「七節」と表記されます。
しかし七つの節を持っているという意味ではなく、「たくさんの節」という意味で名づけられています。
「七難八苦」などという言葉があるように、この場合の七という数字にも「たくさんの」という意味が込められているという事ですね。
ナナフシは単独生殖する!?
ナナフシに限らず、生き物はたいていオスとメスがおり、交尾して生殖します。
しかしこのナナフシ、交尾などせずとも生殖が可能なんです。
ナナフシには通常メスしかおらず、単独で繁殖することができます。
通常、というからにはもちろんオスもいるにはいるのですが、とても珍しく、希少価値の高いものなのだそうです。
でもこの場合、オスの存在意義はどうなってしまうのでしょうね。
自切可能!?
自切というのは「じせつ」と読み、自分の体の一部を自分の意志で切り離すことができる事を意味します。
自切で有名なのがトカゲのしっぽですよね。
ナナフシはなんと自分で自分の足を切り離すことができ、危険が迫ると自切して逃げる事も出来ます。
ちなみに自切した脚はまた再生することができますが、幼虫の間に自切したもの(脱皮以前に自切したもの)に限られます。
つまり、脱皮を繰り返して成長するナナフシは、脱皮の前に切り離した脚であれば、脱皮で再生できるという事です。
ナナフシの生息地
ナナフシはよく探せば比較的見つけることは容易ですが、生息地には限りがあります。
国内においては、温暖な地域にしか生息していません。
基本的には西日本以南の温暖な地域にのみ生息します。
ナナフシの寿命
ナナフシは卵の状態で越冬し、春に孵化、夏にかけて成虫になります。
自然界ではそのまま3か月ほど生きると言われていますが、飼育下ではさらに長く生きることも確認されています。
中には年を越したものもいるという報告があります。
ナナフシは擬態こそ上手ですが、それは天敵もそれだけ多くいるという事ですね。
ナナフシの天敵は多く、カマキリやクモ、鳥など実に様々です。
ナナフシの飼育方法
ナナフシを飼育したい人がどれだけいるのかはわかりませんが、一応飼育する事も可能です。
ナナフシの餌となるのは「広葉樹の新芽」です。
具体的にはクヌギやコナラなどの若い葉っぱと考えてよいでしょう。
他にもバラ科の葉っぱも好物だと言われています。
飼育下でこれらを用意するのは場合によっては難しいかもしれませんね。
そんな場合でも、ミニバラの葉っぱを与えることもできますし、またレモンリーフを与えることもできるという情報もありました。
ホームセンターや園芸店に行けば比較的容易に入手可能ですし、おススメな方法かもしれません。
飼育容器に関しては、プラケースでも飼育可能ですが、湿気が溜まりやすい環境が苦手という特徴がありますので、風通しの良いケースや飼育環境が望ましいです。
ナナフシの特性から脱走される心配はそれほどありませんので、プランターに植物を植えておき、それを園芸ネットで覆って飼育するという方法も有効的かと思います。
ナナフシの値段など
ナナフシは公園などでも採集可能ですが、なかなか見つけられない事も多い事でしょう。
そんな場合にはお店で購入することも可能です。
値段は一義には言えませんが、だいたい1,000円から3,000円くらいである事が多い印象です。
またカメレオンなどの餌用としてナナフシが販売されていることもあるようですね。
以下のサイトでも販売しているようですので、気になる人はチェックしてみて下さい。
まとめ
ナナフシは擬態することで有名なナナフシ目の昆虫です。
日本では数十種類のナナフシが生息していますが、一般的にナナフシと呼ぶものはナナフシモドキという種類のものであることが多いです。
また、温暖な地域にしか生息しないものが多く、日本では主に関西以南に多く生息しています。
飼育する事も可能ですが、餌になるのは広葉樹の柔らかい新芽になりますので、常に新鮮なものを用意しておく必要があります。
上手く飼育環境を作ることができれば、インテリアとしても見映えがするのかな、とも思います。
でもどこにいるのか分からない、そもそも目立たないという点から、鑑賞向きなのかどうかは多少疑問ですね。
しかし子供の自由研究などにはもってこいなのではないでしょうか。