
絹糸の生産において、古くから重宝されてきたシルクワームこと「蚕(カイコ)」。
近年では、蚕による絹糸生産は廃れてしまっていますが、蚕の養殖は今もなお受け継がれています。
そんな蚕ですが、初心者にも簡単に飼育することができるってご存知ですか?
難しそうに思われる蚕の飼育ですが、私たちの思う以上に簡単に飼育できてしまうんです。
そこで今回は、蚕の飼育をやってみたい!と思う人にに、目から鱗な蚕の飼育方法を詳しくご紹介していきます。
目次
蚕ってどんな虫?蛾?
蚕の特徴や生態、購入方法などについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
蚕の卵の管理方法
蚕の卵を孵化させるためには、休眠をさせる必要があり、3℃~5℃の低温で管理します。
冷蔵庫での管理がおすすめですね。
この状態のまま、2か月くらい冷蔵保管することで、常温に出した時に休眠状態が解除され、孵化ができるようになるのです。
休眠状態の卵の保管は、乾燥させないようにタッパーなどに入れて保管してください。
蚕の幼虫の飼育ケース
飼育ケースは一般的な昆虫飼育用のプラケースで問題ありません。
やや大き目のケースの方が広々として飼いやすく、お世話もしやすいでしょう。
蚕は脱走しようともしない昆虫ですので、逃げ出すことはありませんが、フタは一応しておくことをおススメします。
蚕の卵の孵化のさせ方
蚕の卵が孵化するのに必要な条件は、温度25℃、湿度70%~80%と言われています。
27℃以上になると、孵化した幼虫が弱ってしまったり、なんらかの生涯が出る事があるようです。
この環境を維持し続けると、およそ10日~2週間程度で孵化が始まります。
孵化する前の卵は青く色が変わるのが特徴的です。
また、一斉に孵化させるために、夜は暗く、昼は明るくといったようにメリハリをつけて管理すると、バラバラに孵化せずに一斉に孵化させることができます。
蚕の餌
蚕の餌となるのは「桑の葉」です。
もうこれだけですね。
蚕は桑の葉しか食べないのです。
一匹の蚕が一生のうちで食べる桑の葉はおよそ100gだと言われています。
桑の葉は割とどこででも生えていますので、比較的簡単に入手できるかと思います。
孵化したばかりの幼虫はそれほど多くの量を食べないのですが、5齢幼虫になると非常にたくさんの桑の葉を食べるようになります。
また桑の葉を採取する場所にはちょっと注意が必要です。
殺虫剤がかかっていないかどうか等、良く考えてから採取するようにしてください。
桑の葉は毎日切らさず与えるようにしてください。
蚕は幼虫の間は、とにかくひたすら桑の葉を食べまくります。
桑の葉を常時ストックしとくと良いですが、ストックする場合はジップロックなどの袋に入れて冷蔵庫に入れておくと、約1週間は保存できます。
また、桑の葉なんてどこにもない!と言う人は、通販でも購入する事ができます。
さらには、近年では蚕専用の人工餌なるものまで販売されています。
こちらを使用しても良いかもしれませんね。
ただし、注意点として、一度桑の葉を食べた蚕は、人工餌は食べないと言われていますので注意が必要です。
蚕の飼育温度は?
蚕の幼虫の飼育温度は、25℃以上で飼育するようにしてください。
適正温度は27℃~29℃くらいの間ですが、若い1齢幼虫の場合は高めの温度で飼育する方が望ましいです。
34℃以上になると死んでしまう危険が高くなりますので、暑い夏の飼育は特に注意が必要です。
逆に18℃以下で活動しなくなり、15℃以下で餌を食べなくなりますので、温度管理は蚕の飼育にはかなり重要になるのです。
幼虫の脱皮
蚕の幼虫は成虫になるまでに4回脱皮し、5齢幼虫にまで成長します。
蚕の脱皮時には注意すべき点があり、それは湿度を高くなり過ぎないようにすることです。
脱皮の際は乾燥気味の方が成功しやすく、脱皮不全を回避できます。
また、脱皮直後の幼虫はとてもデリケートで、いじくると皮膚が破れて出血したりしやすいので注意しましょう。
餌の交換
餌が減ってきて糞が目立ってきたら、飼育ケースを掃除して、常に飼育ケース内は清潔にしておきましょう。
汚れている環境だと病気にかかりやすくなって良くありません。
餌を交換する場合は、新しい餌を入れた後、蚕が新しい餌に移ったら古い餌を取り除く、という方法が良いでしょう。
繭を作るようになるまでの期間
蚕が孵化してから、繭を作るようになるまでにどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
幼虫が糸を吐くようになるまでの期間は、およそ20日くらいになります。
蚕の幼虫の成長を見ていると、本当に早いなと思ってしまうくらいの早さで成長していきます。
4回の脱皮を経て、5齢幼虫になり、やがて体が透けてきて歩き回るようになってきたら熟蚕(じゅくさん)です。
いよいよ繭を作り始めますので、観察してみましょう。
蚕の羽化と産卵
繭を作り、中でさなぎになった蚕は、やがて繭から出てきて蛾になります。
これがカイコガと呼ばれる蛾ですが、真っ白でふわふわしていてとてもかわいいです。
成虫は交尾をしたら、地面に直接黄色い卵を産み付けていきます。
卵はこのまま休眠しないと10日程度で孵化します。
休眠させてから孵化させる場合は、一旦冷蔵庫などに入れて休眠させましょう。
蚕の飼育セット
初心者にも安心な、蚕の飼育セットも販売されています。
説明書も付属していますので、誰でも簡単に飼育開始できるのが魅力的ですね。
まとめ
蚕の飼育はとても簡単に行う事ができます。
卵の管理は25℃程度の温度で管理すると良いでしょう。
乾燥には注意し、75%くらいの湿度は維持するようにすると孵化率を上げる事ができますよ。
幼虫の飼育は、とにかく桑の葉を食べさせることです。
幼虫は一匹当たり生涯で100gもの桑の葉を食べますので、毎日切らさずに桑の葉を与えられるよう、常に桑の葉をストックしておくと良いです。
また脱皮前は餌を食べさせない方が良く、ケース内も乾燥気味にした方が脱皮不全になりにくいです。
以上が上手に飼育するコツになります。
成虫は意外とかわいらしい蚕。
この夏、自由研究などで飼育、観察してみてはいかがでしょうか。