
蚕(かいこ)という虫をご存知ですか?
地味に思われがちな蛾でありながら、真っ白なきれいな体をしているこの虫は、古くから絹を取るために飼われてきました。
そんな蚕ですが、実際にはどんな生態で、どんな特徴を持っているのか知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。
そこで今回はちょっと不思議なかわいい蛾、「蚕」について、その生態や特徴などについて詳しく調べてまとめてみました。
目次
蚕ってどんな虫?
蚕は「かいこ」と読み、「カイコガ」と言う蛾の一種です。
蚕と呼ばれているのは、そのカイコガの幼虫の事で、幼虫が蛹になる際に作る「繭」から絹が取れる事は有名な話ですね。
蚕は完全に家畜化された昆虫であり、野生の蚕は存在しないのです。
もし仮に蚕を野生に放したとしても、白い目立つ体のためにすぐに捕食されてしまう危険もあり、また成虫も翅を持ってはいますが、羽ばたくのがやっとで、飛ぶことはできないのです。
つまり野生では生きてはいけない、か弱い昆虫でもあるのです。
蚕の成虫の大きさは、翅を広げた状態でおよそ4㎝で、胴は翅の長さに対してかなり太くなっているのが特徴的です。
幼虫も真っ白とは言いませんが、灰色をしています。
幼虫は桑の葉を食べて育ち、5齢幼虫まで成長して繭を作り、さなぎになり、やがて成虫の蛾となるのです。
蚕hの性格はとても大人しく、せわしく動き回るような事もありません。
また攻撃性も全くなく、警戒心と言うものも持ち合わせていません。
ですので近づいても、触ろうとしても全く逃げようともせず、大人しいものです。
蚕の伝来
蚕は中国で発展し、日本には二世紀くらいの頃に入ってきたと言われています。
その後蚕が急速に発展したのは明治期に入ってからであり、現在ではすでに蚕による絹糸の生産は衰退してしまっています。
蚕の先祖はクワコ?蚕の品種改良とルーツとは?
蚕が作られる元になった昆虫は、同じ体の特徴を持つ「クワコ」という蛾であると言われていました。
しかしクワコが蚕の祖先である、というには少し疑問が残ります。
確かに体のつくりや形はよく似てはいますが、クワコが作る繭はとても小さく、絹糸を取れるとは言い難いという事実があり、クワコから作り出されたというのは考えづらいとも言われているのです。
蚕の歴史はかなり古く、数千年以上にもなると言われており、蚕のルーツになった昆虫はクワコではないにしろ、クワコに近い全く別の昆虫ではないかとも言われているのですが、詳しい事は分かっていません。
現在では品種改良を繰り返されてきたため、地域によって多種多様な蚕が養殖されてきました。
ですので地域によって蚕が作る繭の形や大きさ、色が違うという特徴もあるのです。
蚕の寿命は?
蚕の寿命はとても短く、卵から孵化してからわずか1か月~2か月足らずで死んでしまいます。
幼虫の間は桑の葉をたくさん食べますが、成虫になると口は完全に退化しており、食べ物を食べる事はありません。
全く餌も摂らず、水も飲まず、幼虫の間に蓄えた栄養のみで一週間くらいは生きていられるという程度なのです。
ですので、わずか一週間ほどで死んでしまう儚い命だと言えますね。
蚕の入手方法や値段は?
蚕の入手は比較的容易で、ペットショップでも餌用として販売されていることもありますし、ネットショップを使えばとても簡単に購入する事ができます。
ショップは以下のようなサイトがとても分かりやすく、おススメのように思います。
卵なら500粒や1000粒単位で購入する事ができますが、初心者に特におススメなのはカイコ飼育セットですね。
値段は2,000円とかなりお手軽ですし、蚕の3齢幼虫と飼育に必要なものがセットになっているので簡単に飼育を始められます。
蚕は繭を作るまでに4回脱皮をするのですが、既に3齢ですので、あと2回脱皮をすれば繭を作れるようになるのでより簡単ですね。
まとめ
蚕は絹糸生産のために品種改良によって作り出された蛾の一種です。
野生の蚕は存在しておらず、野生で生きるための力はなく、人間の手助けなくしては生きる事ができないのです。
蚕に養殖は現在では廃れてしまっていますが、蚕を購入して飼育することは可能です。
飼育に便利なカイコ飼育セットも販売されていますので、夏休みの自由研究にももってこいではないでしょうか。
地味な印象で敬遠されがちな蛾ですが、蚕はとっても可愛らしい容姿の蚕。
一度、じっくり観察してみても面白いのではないでしょうか。