ナマケモノと言う動物をご存知でしょうか。
ゆっくり動く、なんともノロマな生き物・・という印象が強い人が多いのではないでしょうか。
そんなナマケモノですが、なんと私たちには考えられないような変わった生態の持ち主でもあるのです。
また、ナマケモノの死因がなんとも衝撃的だ、という声もあるようです。
そこで今回は、ナマケモノについて、その生態や特徴について詳しくご紹介していこうと思います。
目次
ナマケモノとは?
哺乳綱異節上目有毛目ナマケモノ亜目の総称を「ナマケモノ」と呼んでいます。
ナマケモノにはいくつかの種類があり、ミユビナマケモノ科とフタユビナマケモノ科に大きく分けることができます。
違いは前足の指の数が3本か2本かの違いくらいであり、そんなに違いがあるわけではありません。
これらをさらに分けると5種のナマケモノに分類することができます。
またフタユビナマケモノの方が動作が速い、とも言われています。
爪は鋭く長いのが特徴的ですが、これは木の枝にぶら下がるためであり、決して他を攻撃する為のものではありません。
ちなみに、同じ有毛目に分類されている動物に「アリクイ」がいます。
ナマケモノとアリクイは大きな分類上では割と近しい仲間なんですね。
アリクイに関しては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
分布や生息地は?
どのナマケモノも中南米の熱帯雨林に生息しています。
棲んでいるのは専ら樹の上であり、一生のうちのほとんどの時間を樹上で過ごすという生活をしています。
寿命は?
野生下での寿命は10年~15年くらいと言われています。
しかし飼育下では30年くらいも生きることができる、意外と長寿な動物なのです。
しかし、野生と飼育下ではずいぶんと寿命に開きがあると思いませんか?
これの理由に関しては、後ほど説明しますね。
餌を食べないって本当!?
一説によると、ナマケモノは一切餌を食べないと言われていることがあるようです。
しかしこれは全くの誤りであり、実際にはちゃんと食事を摂っているんですよ。
ただし、食べるのは葉っぱや苔などのカロリーがものすごく少ないものを「たった8g」程度なのです。
食事が葉っぱ一枚、わずか8gだけなんて気が狂いそうになりますが、ナマケモノにとってはこれが普通なんです。
これにはちゃんとした理由があります。
ナマケモノはほとんど動くことが無い生活をしていますので、一日に消費するエネルギーが凄く少ないのです。
このおかげで必要とする食料も少なくて済む、というわけですね。
しかも年を取ったナマケモノの体には苔が生える事があるようで、なんとこの苔を食べるだけで生活できてしまうほどに、食事に関しては貧欲な動物なのです。
食事の量が少ないので、当然排泄の量も少なくて済みます。
ですので一週間に一回くらいのペースでしか排泄をすることもないようです。
なんだか考えられないような生活ですよね(笑)
動きが遅いのは筋肉が無いせい!?
ナマケモノの動きが遅いのには理由があります。
これは単純に動きが遅い、のではなくて「速く動けない」と言う方が正しいかもしれません。
というのも、ナマケモノには体中のあらゆる筋肉が無いと言っていいくらいに「無い」のです。
ですので、樹上でしがみついているナマケモノは実際にはしがみつくというよりは「ぶら下がって引っ掛かっている」状態と言うべきです。
また先述の通り、食事をほとんど取りませんので、エネルギーが消費できません。
むしろ動き過ぎると死んでしまうと言いますから、動きたくてもまさにどうしようもないのでしょうね。
ちなみにナマケモノの動く速さは時速16mと言われています。
16㎞ではないですよ、16mですよ!
しかし天敵から逃げる際には一応急ぐことができるのか、時速120mくらいまで速くなるようですが、それでも逃げられるような速さではないのは確かですよね。
意外と泳ぎが得意!?
ノロマな印象のナマケモノですが、なんと意外と泳ぎは得意との情報があります。
天敵に襲われそうになった際には、泳いで逃げる事もあるそうで、犬かきのように泳ぐ姿を見ることができるようですよ。
それでも長くは泳げそうもありませんけどね(笑)
ナマケモノの衝撃的な死因とは!?
ナマケモノの死因が衝撃的という声もあるようですね。
それもそのはず。
先述の通り、野生下での寿命が極端に短いのは、「捕食されてしまうリスクがとても高いから」なのです。
そうなんです!
動きが極端に遅いので、天敵であるジャガーやピューマやワシなどに襲われることが日寿茶飯事なのです。
なんとオウギワシというワシの獲物となるのは、50%がナマケモノだと言いますから、どれだけ頻繁に食べられているのかが良く分かりますよね。
また普通の動物であれば、食べられそうになったら必死に暴れて抵抗しますよね?
しかしこのナマケモノ。
もう絶体絶命だ!ちうシチュエーションであっても抵抗せずに、「全身の力を抜いて無抵抗になる」のだそうです。
その方が体の緊張状態が解けて、食べられる際の痛みを和らげられるからだそうで、なんとも衝撃的ですよね・・
つまり、ナマケモノは天敵から隠れるような生活をしており、万が一見つかってしまったら逃げる術がないのです。
捕まったら終わり・・ではなく
見つかったら終わり!という究極の状況下で必死に生きていたという事ですね。
その他の死因
襲われて死んでしまう事が多いナマケモノですが、なんと他にも死因があって「餓死」してしまう事もあるのだとか。
ほとんど食べないのに餓死なんて、何だか矛盾していると思いませんか?
これにはナマケモノの体の消化器官に理由があるのです。
食べた葉っぱを腸内の微生物が分解してくれるのですが、これにはかなりの時間がかかるので、もしも食べ過ぎなどで消化不良を起こしたりすると、栄養が補えずに餓死してしまう、という事です。
分かりやすく言うと、食べ過ぎて満腹になると、胃腸の消化の働きの機能が悪化、食物繊維を上手く分解できなくなり、栄養が不足してしまう、という事です。
食べ過ぎて餓死するなんて、なんちゅう面倒な体をしているんでしょうね・・(笑)
まだまだある!ナマケモノの死因!
ナマケモノは哺乳類ですが、「変温動物」なのです。
つまり周囲の温度の変化によって体温が左右されてしまう動物なのです。
温度が下がり過ぎて体温が低下すると、先ほど述べたような胃腸の働きが悪くなり、消化不良を起こして死んでしまう事になります。
また温度が上がり過ぎると、急激に体温上昇、結果熱中症になって死んでしまうなんて事もあるようですね。
これほどまでに色んな死と隣り合わせの生活を強いられているナマケモノ。
なんだか可哀そうに思えてならないのは、私だけでしょうか・・
それでも生き続けられる理由
そんなすぐにも死んでしまいそうなナマケモノですが、これまで無事に繁栄し続けることが出来たのでしょうか。
それは、ナマケモノには生き残るために必要な、理にかなった生活スタイルを確立してきたからです。
まずは「基本的に餓死しない」という事が挙げられます。
食べ物が少なくて済むという事は、それだけ食べ物に困って飢え死にするリスクが無いと言えます。
さらに自分に生えた苔を食べて生きる事もできると言いますから、極論ずっと動かなくても食べ物には困らないという事です。
また食べ物をめぐっての争いや競争もないわけですから、争いに負けて命を落とすリスクなども皆無なわけです。
まとめ
ナマケモノは一言で言うと、他と争う事を全くしない生態を持った珍しい動物、とでも言うべきでしょうか。
やられるときは潔くやられっぱなし・・
という、ちょっとは戦ってもいいんじゃないの?潔すぎでしょ?
と思うような生き方をしてきた動物ですね。
よく見ると何だかかわいいナマケモノ。
動物園で一度じっくり観察してみてはいかがでしょうか。