
春になると日本にやって来るツバメ。
ツバメが巣を作ると縁起が良いとされ、昔から親しまれてきました。
そんなツバメの生態や子育ての仕方、寿命などを見ていきます。
目次
ツバメの生態
ツバメは、スズメ目ツバメ科に属する鳥です。
長い尾羽と喉に黒い帯があるのが特徴的ですが、この長い尾羽をもとに作られたのが男性の夜間の礼服である「燕尾服」です。
ツバメは鳥類の中では小型ですが、体に似合わず大きな翼を持っているため、高い飛行能力を持っています。
また、「帰巣本能」と呼ばれる以前いた巣にまた帰ってくる能力を持っており、毎年同じ場所に帰ってくる確率が高いことでも知られています。
ツバメは渡り鳥?
鳥の仲間には、スズメやカルガモなどのように1年を通して同じ場所にいる「留鳥」と毎年決まった季節になると繁殖地と冬を越す地の間を行き来して一生を過ごす「渡り鳥」がいます。
繁殖地と冬を越す場所を行き来することを「渡り」といいますが、渡り鳥も渡りのルートによって呼び名が変わります。
ツバメも渡り鳥の仲間ですが、春に東南アジアやオーストラリアなどから日本にやって来て秋になるともともといた場所に帰っていく「夏鳥」に分類されています。
夏鳥にはツバメの他に、サシバやアマサギ、アカショウビンなどがいます。
なお、夏鳥の他に、冬にロシアなどの北国から日本にやって来て暖かくなるともともといた場所に帰って繁殖をするガンやマナヅルなどの「冬鳥」、渡りの途中で日本に立ち寄るシギなどの「旅鳥」がいます。
ツバメの種類と分布
一般的に知られているツバメ以外にもツバメ科に属するツバメの種類がおり、以下のようなものです。
ショウドウツバメ
リュウキュウツバメ
コシアカツバメ
イワツバメ
留鳥であるリュウキュウツバメ以外は、すべて夏鳥の仲間です。
それぞれの特徴を紹介します。
ショウドウツバメ
暗い褐色の羽毛と短い尾羽が特徴です。
砂地の崖に巣を作る習性がありますが、このような崖が開発で工事されることが多くなり、工事現場などに巣を作ることもあります。
リュウキュウツバメ
東南アジアや太平洋の島々に分布しています。
他のツバメ仲間とは違って渡りをしません。
ツバメと違い喉に黒い帯はなく、短い尾羽が特徴です。
コシアカツバメ
長い尾羽と顔や胸に縦縞模様があり、腰がオレンジ色なのが特徴です。
西日本にやって来ることが多く、東日本では見ることが少ないです。
イワツバメ
短い尾羽と白い腰が特徴です。
九州より北の地域にやって来て、朝と夕方に多数のイワツバメが飛び交うのが目撃されています。
ツバメの仲間はみんな小さな体をしていますが、長い距離を移動する能力を持っています。
ツバメの寿命は?
ツバメの寿命は、1年半くらいです。
ツバメは渡り鳥なので、旅の途中で天敵に襲われたり過酷な旅の途中で力尽きてしまうために上記のような寿命になると考えられています。
また、生まれた雛がすべて巣立ちが出来るまで成長する可能性は非常に低く、中には卵から孵化する前に死んでしまうことも。
ツバメの一生はかなり過酷なようです。
ツバメの餌は?
ツバメは、一体何を食べているのでしょうか。
鳥によっては果実や魚、小動物などを食べますが、ツバメは昆虫を食べています。
蚊や蛾、蜻蛉などの飛翔している昆虫を食べています。
ツバメが日本にやって来て雛が孵化するのが大体5月から6月頃です。
ちょうどこの頃、田んぼに稲を植えますが、稲を食べてしまうウンカなどの害虫も現れます。
この害虫は、雛の餌になるため、古くからツバメは害虫を食べてくれる「益鳥」として大切にされています。
ツバメの子育てについて
餌を求めて鳴く雛たちを夫婦で甲斐甲斐しく子育てしている姿は、微笑ましく見えますし、「どうか無事に巣立ちして欲しい」と応援したくなりますね。
大抵の生き物はオスは繁殖のときだけ関わってメスが中心になって子育てをしますが、ツバメの子育ては夫婦で協力して行われます。
卵が孵化するまで2週間ほどかかり、その間暖めるのは主にメスが行いますが、時にはオスが交代することも。
無事に卵から雛が孵化しても夫婦で協力して、巣立ちまで天敵の野良猫やカラスから雛を守りつつ、世話を続けます。
しかし、時に自然は残酷なものです。
野良猫やカラスに襲われたなど、何らかの事情で夫婦のうちの片方が死んでしまうことがあります。
この場合、残された1羽が子育てを行うのでしょうか。
残された方のツバメは、すぐに新しいパートナーを見つけます。
そして、その新しいパートナーと生活を始めますが、何と以前のパートナーとの間に生まれた雛を追い出してしまうのです。
追い出された雛は、当然生きていけません。
とても残酷ですが、ツバメも限られた寿命の中で少しでも多くの子孫を残すために必死なのです。
ツバメは飼育できる?
天敵に襲われたのか怪我をして動けなくなったツバメや巣から落ちてしまった雛を放置出来ずに拾ってきてしまった経験がある人もいるかと思います。
保護するうちに情が移り、ツバメを飼育したいと考える人もいますが、そもそも一般家庭でツバメを飼育することは可能なのでしょうか。
結論から言うと、ツバメは野鳥です。
野鳥を捕獲して飼育することは「鳥獣保護法」により禁止されています。
例外的に、都道府県から許可が下りれば保護をすることは可能です。
ただし、ツバメの治療費などかかった費用は都道府県から補助が出ず全額自己負担のため、金銭的にかなりの負担になるのは間違いないです。
また、ツバメの雛は親鳥から虫を与えられて育ちますが、人間の飼育下ではそれは難しく、与えられた鳥用の餌を食べられずに衰弱したり最悪の場合には死んでしまうこともあります。
以上のことから、ツバメのの飼育は金銭面や世話の面でも困難であると言えます。
生態系を守るためにも、野生動物はそのままにしているのが基本ですので、保護をする前に都道府県の鳥獣保護の窓口に問い合わせる方が良いでしょう。
まとめ
ツバメの生態や特徴、子育ての仕方などを見てきました。
夫婦で協力して子育てをするのはとても微笑ましく見えますが、夫婦のどちらかが死んでしまうと前のパートナーとの子どもを追い出してしまう非情さは衝撃的ですね。
ツバメは寿命が1年半ほどですし、鳥類の中では小型であるため、天敵に襲われてしまう可能性も高く、生き残るために必死なのでしょう。
今度ツバメを見かけたら「頑張れ!」と応援したくなりますね。
ツバメの巣やツバメにまつわる縁起話
ツバメの巣や縁起話に関しては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。