尺取虫(シャクトリムシ)って一般的に嫌われがちなイモムシの中でも、どこか愛嬌があって可愛いですよね。
どこにでもひょっこり現れる、意外と出会う事も多い事かと思います。
そんな尺取虫ですが、実は害虫なんだと言われているようですね。
実際にどのような実害があるのでしょうか。
また、尺取虫が成長したら、いったいどんな虫になるのでしょうか。
今回は、ちょっとキモかわいい、尺取虫について詳しくご紹介していこうと思います。
尺取虫っていう虫はいない!?
突然何を言い出すんだ!?と思うかもしれませんが、「尺取虫という名前の虫自体は存在しない」のです。
尺取虫とシャクガという蛾の仲間の幼虫の総称であるから、ですね。
つまりシャクガという分類に属している蛾の幼虫が、総じて尺取虫とよばれている、という事です。
シャクガには様々な種類がおり、エダシャク、フユシャク、カバシャクなどといった分類があるようですね。
さらに、エダシャクの中にはヨモギエダシャクというシャクガがいたりと、その種類は本当に多いのです。
全世界のシャクガの種類はなんと20,000種類とも言われており、日本国内で生息しているシャクガだけでもおよそ800種類くらいいるとの事。
もしかしたら、まだ知られていない尺取虫もいて、これから新種が続々と発見されていくのかも知れませんね。
尺取虫という名前の由来について
尺取虫は他のイモムシたちと違う特徴を持っています。
それは体がより細長く、腹部にあるはずの脚が退化してしまっている、という事。
尺取虫をよく観察してみると分かりますが、体の前後の端っこにだけ脚が確認することができます。
この特徴のため、通常のイモムシのように這って移動することができず、体を伸び縮みさせながら移動しなければなりません。
この動作がまるで人差し指と親指で長さを測る時の動作によく似ている、という事から尺を取る=尺取虫となったようですね。
また別名に尺蠖(しゃっかく)、蚇蠖(おぎむし)などがあるようです。
さらには、尺取虫は枝にも擬態することができます。
その昔、農作業の際に土瓶にお茶を入れて持って行き、枝に引っかけておこうとしたところ、その枝は実は尺取虫が擬態したもので、当然土瓶が掛けられずに下に落ちて割れてしまった、という逸話から「土瓶落とし」とよばれていた事もあるのだとか。
尺取虫の食性は様々
前述の通り、尺取虫の種類は半端なく多いため、その種類ごとに食性は異なります。
基本的には葉っぱが主流のようですが、食べる植物の種類がかなり多岐にわたります。
またハワイ諸島に生息している尺取虫に限定されているようですが、なんと肉食の尺取虫も存在するようですね。
小さなハエなどを上手く捕まえて食べてしまうようですが、このような尺取虫が13種ほど確認されているようです。
また余談ですが、ハワイには肉食の蛾も生息しているとの事。
蛾がカタツムリを捕まえて食べるらしく、そんな蛾なんて聞いたことがないようですよね。
このカタツムリを食べる蛾はシャクガとは無関係の別の種類の蛾だそうですが、どうしてハワイでのみこのような肉食の蛾や尺取虫が発生しているのかはよく分かりませんが、ちょっと興味深いところです。
尺取虫は害虫?
尺取虫は毛も生えておらず、毒もなく、大人しくて可愛らしいイモムシです。
しかし、ヨモギエダシャクに代表される尺取虫は多食性の為、様々な種類の果樹、農作物の葉を食害してしまいます。
葉っだけではなく、花やつぼみ、新芽まで何でも食べてしまうため、ちょっと厄介者なんですね。
農家にとってはまさに「悩める種」となっているわけですね。
尺取虫の都市伝説!?
尺取虫にはとある言い伝えがあります。
それは、「尺取虫に体の尺を取られる(頭から足まで縦断される)とその人は死んでしまう」というもの。
そんなの初めて聞いた!という人も少なくないでしょう。
私もその一人です。(笑)
しかし当然そのような話はウソであり、何がどうなってそのような話ができたのかは定かではありません。
日本にはそんな話が数多くあり、面白い所だと思います。
尺取虫の駆除
多食性の尺取虫の大量発生は、農作物に多大な被害と影響を及ぼします。
こうなる前に、またはなってしまったらやはり駆除が必要になりますよね。
駆除方法は簡単です。
尺取虫は幸い毒を持ちませんので、素手でつまんで駆除することができます。
数匹程度ならこの方法でちまちまと駆除することが出来ますが、大量の駆除となるとちょっと大変ですね。
その場合は殺虫剤を使用した駆除方法になりますが、オルトランという殺虫剤は効果的だという情報があります。
ヨコバイ、アブラムシ、コナガなどの他の害虫とされている虫たちにもとても有効だと言われていますので、害虫駆除でお悩みの人は、一度チェックしてみても良いかと思います。
まとめ
尺取虫とは、「シャクガ科に属する蛾の幼虫の総称」です。
他のイモムシとは違って、愛嬌のある移動方法を取るのでかわいいと言われる反面、農作物を食害する事も多い害虫でもあります。
毛虫などと違い、刺しませんし毒もありませんので、駆除はてでつまんで行う事も可能です。
しかし大量の駆除は骨が折れますので、オルトランなどの殺虫剤を有効活用し、行う事ができます。