「バク」という動物をご存知でしょうか。
動物園でも見ることができる、ちょっと変わった奇妙な姿の生き物ですよね。
結構地味~な印象なので、もしかしたら「全然知らない!」という方も多いはず。
でも、こんな事を聞いたことがありませんか?
「バクっていう動物は夢を食べる!」という伝説を!
一体どうしてこんな言い伝えが生まれたのでしょうか。
今回はそんな珍獣「バク」についてのあれこれを詳しく調べてまとめてみました。
バクの生物学上の分類
バクは奇蹄目(ウマ目)に分類されているバク科の動物の総称を指します。
また奇蹄目にはバク科とサイ科、ウマ科が分類されており、バク科はサイ科とより近縁種になるそうで、ウマ科はそれよりもやや遠い種類という事になっているようです。
バクの種類
バクというのはバク科バク属に属するものの総称ですので、実際にはいくつかの種類のバクが存在します。
現存するバクは5種類で、有名なものに「マレーバク」がいます。
その他にも「アメリカバク」、「ベヤードバク」、「ヤマバク」がいます。
もう一種類アマゾンで新種として認められたバクがいるのですが、まだ和名は名付けられていません。
ちなみにバクは、ポケットモンスターの一種である「スリープ」のモデルにもなった動物でもあります。
バクの生息地
北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、東南アジアなど広範囲に分布しています。
太古の昔、中国にもマレーバクが生息していたようですが、現在では既に絶滅してしまっていると言われています。
古代の中国には、他にもアジアゾウやインドサイも生息していたとされていますが、同じように既に絶滅してしまっています。
バクの生態
夜行性であり、食性は植物食です。
ゾウに似た長い鼻で器用に食べ物を探して食べることができます。
草食なのですが、実は犬歯は発達しているらしく、噛まれると意外と痛いのかもしれません(笑)
生息地はアマゾンなどの森林が多く、水辺を好んで生息しています。
潜水が好きな動物で、敵から逃げる時もすぐに水中に逃げ込むという習性を持ちます。
寿命はおよそ30年くらいであり、結構長めですね。
絶滅危惧種!?
実はどのバクも個体数を減らしており、絶滅危惧種に指定されています。
マレーバクは1000頭ほどしかいないとされ、個体数減少の要因は森林破壊の他にも密猟などによる減少など要因は様々です。
またバクの繁殖はサイクルが遅く、妊娠期間がなんと400日も掛かってしまいます。
しかも産まれてくる子供はわずか一頭しかいないと言いますから、簡単に減少してしまうのも頷けますよね。
ちなみに産まれたばかりの赤ちゃんバクは、まるでイノシシの子供のうりぼうによく似た姿と色をしています。
バクは夢を食べる動物!?
言い伝えにバクは夢を食べる、というものがありますが、哺乳類の動物が夢を食べるわけがないですよね(笑)
では一体どうしてこのような伝説が生まれてのでしょうか。
それは、バクとは全く関係のない、伝説上の生物である「獏(バク)」にルーツがあるようですね。
伝説の生物「獏」とは?
獏は中国で生まれた伝説の生物であり、日本にも伝えられました。
実はあの葛飾北斎の作品にも「獏」が描かれていたりします。
しかし中国において、獏の姿に関してはかなりバラバラな説があり、姿が一定ではありません。
いろんな姿で伝わっている獏ですが、一般的に有名な姿というのは、「脚はトラ、鼻はゾウ、目はサイ、尾はウシ」というまさに神獣のような姿として言い伝えられているようですね。
この獏ですが、動物の「バク」がよく似ていると言われていました。
その為、バクは獏にちなんでバクと名付けられたという説が有力視されています。
しかしその逆の説もまた存在するのです。
実は古代中国の遺跡からはバクを象った青銅器も出土しています。
さらにはゾウやサイは古代中国に生息していたとされ、バクもまた同じように古代中国に生息していたとされています。
このバクは絶滅してしまっていますが、現在でも伝説の生物「獏」として伝わっているのではないか、という説があるというわけです。
つまり獏はバクをモデルに創造された架空の動物である、という見方もできるわけですね。
どうして獏は夢を食べる!?
実のところ、中国のにおける獏の伝説では、「悪夢を食べる」という言い伝えはないのです。
獏の毛皮を座布団や寝具にすると、病気や悪気を退ける力があると言われていたらしく、いつしか獏の絵を屏風などに描いて邪気を払う風習が生まれました。
こうした風習がが日本に伝わったのですが、「悪夢を払う」がどこでどう間違えたのか、「悪夢を食べる」と伝え間違えられたというのが「獏が夢を食べる」と言われる由縁になったようですね。
まとめ
哺乳類のバクはもちろん夢なんて食べません(笑)
夢を食べると言われているのは、中国で生まれた伝説の生物「獏」の方です。
また獏に似ているからバクと言われるようになったという説と、バクをモデルにして獏が生まれたという説の2種類の説があるようですね。
また古代中国では獏が夢を食べるという伝説はなく、邪気を払う効果があるという言い伝えしかありませんでした。
それが日本に伝わる際に、間違って「悪夢を食べる」として伝えられたことにより、現在の「バクは夢を食べる」という迷信に繋がったと言われています。
伝え間違えられる、というのは良くある事ですが、まさか獏の伝説までそうだったとは知りませんでした。
伝説上の動物と実在の動物の関係性などを調べてみると、意外と面白い事実があったりしてなかなか面白いものがありますよね。