アクアリウムで使用されているフィルターはたくさんの種類があります。その中でも一般的なフィルターの一つである「上部フィルター」。水槽をセットで購入すると一緒に付いてくることも多いよく見るフィルターとも言えるでしょう。
でもこの上部フィルター、水草水槽を嗜む一部のアクアリストからは嫌がられ、敬遠されているフィルターでもあります。
今回は上部フィルターが敬遠されている理由と、意外と優秀なフィルターである理由も併せて上部フィルターの魅力をご紹介してきたいと思います。
目次
上部フィルターのメリット
上部フィルターのメリットは以下の通り。
・掃除などのメンテナンスが簡単
・エアレーション効果が高い
では順番に解説していきます。
ろ過が強力
上部フィルターの一番のメリットは、ろ過能力がとても高いということです。その理由はろ材がとてもたくさん入るからです。物理ろ過をするウールマットや、生物ろ過をするリングろ材などのろ材をたくさん入れることができる構造のため、水槽をきれいな状態に保ちやすくなります。
上部フィルターにもいろんな種類がありますが、できるだけ大きい、たくさんのろ材が入るものを選ぶ方が、強力なろ過能力が期待できます。
掃除などのメンテナンスが簡単
上部フィルターは水槽上部に据え置くタイプのフィルターですので、水槽の中に手を入れることなく掃除、メンテナンスが行えます。水槽に手を入れて掃除をしたり、外部フィルターのようにホースを外して蓋を開けて・・といった煩わしい手間が掛からず、簡単にメンテナンスが行えるのもポイントが高いですね。
エアレーション効果が高い
上部フィルターは水槽内の水をポンプで吸い上げ、フィルター内で空気をジャバジャバと巻き込みながら水を流し、ろ過を行います。この空気を巻き込みながら水が回るシステムはエアレーション効果があるんです。つまりエアレーションをわざわざしなくても、上部フィルターを回していれば、水槽内への酸素供給が賄えてしまうのです。
夏場の水温上昇による水槽内の酸欠を防止できるのも上部フィルターの魅力的なポイントと言えるでしょう。
好気性バクテリアの繁殖に最適
水槽の生物ろ過能力を高めるためには、好気性バクテリアを繁殖させて数をふやさなければなりません。この好気性バクテリアは酸素を多く含んだ場所を好んで繁殖します。空気を巻き込みながらろ過をする上部フィルターのろ材は、好気性バクテリアにとってとても繁殖がしやすい環境だと言えます。
外部式フィルターもたくさんのろ材が入るため、生物ろ過能力が強力ですが、密閉された構造のため好気性バクテリアが繁殖しにくく、水槽の立ち上げに多少時間が掛かってしまいます。
その点、上部式フィルターの場合は好気性バクテリアの繁殖が早いので水槽の立ち上がりも比較的早く、水槽環境が安定しやすいと言えるでしょう。
上部フィルターのデメリット
上部フィルターにもデメリットがあります。それは以下の通り。
・水草水槽には不向き
見た目が悪い
上部フィルターはその見た目がとてもインパクトがあります。水槽に目をやると、まず最初に上部フィルターに目が行くこともあるほどです。たくさんろ材が入るタイプのものだと、さらに目に入るようになり見た目的にも美しくはありません。
水草水槽には不向き
上部フィルターが水草水槽に不向きと言われているのはよく耳にします。その主な理由として、二酸化炭素が逃げてしまうから、という理由が多く挙げられています。
たしかに二酸化炭素を添加している水槽であれば、エアレーション効果が高い上部フィルターを使えば、曝気されてせっかく添加した二酸化炭素が逃げてしまいます。
しかし二酸化炭素の添加量を増やせば、問題なく水草育成もできますので、大きなデメリットでもないと考えます。また育成するために二酸化炭素の添加が必要のない水草を選んで育成すれば、二酸化炭素が逃げてしまうのはそれほど問題にはならないでしょう。
水草水槽に不向きな大きな理由とは、水槽上部が覆われてしまうことなのです。上部が埋まることで、照明の設置がしにくくなり、どうしても水草の光合成がしにくい環境になってしまいがちです。実はこちらの方が大きなデメリットだと思います。
対策法としては、無理やり照明を取り付け、照明が当たる部分に上手く水草を植えるようにすれば、このデメリットも概ね解決することができます。
しかし総じて、本格的な水草水槽を立ち上げる場合はやはり効率が悪く、不向きと言わざるを得ないかもしれませんね。
まとめ
上部フィルターはろ過能力がとても強力な特徴があります。好気性バクテリアの繁殖も外部式フィルターよりも遥かに優秀なので、水槽の立ち上がりも早いメリットがあります。
またエアレーション効果が高いので、上部フィルターを使っているだけで水槽の酸欠を防止することができますのでおすすめです。
ただ、やはり水草水槽に使用するには照明が取り付けにくく、二酸化炭素が逃げてしまいやすい環境であることは間違いないため、不向きと言わざるを得ないでしょう。
水草水槽をやらない、生体のみを飼育しているという場合には、強力なろ過能力を有する上部フィルターはとても優秀だと言えるでしょう。