ゲンゴロウって聞いたことありませんか?

丸っこくて、水中をちょこちょこと泳ぎ回る可愛らしい水棲昆虫です。

田んぼ、池、川など至る所で見ることが出きた普遍的な虫ですが、近年ではめっきり姿を見かけることがなくなってしまいました。

そんなゲンゴロウですが、どのような虫なのでしょうか。

今回はゲンゴロウの特徴や生態について、詳しく調べてまとめてみました、

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ゲンゴロウとは?

生物学上の分類ではコウチュウ目オサムシ上科に分類されている、ゲンゴロウ科に属する昆虫の総称です。

一般的に私たちがゲンゴロウと呼んでいる昆虫は、「ナミゲンゴロウ」、「オオゲンゴロウ」などと呼ばれている種類のゲンゴロウです。

 

ゲンゴロウの種類

有名なナミゲンゴロウの他にもたくさんのゲンゴロウの仲間が生息しています。

その数はとても多く、日本国内には約130種、世界中に目を向けると、なんと4000種類ものゲンゴロウの仲間が生息しているんです。

ゲンゴロウの分類はさらに細かく分類されているのですが、専門家でないと分類が難しいレベルのようです。

それだけ種類が多いゲンゴロウですが、今回はその中でも有名なナミゲンゴロウ(以下ゲンゴロウ)について記述していこうと思います。

 

体の特徴

大きさは34㎜~42㎜ほどの大きさで、ゲンゴロウの中でもナミゲンゴロウは最大級の大きさがあります。

なお、オスよりもメスの方がやや大きい特徴があるようですね。

体は平べったく丸い形をしており、緑色で奇麗な色をしています。

後ろ足は泳ぐために特化しており、ブラシのような水かきがついていて、ちょこちょこと動かして泳ぐ姿は可愛いものがあります。

またオスの前足には吸盤のようなものがあり、丸っこい形状になっているのが特徴的です。

またメスの背中にはわずかなシワが見られます。

これらはオスとメスが交尾をする際に、オスがメスの背中に前足の吸盤を使ってくっついて行うのですが、吸盤がくっつきフィットしやすいようにメスの背中にはシワがあるのだそうです。

 

寿命と発生時期

主に見ることができる時期は春先から秋までの半年間で、4月~10月の間が最も多く発生します。

寿命は比較的長く、2年~3年生きることができます。

つまり一年中ゲンゴロウを探すことは可能なのですが、幼虫に関しては夏の間にしか見ることができません。

飼育するために探すのなら成虫を探すことをおススメします。

また幼虫の飼育は難しく、成虫よりも困難です。

 

ゲンゴロウの分布

日本国内では北海道、本州、四国、九州とほぼ全国に生息しています。

生息地は田んぼや池、川などの水流の緩やかな場所を好みます。

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絶滅危惧種

以前は全国各地、どこでも見ることが出来たゲンゴロウですが、近年ではほとんど見かけることがなくなってしまいました。

すでに多くの都道府県では絶滅してしまっている状況です。

そこまでに数を減らしてしまった理由とは一体何なのでしょうか。

ゲンゴロウと同じように数が激減してしまっている昆虫に、「タガメ」がいます。

タガメに関しては、以下の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

ゲンゴロウをとタガメは農薬や水質汚染などによって生息地が失われたり、外国から入ってきたアメリカザリガニやブラックバスなどによっても数を大きく減らしてしまいました。

両者とも生息地の減少によって数を減らしている点では共通していますが、ゲンゴロウはタガメ以上に深刻な生息数減少に陥っているようです。

というのは、ゲンゴロウはタガメとは違い、「完全変態」をする昆虫です。

つまり、幼虫と成虫の姿形が全く異なり、幼虫から蛹を経てから成虫になる成長過程を持っています。

ゲンゴロウが成虫に羽化するために、水の中から一旦出てから土の中に潜り、そこで蛹になってやがて成虫になります。

ゲンゴロウが陸に上がって蛹になる場所として最適だったのが「田んぼの畔(あぜ)」です。

泥土でできた田んぼの畔はもってこいだったのでしょう。

現在では田んぼ自体の数も減少しており、さらには畔もコンクリートで固められてしまい、ゲンゴロウが蛹になるために陸に上がれないようになってしまっています。

その点タガメは幼虫から数回の脱皮を経て、同じ環境で成虫になりますので、ゲンゴロウほどの深刻さではないと言えるでしょう。

その為、地域によっては採集が禁止されている所もあるようですが、ゲンゴロウを飼育すること自体が禁止されているわけではないので、飼育することは可能です。

 

食性

ゲンゴロウは肉食性です。成虫も幼虫も肉食なのですが、成虫は死んだ魚なども食べますが、幼虫は完全に生きた餌を捕食するという違いがあります。

 

空を飛べる

ゲンゴロウは泳ぎの達人であるだけではなく、空を飛べる能力もあります。

一ヶ所に留まるのではなく、餌を求めて飛び回ることもできるのです。

 

長時間の潜水ができる

ゲンゴロウは体内に空気を溜め込むことができます。

このおかげで長時間の潜水をすることができる能力を持っています。

 

幼虫には毒がある

幼虫の特徴はヤゴのような少々グロい見た目をしています。

終齢幼虫の大きさは70㎜以上にもなり、成虫の倍以上の大きさになることもあります。

クワガタムシのような大アゴを持っているのも特徴的で、この大アゴで獲物に噛みつくのです。

しかしそれだけでは獲物を仕留めることができないこともありますので、補助的な意味で毒をもっています。

この毒は噛みついた際に相手を麻痺させ、体内から溶かしてしまう毒なのですが、人間を死に至らしめるようなものではありません。

しかし噛まれると、重症な場合には噛まれた箇所が壊死してしまう事もあるようですので、幼虫の扱いには注意しなければいけません。

なお、成虫にはこうした毒はありませんので、素手で触っても大丈夫です。

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白い液体を出す

ゲンゴロウの成虫は天敵に襲われた際には、ただやられるわけではありません。

背中や肛門、口から白い液体を発射することができ、この液体はとても臭い特徴があります。

この臭さに天敵が怯んだ隙をついて逃げるのです。

ゲンゴロウを飼育する際には、この攻撃にはちょっと注意したいところですね(笑)

 

ゲンゴロウの飼育方法

ゲンゴロウの成虫、および幼虫の飼育方法に関しては、以下の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

まとめ

ゲンゴロウの種類は非常に多く、一般的にゲンゴロウと呼ばれているのは「ナミゲンゴロウ」と呼ばれている種類のものです。

ゲンゴロウは以前は頻繁に見ることができた昆虫でしたが、現在では環境汚染や生息地減少などによって数を急激に減らしてしまっています。

その為、野外でゲンゴロウを採集することは事実上難しく、困難を極めています。

既に絶滅危惧種に指定されており、多くの都道府県では既に絶滅してしまっています。

泳ぎに特化した足と、空を飛べる翅を持っており、運動量も多い昆虫です。

また幼虫はヤゴのような少々グロい姿をしており、肉食なのは成虫同様ですが、完全に生きた餌しか食べません。

しかも毒を持っており、人間も噛まれると激痛を伴い、酷いと噛まれた箇所が壊死することもありますので取り扱いには注意しましょう。

今となってはレアな昆虫になってしまったゲンゴロウ。

一度飼育、観察してみたくなる昆虫ですね。