エゾシカは日本に生息しているシカの中でも、その代表格ともなるシカだといえます。
シカってどことなく可愛らしさがありますし、それに加えて立派な角もあって、可愛さ、カッコよさを併せ持った動物だと思います。
このエゾシカ、一時期は絶滅危惧種になった事もある経緯があったんです。
しかし今では逆に増えてきていて困っている、なんて声も。
一体どういう事なんでしょうか。
今回はそんなエゾシカの生態などに付いて詳しくご紹介していきたいと思います。
ニホンジカの最大種、エゾシカの生態
エゾシカはニホンジカの亜種の一つです。
また特徴としてその大きさが挙げられ、大きいものでは体長は2メートル、体重も150キロにもなります。
これは、ニホンジカの中では最大の大きさなんです。
大きいのはやはり、寒い地方であるエゾ(蝦夷)に生息しているからなのでしょうね。
ちなみに、大きいのは体だけではなく、シカの代名詞ともいえる角も80㎝にも成長し、ニホンジカの中でも特に大きいものになります。
角は繁殖期にかけて長く成長していき、毎年春には落ちてしまいます。
ですのでサイクルとしては、4月~5月に角が落ち、半年後の10月、11月の繁殖期までに再び成長していきます。
角があるのはもちろんオスだけで、繁殖期には立派な角を使い、メスを巡って争いをします。
勝ったエゾシカは数頭のメスを引き連れたハーレムを形成します。
見た目が変わる
エゾシカの特徴として、夏と冬とで外見がガラッと変わるというものがあります。
ホッキョクギツネやオコジョなどもこういった特徴がありますよね。
それと同じですね。
エゾシカの場合は、夏にはよく見る明るい茶色い体に白い斑点模様が入った姿になりますが、冬になると全身が焦げ茶色に変わります。
一見してトナカイのような容姿ですね。
エゾシカの絶滅の危機
1879年(明治12年)2月に北海道で豪雪、3月には追い打ちをかけるように暴風雨に見舞われ、大量のエゾシカが死んでしまったという過去があります。
記録によると、死んでしまったエゾシカの数はおよそ20万頭~30万頭にも登ると言われています。
エゾシカは2、3日なら何も食べなくても問題なく生きていけるという事から、死因は餓死ではなく、体温を奪われ続けたことによる凍死だと言われています。
この一件も大きく影響し、一時期は絶滅を危惧されたことがありました。
エゾシカが増え続けている
一時期は絶滅危惧種となったエゾシカですが、その後は個体数を増やし続けています。
しかし今では逆に数が増えすぎて、生態系への影響が懸念されています。
また、農作物を荒らしてしまうため、私たち人間への間接的な被害もあって北海道ではエゾシカの個体数増加の問題は深刻化しています。
エゾシカが急速に数を増やした理由はいくつかあります。
一つは天敵となるオオカミ(エゾオオカミ)の絶滅です。
これによってエゾシカの天敵は急速にいなくなったと言えます。
また地球温暖化によっても繁殖しやすくなったとも考えられています。
さらには個体数を減らしたために乱獲されなくなったことも大きな要因の一つだとされています。
またエゾシカのメスの妊娠率も要因となっているようで、なんとメスの妊娠率は90%と非常に高い水準なのです。
エゾシカの狩猟と個体数維持
エゾシカ増加の対策の一つとして、狩猟があげられています。
シカ肉が出回っているように、普段から狩猟も行われていますが、これに加えて個体数減のために駆除として狩猟捕獲も行われています。
ちなみに北海道におけるエゾシカの狩猟期間は、10月1日から翌年1月31日までと定められていますが、地域によっては多少バラつきがあるようですね。
エゾシカの個体数維持のためには狩猟を行うハンターの存在が欠かせません。
しかし近年では銃を扱う人の減少や高齢化などもあって、ハンターの数も少なくなってしまっているそうです。
こうしたハンターに依存したエゾシカの個体数維持は難しくなってきているため、他の方法で捕獲する事も注目を集めています。
そのその中でも、注目すべきだと思ったのは、天敵となるオオカミを再び放ってエゾシカの個体数維持に繋げようという案があった事です。
オオカミのコストや、そもそもの生態系への悪影響も懸念され、導入には至っていないようですね。
この話を聞くと、沖縄でのハブを駆除するために導入したマングースによる生態系破壊の例が頭をよぎります。
ハブとマングースに関しては、以下の記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
安易な考えでオオカミを導入するのは、危険かもしれませんよね。
まとめ
エゾシカはニホンジカの亜種の一つであり、最大級の大きさを誇るシカです。
北海道を中心に生息しており、夏と冬で外見がガラッとかわるという特徴があります。
一時期は豪雪、豪雨で絶滅の危機に晒されたこともある同種ですが、現在では様々な要因により個体数が増加しており、生態系への悪影響や人間に対する直接的、または農作物への食害による間接的な被害なども多数報告されています。
こうしてみて見ると、個体数の維持は大変難しい問題で、非常に大事な事だと思いますよね。