カカポ

カカポという鳥をご存知でしょうか。カカポとはニュージーランドに生息している固有の鳥です。羽が退化しており、鳥でありながら飛ぶことはできません。

そんなカカポですが、どういった生態をしているのでしょうか。またとても変わった繁殖行動をすることでも知られています。

今回は飛べない鳥、カカポについて詳しくご紹介していきます。

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カカポはオウムの仲間

カカポ

カカポはフクロウオウムという名前でも知られています。カカポのカカとはマオリ語でオウム、ポは夜を意味し、「夜のオウム」という意味になります。つまりオウムの仲間ということになります。また世界で唯一の飛べないオウムでもあるんです。顔もよく見ればどことなくフクロウに似たような顔つきをしています。

現在、カカポは絶滅危惧種として指定されており、すべての個体はニュージーランドで保護されています。わずか200羽くらいしかいないんだそうですよ。

大きさは60㎝にまで成長する大型のオウムで、体重はなんと4㎏もあるんです。飛べないのも頷けますよね。またすごいのは寿命が60年~90年くらいあるということ。ものすごい長寿なオウムなんです。

寿命が長いこともあって繁殖周期も3年~4年なので、繁殖するのも遅く時間がかかるのも特徴的です。

夜行性なので夜中に活発になり、餌を探して自分の縄張りを歩き回ります。飛ぶことはできませんが、木に登ることが得意という特徴も持っているんです。

カカポの生息数が激減した理由

カカポはその昔、木をゆすればリンゴのように落ちてくると言われていたくらいたくさん生息していた鳥でした。かつては100万羽くらいいると言われていたのです。ニュージーランドはもともとネコなどの哺乳類が全くいないという独自の生態系ができており、鳥類の楽園と称されていたんです。

そんな中で鳥たちは天敵という天敵がおらず、空を飛ぶ必要もないため、羽が退化していき、ダチョウやエミュー、ニュージーランドの国鳥で知られるキーウィなどの飛べない鳥が独自の進化をしてきました。

しかしある時、人間たちが侵入してきてからはそんな状況は一変してしまいます。ネコ、ネズミなどの哺乳類を持ち込んでしまったがために飛べないカカポは哺乳類の格好の餌となってしまいました。この話は日本における沖縄のハブとマングースにも通ずるところがありますね。

ちなみにハブとマングースについては以下の記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
ハブとマングースは戦わない!?意外な事実や裏話とは?

また牧場開発や森林伐採による生息場所の激減もあって、急激に個体数を減らしていきました。

1890年にカカポの保護活動が始まりましたが、ネズミやネコの影響が大きく、上手くいきませんでした。その後第一次世界大戦と大恐慌によってカカポの保護活動への関心が低くなり、さらに個体数を激減させることになってしまい、わずか50羽にまで生息数を減らしてしまいました。

1980年になって始まった本格的なフクロウオウム保護計画によって少しずつ個体数を戻してきており、現在200羽を超えるまでに数を増やすことに成功しています。

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カカポの繁殖行動

カカポは世界的にも珍しいレックと呼ばれる繁殖方法をとります。レックとはオスが一ヵ所に集まって大声でメスを呼び、競い合ってメスにアピールします。ここでメスがオスを選んでつがいが成立することになります。

この時にオスがメスを呼ぶために大声で鳴くのですが、この鳴き声が一晩中続き、5キロ先にまで聞こえると言われています。この鳴き声が原因となって天敵に見つかり、捕食されてしまうという事故がたくさん起きてしまいました。またオスは繁殖期になると体重が半分になるというくらいですから、命がけの繁殖行動というわけですね。

カカポが繁殖できるようになるまでにはおよそ9年~11年かかってしまいます。またカカポの好物であるリムの実が豊富に実るのは数年に一度という頻度でしかありません。カカポの繁殖もリムの実がたくさん実った年に行われるため、カカポの繁殖周期が3年~4年という長い周期でしかないのです。また繁殖時期にも天敵に見つかりやすいということから個体数をなかなか増やせないというわけです。繁殖率はかなり低いのです。

まとめ

カカポはニュージーランドにのみ生息する世界一大きなオウムの一種で、羽が退化しており全く飛ぶことができません。寿命が長い特徴があり、60年~90年も生きます。また成熟するまで10年を要し、繁殖にも非常に時間がかかる鳥です。

人間が持ち込んだ哺乳類によって捕食され、急激に生息数を減らしてしまい、現在では保護活動によって数が増えてきたとはいえ、わずか200羽程度しかいない希少な鳥です。

レックという珍しい繁殖行動を取ることでも知られています。一ヵ所に集ったオスたちが大きい鳴き声でメスを呼び、オスがメスにアピールしてつがいを作ります。世界中を探してもレックという繁殖行動をとるのはこのカカポのみです。

2016年にはリムの実が大豊作の年になり、カカポもたくさん繁殖することができました。とはいえ、産まれた雛の数はわずか47羽。いかにカカポが繁殖しずらく、数が増えにくい鳥ということが分かるかと思います。