スズメ

スズメは最も身近な野鳥のひとつで、街中でもよく見かける可愛らしい小鳥です。

「雀の恩返し」という話などでも昔から親しまれてきた鳥でもあります。

そんなスズメですが、日本に生息しているスズメはいったい何種類いるのかご存知ですか?

またスズメは益鳥とか害鳥だとか色々と言われていますが、果たしてどっちなのでしょうか。

またスズメってどういった生態をしているのでしょうか。

今回はスズメについて詳しく掘り下げてご紹介していきます。

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スズメの分類について

スズメはスズメ目スズメ科に属している鳥の一種で、このスズメ目というグループはすごく大きな括りになっているのが特徴的です。世界に生息している鳥類は1万種類以上の鳥が生息していると言われていますが、その半数以上の鳥がスズメ目に属していると言われていますから、かなり大きなグループであると言えます。小さな小鳥は大抵スズメ目なんですよ。

世界で分布域が広いスズメは?

スズメ科に属しているスズメの仲間は48種類いますが、その中でも世界的に分布域が広いのは「スズメ」「イエスズメ」の2種類が知られています。この2種類はアジアからヨーロッパまで、かなり広い範囲に渡って生息しています。

日本で見られるスズメの種類

一般的に日本で見ることができるスズメは「スズメ」「ニュウナイスズメ」の2種類がいます。ヨーロッパで一般的に見られている「イエスズメ」は日本にはいませんが、稀に迷い込んでくることもあるようで時々目撃される事もあるようですね。

パッと見ても2種類のスズメがいるとは分かりづらくないですか?一見すると全く同じスズメに見えますからね。それもそのはず。日本に生息しているスズメの大多数はスズメだからです。ニュウナイスズメもスズメとよく似た色合いをしており、混じると見分けがつきにくいからです。

しかしニュウナイスズメは基本的に北海道の平地の林や本州中部以北の山地にしか生息しておらず、あまり見ることはないです。でも越冬のために関東地方よりも南にやってくるし、稀にスズメの群れに混じることもあるのだそうです。

でもこの2種類のスズメの分けるポイントは結構簡単。頬っぺたを見ればすぐにわかるんです。スズメの白い頬っぺたには黒い模様が付いていますが、ニュウナイスズメの頬っぺたには黒い模様が無く、白一色です。

スズメ
スズメ

 

またニュウナイスズメのオスとメスでは見た目が少し違っており、オスはより鮮やかな栗色をしていますが、メスは少し地味な薄い茶色といった感じです。ちなみにスズメのオスとメスの見分けは本当に難しく、全くといって良いほど分かりません。

ニュウナイスズメ
ニュウナイスズメのオス

 

ニュウナイスズメ
ニュウナイスズメのメス

 

スズメの繁殖期は春から夏

スズメを最もよく見かける時期は春から夏にかけてが多いです。多くの鳥がこの時期に繁殖期を迎えるのと同様に、スズメも春から夏にかけて卵を産み、子育てをします。普段はたくさんの群れを形成しているスズメですが、子育ての時期には夫婦で子育てをするため、つがいで行動する傾向にあります。時期によって行動パターンが変わるということですね。

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スズメの巣はどこにある?

スズメは巣を作って子育てをしますが、スズメの巣ってどこにあるのかいまいち分かりませんよね。スズメは街中に巣を作る傾向にありますが、人目が付かない場所、それも結構高い場所にひっそりと作るので見つけにくいです。また体が小さくかなり狭い場所に潜り込めるので、え!?こんなところに!?みたいな場所にも巣を作ってたりするんですよ。電柱であったり、鉄骨の狭い隙間にも巣を作るのだとか。なんと道路標識の横パイプの中に巣があったという報告例もあるくらいですから、かなり狭い場所にも巣が作れるということが分かるかと思います。

スズメの巣立ち

スズメの雛が独り立ちをするまでの日数はかなり早くてわずか一ヶ月くらいです。卵を産んでオスとメスが抱卵し、孵化するまでおよそ2週間産まれた雛はその後わずか2週間くらいで巣立っていくのです。

こんなに早く大きくなるために、いったい何を食べているのでしょうか。育ち盛りの雛の主な餌となるのは小さな昆虫が多いです。タンパク質が豊富で育ちも良いのでしょう。

巣立った若鳥は若鳥同士で新しい群れを作ります。夏に群れているスズメは、巣だって間もない若鳥である可能性がありますね。若いスズメは少し色が薄い傾向にありますので、一度観察してみると面白いかもしれませんよ。

スズメの巣は使い捨てではない!?

スズメは春から夏にかけて年2回繁殖しますので、雛が巣立った後またすぐに繁殖行動に移ります。多くの巣を作る鳥は一度作った巣を何度も使うことはしません。あくまでその時の子育て用でしかなく、雛が巣立てば用済みになります。使い捨てという感覚ですかね。

しかしスズメはちょっと例外でして、一度使った巣を何度も使うこともあるようです。また子育て用として使うだけでなく、ねぐら用に利用してベッドにしていることもあるのだとか。

スズメは何個卵を産む?

スズメが卵を産む数は4個~8個くらいですが、多くのスズメは5個~6個くらいの卵を産みます。最大で9個産んだという記録が残っています。一度に産まずに、一日に1個のペースで少しずつ産むのが特徴的です。

また産んだ卵はすぐには抱卵しない傾向にあり、だいたい4個目の卵を産んだ日からようやく抱卵を開始します。これは最初に産んだ卵と最後に産んだ卵が孵化する日数の差をなくすためだとも言われています。

最初に産まれた雛だけがすくすく育ってしまい、最後に産まれた雛がまったく餌を得られずに育たない、というリスクをなくすためと言われています。よく考えられてますよね。

また最後に産んだ卵だけ色が違うことがあるようで、これは「止め卵」と呼ばれています。しかしなぜ最後に産んだ卵だけ色が違うのか、その詳しい理由についてはまだ分かっていません。

スズメの寿命

スズメは飼育環境下にある個体では最長15年も生きたという記録が残っています。しかし野生ではかなり短くなり、2年未満ということも多いです。野生のスズメの寿命を計測すること自体難しいことですが、観察下にあった野生のスズメの寿命で最も長い記録は6年だそうです。

巣立ったばかりの若鳥は最初の冬を越せる確率がおよそ50%。約半数の若鳥たちは冬を越せずに死んでしまうのだとか。これが要因となって野生のスズメの平均寿命を押し下げているんです。日本の厳しい冬を越すのはかなり大変な事なんですね。

スズメは飼育できる?

スズメは鳥獣保護法によって飼育ができない野鳥になっています。保護目的であれば都道府県に許可を取れば可能な事もありますが、ペットとして飼うのは不可能だと言えますね。

スズメは益鳥?害鳥?

スズメは時として益鳥、また時として害鳥と言われることがあります。果たしてどっちなんでしょうか。
答えは「益鳥でもあり害鳥でもある」ですね。

米農家にとっては稲に付く害虫を食べてくれる益鳥として扱われていることもありますが、夏から秋にはその稲の食害も起こすこともあり、時として害鳥として扱われます。

ニュウナイスズメに関しては、繁殖期には森林に生息していますが、秋になると農村地帯に現れ稲を食害します。ニュウナイスズメはスズメと違い、益鳥となる働きを全くしないため、害鳥として扱われてきました

スズメもニュウナイスズメと一緒に単に「スズメ」として必要以上に害鳥として扱われてしまっているのはこのためです。

まとめ

日本で見られるスズメは2種類で、スズメとニュウナイスズメが生息しています。ヨーロッパで一般的なイエスズメは生息していませんが、まれに迷い込んできた個体を目撃sることもあるようです。

スズメは米農家からは益鳥としても害鳥としても扱われています。ニュウナイスズメの方は益鳥としての働きを全くしない為、害鳥扱いになっています。

スズメに関しては、以下の記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
スズメって絶滅危惧種?数が減少している理由とは?