ヤマトヌマエビ

ヤマトヌマエビはアクアリウムをやっている人にとっては、非常に重宝する水槽の掃除屋さんです。

1匹いるだけで結構な数の苔を食べてくれて水槽をきれいに保つことができます。

しかし、ヤマトヌマエビの繁殖はとても難しいと言われており、長年アクアリウムをやっておる人であっても、ヤマトヌマエビの繁殖に成功するのは難しいことなんです。

ではヤマトヌマエビの繁殖が難しいと言われているのはどういったことが要因なのでしょうか。
今回はそんなヤマトヌマエビの繁殖が難しい理由について詳しくご紹介していきます。

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ヤマトヌマエビの繁殖が難しい理由

ヤマトヌマエビの繁殖が難しい理由は概ね以下の通りです。

  • 淡水での繁殖が不可能
  • 稚エビではなくプランクトンのような形態で産まれてくる
  • 餌やりが困難
  • 水質や溶存酸素量に注意が必要

ざっと挙げるとこんな感じです。それでは順番に見ていきましょう。

淡水での繁殖が不可能

ヤマトヌマエビと対をなすくらいに人気のヌマエビにミナミヌマエビというエビがいます。ミナミヌマエビはヤマトヌマエビよりも小型のエビですが、同じように苔取り効果が期待できるとの理由からアクアリウムで利用されています。

ミナミヌマエビは淡水でも繁殖が可能な淡水エビですので、そのまま淡水で飼育していれば勝手に抱卵し、繁殖していきます。
もちろん抱卵し、繁殖するための条件が揃っている必要がありますが、特に難しいことはなく簡単に増やすことが可能です。

ミナミヌマエビに関しては以下の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
ヤマトヌマエビとミナミヌマエビの違いは?おすすめはどっち?

しかしヤマトヌマエビはミナミヌマエビと同じように淡水のみで勝手に繁殖することはありません。ヤマトヌマエビは飼育していると勝手に抱卵することがよくありますが、簡単なのは抱卵までなんです。難しいのは卵が孵化してからの稚エビの世話なんですね。

ヤマトヌマエビの稚エビの成長には「汽水」が必要になります。汽水とは海水と淡水が混じった環境のことでして、絶妙なバランスの海水を用意しなければ稚エビは育たないのです。仮に産まれたばかりの稚エビをそのまま淡水で飼育しても、わずか2日ほどで全滅してしまいます。

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稚エビではなくプランクトンのような形態で産まれてくる

稚エビと言っていますが、正確に言えばプランクトンのような小さな「ゾエア」と呼ばれる形態で産まれてきます。ここがミナミヌマエビと違うポイントなんです。
ゾエアは稚エビにもならない小さなものなので、ふわふわと水中を漂う性質があります。これも育成が難しい要因の一つとなっているんです。
ちなみにゾエアの大きさは1㎜あるかどうかくらいの大きさで、ミジンコよりも小さいので、うまく成長させるのは本当に難しいんです。

餌やりが困難

ゾエアはふわふわと水中を漂うので、水中に舞っているごくごく小さな餌しか食べることができません。ゾエアが食べることができる餌とは、インフゾリアと呼ばれている小さな微生物ですね。ゾウリムシやミドリムシが有名どころですね。
こうしたプランクトンを湧かせて定期的に与えなければゾエアを育てることは難しいです。

水質や溶存酸素量に注意が必要

エビは親エビでも酸欠に弱い性質がありますので、エアレーションは必ず必要になります。ゾエアは小さいですので、エアレーションも程よい強さで行う必要があります。

またエビの飼育で注意すべきポイントは水質の悪化です。エビはアンモニアにとても弱く、常に飼育水をきれいな状態に保っておかなければすぐに死んでしまいます。
上記のことから飼育環境を上手く整えることがゾエア育成のカギになるわけです。

ゾエアが死にやすいのは生後2週間までの間

ゾエア育成で失敗するほとんどが、生後2週間までの間です。この間は慎重にお世話しなければゾエアを成長させることはできません。そしてゾエアが死んでしまう最も多い要因が「餓死」です。
餌で死なせてしまわないように、ちょっとした工夫をする必要があります。またこれは卵が孵化するまでの間に事前に準備しておくべきでして、ゾエアが産まれてからだと対応が遅い場合があります。

ヤマトヌマエビの繁殖は不可能ではない

以上の理由からヤマトヌマエビの繁殖はそう簡単にはできないと言われているのですが、決して不可能というわけではありません。

ゾエア育成のための環境さえ整えてあげれば、充分ヤマトヌマエビの繁殖は可能です。
実際にたくさんの方がヤマトヌマエビの繁殖に成功されています。

上手く繁殖させる方法はたくさんあり、過去の成功事例に習ってどれが最も上手くいくのか検証してみるのもヤマトヌマエビの飼育の醍醐味となるかもしれませんね。