ナミチスイコウモリ

吸血鬼のモデルといったらやっぱり吸血コウモリではないでしょうか。
吸血コウモリの中でもナミチスイコウモリという種類のコウモリは、吸血コウモリということ以外にも、すごい社会性を持ったコウモリとしても有名です。

今回はナミチスイコウモリの社会性について詳しくご紹介していきたいと思います。

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ナミチスイコウモリとは?

ナミチスイコウモリは主に南米に生息しているク受け継コウモリの一種です。体長はcmにも満たないくらいで、体重はわずか15g~50gにしかなりません。コウモリは飛ぶために総じてとても身軽な体を持っていますが、ナミチスイコウモリも同じくとても軽く小柄な特徴があります。

夜行性なので夜に活動しますが、昼間の明るい間は洞窟なのでじっとして寝ています。集団で生活する修正があり、およそ100匹~1,000匹のメス中心の群れを作ります。

ちなみにコウモリについては、以下の記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
コウモリを飼うことはできる?飼育方法まとめ!
コウモリの生態とは?血を吸わないって本当?
世界一大きいオオコウモリとは?意外な生態も!

 

吸血コウモリは意外と珍しい

コウモリときくと、やはり血を吸われるというイメージが付きまといますが、これはちょっと間違った解釈だと言えます。確かに血を吸うコウモリは存在しますが、一般的に見られるコウモリは血を吸うことはありません。

世界にはおよそ960種ものコウモリが生息しています。このうち日本に生息しているコウモリは35種ほどになりますが、血を吸うコウモリは全くいないのです。日本でコウモリを見かけても血を吸われる心配は皆無ですので安心して下さいね。

では血を吸ういわゆる吸血コウモリはどれくらいいるのかというと、たった3種類です。960種生息しているなかでたったの3種類しかいないんですよ。ナミチスイコウモリはそのうちの一種ということですね。

またナミチスイコウモリがお腹一杯血を吸ったら重くて飛べなくなることが多々あります。食事後のナミチスイコウモリは歩いて移動するのがよく見られます。通常コウモリの後ろ足は退化していますが、ナミチスイコウモリの後ろ足は歩けるようにしっかりとした作りになっているんですよ。

ナミチスイコウモリの食事

ナミチスイコウモリの食事は専ら動物の血液です。他の吸血コウモリは鳥類の血液を吸いますが、哺乳類の血液を吸うコウモリはナミチスイコウモリしかいません。ナミチスイコウモリは牛や馬、豚などの哺乳類の血を餌にしているんです。

ナミチスイコウモリの歯はとても鋭く、切れ味がすごい特徴があります。この歯のおかげで獲物の皮膚をいとも簡単に切り裂くことができるのです。ナミチスイコウモリの花にはセンサーがついていて、暖かい血が流れている血管を探り当てることができます。噛みつかれた動物は痛みを感じるのかというと、あまり感じないのだそうです。

これはとても細い注射針を刺した時にあまり痛みを感じないのと同じ原理ですね。ですので気が付いたら血が流れていた、なんてこともあるくらいです。なんだか蚊に刺された時のようですね。

ナミチスイコウモリの唾液には血液を赤溜まらせないようにする成分が含まれており、このおかげで血液をたくさん飲み続けることができます。一回の食事で飲む血液の量は体重の半分ほどの量ともいわれています。吸われる動物にとっては数十グラム程度の地の量ですが、ナミチスイコウモリにとっては大変な量になります。食事時間は一回当たり30分程度だといわれています。

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ナミチスイコウモリは人間の血も吸う

またナミチスイコウモリは牛、馬、豚以外にも人間にも襲い掛かることがあるんです。特に最近では環境開発によって生き物が減少傾向にあり、餌に困ったナミチスイコウモリが人間をターゲットにする機会も増えているのだとか。

人間が血を吸われることでダメージはあるのかについてですが、吸われる血の量からすると全く大したことはありません。少しの間血が止まらず流れるくらいですね。

しかし噛まれた傷口から思わぬ病気にかかるリスクが高いのです。主なものには狂犬病がありますね。一度発症するとほぼ間違いなく死亡すると恐れられた病気ですが、ナミチスイコウモリはこの狂犬病を媒介するとして害獣として扱われているんです。

また家畜に大勢で群がって襲いかることもあるようで、家畜を衰弱させることもあり、そういった意味でもやはり害獣として扱われるようです。

ナミチスイコウモリの社会性がすごい

ナミチスイコウモリは高い社会性を持っています。群れは100匹~1,000匹くらいですが、群れを構成するのはメスとそれぞれの子供たちなのです。メスが子育てをするために大きな群れを形成しているのだそうですよ。

ナミチスイコウモリの高い社会性は、群れの中で見ることができます。ナミチスイコウモリは3日間食事を摂らないと餓死してしまうくらい弱い生き物でもあるんです。かなには餌にありつけずに餓死寸前の仲間がいたら、自分の飲んだ血を吐き戻して仲間に分け与えるという行動をとります。こういった行動を利他行為と呼びます。

この値を分け与える利他行為にナミチスイコウモリ特有の社会性が見られるんです。ナミチスイコウモリが血を分け与えることに関して、とある実験が行われました。腹ペコの個体を群れに放ち、どのように血が分け与えられるのかというのを観察するというものでした。

この実験から分かったことは以下の通り。

・以前、異聞に値を分けてくれた個体に対して優先的に血を分け与える
・誰にも血を分け与えない自己中心的な性格の個体は、誰からも血を分けてもらえない
・以前血を分けてくれた相手で、今回助けてあげられなかったとしても関係が悪化することはなない
・今回助けてあげられなかった場合、次回はより多くの血を分け与えて関係を修復、維持しようとする

これってすごくないですか?私たちの人間関係もとても複雑なものですが、コウモリの中にもこうした仲間意識、助け合いの精神があるということなんです。しかも大勢の群れの中で、どのコウモリが自分を助けてくれたことがあるコウモリなのかが分かっていて、識別もちゃんとしているという事なんですよね。

これは言い換えると、ある種の「自己防衛本能」のようなものではないかとも思えます。普段から値を分けてあげている個体ほど、自分が餌に困った時に助けてもらいやすくなる。つまりより多くの仲間に恩を売っておくことが自分の生命を守る手立てになるということです。

まとめ

ナミチスイコウモリは世界でも珍しい血を吸う吸血コウモリです。吸血蝙蝠の中でも哺乳類の血を吸うのはナミチスイコウモリだけです。

ナミチスイコウモリは社会性が直腸的で、餌にありつけなかった個体に対して餌を分け与えるという行動を取ります。しかもこれはかつて自分を助けてくれた相手に対して多くみられる行動で、自分が餌にありつけない際に助けてもらえるように積極的に仲間を助けるということが実験結果から読み取れます。

私たちもナミチスイコウモリの社会背を見習って、助け合いの精神を忘れない行動を取りたいものですね。