ミドリガメ

ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)は飼育しやすく、ペットとしてとても人気があるカメです。

繁殖も比較的容易にできるため、国内繁殖された個体も数多く存在します。

しかしカメの卵を孵化させるためには、知っておくべき知識も多々あります。

そこで今回は、ペットとして良く飼われているミドリガメの繁殖、産卵について注意点なども踏まえてご紹介していきたいと思います。

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ミドリガメの繁殖は今後できない!?

ミドリガメの繁殖や産卵について記述するのに、いきなり「繁殖はできない」ってどういうことだ、と思うかもしれませんね。

実はミドリガメはもうすぐ繁殖させることが「禁止」されてしまうのです。

ミドリガメは2020年を目途に、特定外来生物に指定されることに決定しています

つまり国内で増えすぎた外来種のため、駆除対象になってしまうわけです。

もちろん特定外来生物に指定されてしまってからは、国内におけるミドリガメの繁殖自体も禁止されてしまいますので、今後は繁殖はできない種類のカメだという事になりますね。

ですのでこれからミドリガメの繁殖に挑戦してみようかと思っている方は、そういう事情があるという事をしっかりと把握した上で行うようにしてください。

なお、ミドリガメについての詳しい記述は以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

 

 

水棲のカメの繁殖や産卵はリクガメよりも面倒

ペットとして飼育されているカメの中で多いのはリクガメです。

しかしミドリガメをはじめとしたカメは水棲のカメで、こういった水棲のカメたちの産卵はリクガメたちに比べて環境整備がとても面倒で難しいという特徴があります。

まずミドリガメの場合ですと、オスとメスを1匹ずつ飼育していても交尾が成功する確率は低いと言われています。

1匹ずつ飼育するよりも、オス1匹に対して複数匹のメスを一緒に飼育している方が、交尾が成功して受精卵を生む確率が高くなります

また、繁殖期以外は一緒に飼育せずに、繁殖期のみオスメスを一緒に入れる方法が上手くいくようですね。

 

メスを落ち着かせることが重要

交尾が確認できたら、オスとメスを別々に分けることが大切になります。

メスが落ち着いて産卵できるように環境を整えてあげましょう。

オスがいると、メスにとってはストレスになるようです。

また産卵は陸地(砂場)で行います。産卵できるように粒子の細かい砂を深めに敷いてあげてください。

ここを怠ると、水の中で産卵してしまったりして上手くいかなくなります。

メスの産卵の合図としては、食欲がなくなり、急に暴れ出して落ち着かなくなるという行動がよく挙げられます。

こういう行動が確認できたら、産卵が近いんだと思って産卵準備をしてあげてください。

 

有精卵と無精卵

ニワトリにも有精卵と無精卵があるように、カメにも有精卵と無精卵が存在します。

メスだけで飼育していたのに卵を生んだ!というケースは結構あるようです。

当然そのような無精卵は孵化することがありませんので、取り除くようにしてください。腐ってしまいます。

また交尾したメスだからといって、生んだ卵がすべて有精卵であるとは言い切れません。

交尾したメスであっても有精卵に混じって無精卵も生むことがあるからです。

 

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卵は取り出して保管

卵をそのまま放置しておくと、親ガメが割ってしまうことが多く、孵化する確率は極めて低いです。

孵化させたい場合は卵を取り出して孵化器に入れて保管することをおススメします。

 

孵化器について

孵化器は爬虫類専用の孵化器が販売されていますので、それらを使用すれば一番簡単で確実です。

しかしとても高価であるのが難点ですね。ちょっと手が出ないという場合であれば、自作の孵化器を使うという方法も有効です。

市販の孵化器はこのようなものがあります。

 

孵化器(爬虫類用) ジュラゴン60

自作の場合は園芸用に売られているバーミキュライトという土を湿らせて、そこに卵を置く方法が効果的です。

卵の保管に関しては温度と湿度の管理が必須になります。

市販の孵化器でしたら問題ないですが、自作の場合は温度と湿度管理は自分で行う事になります。

湿度は乾燥しないようにときどき霧吹きで湿らせてあげる程度でOKです。大体70%~90%くらいを目安に湿らせてください

ただ、卵に直接霧吹きするのではなく、バーミキュライトに霧吹きをするようにしてください。

 

孵化器の温度管理について

ミドリガメの孵化に関して、温度管理についてとても面白い事があります。

それは、卵を育てている環境の温度によって孵化してくる個体の性別が変わってくるというものです。

どうやら28℃以下ならオス、30℃以上であればメスが生まれてくるように決まっているようですね。

つまり生み分けすることが簡単というわけです。

29℃で飼育すればどちらになる可能性もあり、特にどちらが良いという事がなければ、29℃飼育が望ましいのではないでしょうか。

 

カビに注意する

温度29℃、湿度70%と聞くと思い浮かぶのが「カビ」ですね。

この環境は実はカビがとても発生しやすい環境なのです。卵は常に清潔な状態に保ち、風通しを良くして空気をしっかりと循環させることが結構重要になってきます。

とても手間がかかるのですね。

 

卵には上下がある

意外と見落としがちな事に、卵の上下があるということを知らない方がいるということです。

卵は生み落とされてから24時間以内に上下が決定されるようで、上下が決まってからは逆さにはしない方が良いのです。

つまり、最初に採卵した際に、マジックなどで卵の上に印をつけておく方が後々便利ですね。

 

孵化まではどれくらい?

上手く卵を管理できていると、およそ2か月後に孵化します

 

 

ミドリガメの飼育方法

ミドリガメの飼育方法に関しては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

 

 

まとめ

ミドリガメの産卵に関してはポイントさえしっかりと抑えておけば意外と簡単に行う事ができます。

ポイントとなるのは温度管理と湿度管理です。また親ガメとはすぐに分けて孵化器に入れて孵化させる方が孵化する確率はずっと高くなります。

実はカメの自然界での孵化率は驚くほど低いのだそうです。

 

またミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)は本来外来種のカメです。

現在捨てられたり逃げたりして野生化してしまった個体が後を絶たず、2020年には特定外来生物に指定されることになっている悲しいカメでもあります。

今後飼育することも繁殖することも国内では不可能(禁止)になってしまいます。

 

またミドリガメは最初は5㎝ほどしかなく可愛いのですが、成長し大人になると30㎝に達する個体もいるほどです。

それだけの大きなカメを飼いきれるか、という事をしっかりと吟味してから繁殖、産卵させるようにしましょう。