夏休みになると、子供の間で一躍ヒーローになるカブトムシ。
子どもの頃に飼っていた!という人も多い事だろうと思います。
そんなカブトムシですが、卵は産んだものの、すべて成虫まで育てる事ができたという人はどれくらいいるでしょうか。
一見して簡単なカブトムシの幼虫の飼育ですが、育て方にはポイントがあり、しっかり抑えておけば成虫まで育てる事ができます。
今回はカブトムシの幼虫の飼育方法について、詳しく調べてまとめてみました。
目次
カブトムシの幼虫の飼育は単独飼育がおススメ
カブトムシの幼虫は、ケースに大量に一緒に飼育している人も多い事かと思います。
多頭飼育ももちろん可能なのですが、それでは色々と問題も生じてきます。
例えば餌であるマットをあまり食べられずに大きく成長できないであったり、幼虫同士警戒し合ってストレスになり、やはりあまり餌を食べずに大きくなりにくいなど。
さらには幼虫同士が傷つ合い、成虫まで生きられないという弊害も実際に起こってきます。
幼虫を大事に成虫まで育てるには、一つのケースには一匹ずつの単独飼育がおススメなのです。
カブトムシの幼虫の餌となるマット
カブトムシの幼虫は腐葉土を食べて成長しますが、飼育環境においてはカブトムシ用の発酵マットを利用するのが一般的です。
発酵マットとは、簡単に言うと、カブトムシの幼虫が成長するために必要な栄養をたっぷり含んだ土です。
発酵していないおが屑もマットと呼ぶこともありますが、全くの別物だと思ってよいでしょう。
発酵マットにも熟度というものがあり、熟度が高いマットや低いマットが存在します。
それぞれ適した使い道が異なるのが特徴で、発酵マットを選ぶ際にはこれらの特徴や使い道を知っておく必要があるでしょう。
熟度が低いマット
栄養価が高いですので、餌として食べる幼虫の飼育には最適なマットだと言えます。
熟度が高いマット
再発酵しにくく、メスが産卵するために使用するのに適しています。
幼虫の餌としてもしようできますが、栄養価はそれほど高くないので幼虫飼育には熟度が高いマットの方が向いていると言えます。
発酵マットの扱い方
発酵マットは買ってきたものを開封してそのまま使用することはできません。
発酵マットを使用する前に、ガス抜きと呼ばれる作業をしなければいけないのです。
発酵マットにはガスが溜まってますから、これを抜いてやります。
方法は簡単で、大きめのケースや新聞紙などの上に広げた発酵マットを、数日間放置しておくだけです。
最初の強烈なニオイがなくなれば、ガス抜き完了です。
ガス抜きしたマットには加水して、握っても水が出ないくらいの湿り具合に調節してください。
これら一連の作業を行わずにそのまま幼虫を飼育してしまうと、せっかく良い環境を準備しても、育てられずに死なせてしまう可能性がありますので注意しましょう。
幼虫の飼育ケースは?
先ほど述べた通り、無事に大きな成虫を羽化させるのであれば、幼虫の飼育は単独飼育が基本になります。
単独飼育する際の容器は、ブロー容器やクリアボトルなどを使用してください。
1000㏄くらいの大きさのものであれば、大きさは十分だと言えます。
カブトムシの場合、幼虫が蛹になる際に作る蛹室と呼ばれる部屋は「縦型」に作る習性がありますので、深さがある程度確保できないケースで飼育していると、羽化不全になって羽化に失敗してしまう可能性があるのです。
マットを詰める深さは最低でも10㎝以上は詰めるようにしてください。
カブトムシの幼虫の飼育温度
国産のカブトムシであれば、特に温度管理についてはシビアにならなくても大丈夫です。
乾燥と直射日光、10℃以下の寒さなどには注意が必要ですが、とてもタフですのでそのまま静かな涼しい場所に保管しておくだけで無事育ってくれることでしょう。
マットの交換
カブトムシの幼虫を飼育してくると、飼育ケースの中がどんどん糞でいっぱいになってきます。
目だって糞が多くなってきたら、マットの交換時期だと思ってよいでしょう。
マットの交換は幼虫とマットを一旦すべて取り出し、すべて新しいマットに交換してあげてください。
育ち盛りの秋~冬にかけては積極的にマットの交換を行って問題ありません。
場合にもよりますが、およそ3か月に一度くらいが餌の交換目安と思っておきましょう。
しかし、蛹になる個体が出てくる4月以降にはマットの交換は極力避けた方が無難だと言えます。
蛹になる際に幼虫は蛹室という部屋を作りますが、これを誤って壊してしまうと、人工蛹室を作ってあげないといけなくなるなどやや面倒なことになってしまうのです。
幼虫の飼育で失敗しがちな事
幼虫がマットの上に出てきてしまって、潜ろうとしない事が時々起こります。
これはマットの環境が悪いためであり、理由はいくつかありますので、順番にご紹介します。
マットの中が酸欠状態になっている
発酵マットを使用していると、ガスが発生して酸欠状態を引き起こすことがあります。
この場合はケースの蓋をしばらくあけて、酸素不足を解消してあげる必要があります。
餌不足
マットが糞だらけになっていて、餌不足になっている可能性があります。
定期的にマットの交換をしないと、こういった現象が起こります。
水分不足
幼虫飼育には適度な水分が必要です。
また水分が少なく乾燥したパラパラとした土では、幼虫は土を上手く固めて蛹室を作ることができず、困ってしまって上に出てきてしまうのです。
幼虫のオスとメスの判別方法
カブトムシは蛹になればオスとメスの区別が簡単にできますが、幼虫の間はなかなか難しいものがありますよね。
見た目が全く変わりませんから、無理もないかと思います。
しかし雌雄の判別は、慣れればできるようになります。
カブトムシのオスの場合、幼虫のお尻の裏の二節目の所に「V字」の模様がうっすらと見えることがあります。
これが確認できればオス、なければメスということになります。
またオスの幼虫は頭が大きく、体重が重いのが特徴です。
メスの幼虫が20g台に対してオスは30g台にはなります。
しかしこれは小型のオスや大型のメスといった可能性も否定できないので、確実というわけではありません。
まとめ
カブトムシの幼虫の飼育方法は、特に難しい事は何もなく、普通に飼育していれば問題なく成虫にまでもっていけるくらいのお手軽さがあります。
しかし抑えておくべきポイントがいくつかあります。
1.発酵マットを使用する場合はしっかりとガス抜きを行う
2.マットは定期的に取り換え、餌不足にならないようにする
3.マットには適度な水分を含ませ、水分不足にならないようにする
4.マットを詰める深さは最低でも10㎝以上は詰めるようにする
5.なるべく単独飼育を行う
6.直射日光や10℃を下回るような環境には置かない
7.餌であるマットの交換は、4月になったら極力行わない
これらを守っていさえすれば、問題なく大きな成虫を羽化させることができるでしょう。
外国産カブトムシ
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